自転車が先か?ダイエットが先か?
自転車ブームの一因には、自転車によるダイエット効果を期待している人が多いというのもあるのだろうか?
確かに、自転車という乗り物は、過体重の人にとって膝への負担も過大にならず、安全に運動できるのは確かであるし、自転車によるダイエット効果を唱える書物や情報によると、軽負荷で漕ぐという行為が脂肪燃焼に効果的と紹介されている事が多い。
でも、自転車というのは、元々ダイエット目的の乗り物では無くって、移動の手段であったり、スポーツの道具であったりする。
最近の自転車ブームは中高年世代が牽引しているが、新たに自転車を購入する際には、ダイエット効果を期待するというのが一番の目的であったとしても、見栄や格好良さ、専門ショップや自転車趣味人の洗脳によって、最初の段階から高価で過激なスポーツバイクから入る人も少なくない。
実際にCRを走っていると二通りのサイクリストに出くわす。一つは、純粋にスポーツという趣味的な側面で接しているような人。あくまでも私感だが、乗っている姿は苦しそうというか楽しそうに見える。対して、もう一方は、乗っているバイク、装備に差は無いモノの、如何にも苦しそうで、スポーツサイクルに乗る前にダイエットでも何でもしておいた方が良さそうな人で、自転車をダイエット目的?という感じで接している人だ。
自転車でダイエット効果を期待しようと思えば、それなりの運動を継続的に行わなければ効果は期待できない。下り坂、惰性での進行時ってのは基本は休みっぱなしであり運動しているとは言い難い。有酸素運動の効果については諸説あるが、少なくとも断続的な運動に終始する通勤のような場面では、その効果は継続的な運動に較べれば少ないと言わざるを得ない。寧ろ、経費節減+ダイエット目的で日常を爆走することによる危険の増大によるデメリットの方が遙かに大きい。
日常生活において自転車を取り入れる事でダイエット効果を得られる人ってのは、生活環境による側面が非常に大きいように思う。
ダイエット目的にスポーツサイクルを選ぶ事自体は否定しないが、そういう自転車の持つ本来の爽快感や楽しみを実感する前に、スポーツサイクル=苦しいというイメージが形成されないか?心配になったりする。
自転車に乗って大幅にダイエットされた例として、作家の高千穂遙先生がいらっしゃるが、使える時間やライフスタイルから考えて、同じ様な生活が出来る人ってのは極限られる。
少なくとも、自転車によるダイエット効果を期待しようと思えば、続ける事が何よりであり、ダイエットを目的にして苦痛を感じながら乗ったりしても、効果が現れる前に嫌いになったら全く意味無いもの。自転車に乗る事でフラストレーションを感じたり、苦痛を感じたりしないよう、各々にとって自転車が楽しいと思える何かを見つけることこそが一番大事なように思う。
自身に置き換えて考えると、もしかしたら、減量前の段階に自転車趣味を復活させたとしても、楽しさを感じることなく乗らなくなっていたかもと思えるところ。別の目的で生活の中で自転車が復活したが、その時に、昔の感覚が鮮明に蘇ってきて、楽しさが味わえるから自転車熱が加速していると思うところ。
実際、今回の自転車趣味復活以前にも何度か自転車に乗った事があるが、楽しいというより漕ぐ事が面倒臭いという印象しか持てなかったような気がする。
ということで、スポーツサイクルの楽しさといえば、やっぱり、その自転車の用途に合った使い方が出来てこそであり、スポーツの道具を使って楽しみを実感するには、それに見合った身体が必要では?と思うところ。そんな身体を最も短期間に作れるモノは何か?仮に苦しくても短時間に効果が現れるなら我慢出来なくもないのでは?
これは、単純に体重計の目盛りを減らす事ではなく、心肺機能を高め、不要な脂肪を落とす事が重要であり、時間あたりの運動量が最も大きなスポーツで、過体重が四肢を痛めないモノ。そして、自分の意識で決めた時間連続して行える環境が簡単に手に入るモノ。
そんなスポーツは、水泳しか存在しない。プールに行けば、信号で止められる事もないし、プールに来ている人は泳ぐ事が目的の人であり、公道のような雑多な環境でもない。
水泳という運動は過体重が四肢に影響を及ぼさないし、心肺機能を高めるには打ってつけである。
週に3日程度、1日に連続で2km以上泳ぐという事が出来れば、2ヶ月もあれば20kg程度の減量は可能(実証済み)だ。ほんの二ヶ月の運動によって、身体は見違えるようになる。自転車はマラソンや水泳に較べるとハードでなく手軽に出来るというダイエット手法として推奨する説もあるが、負荷が小さい分、効果は現れにくく、負荷を高めると、公道では危険が増大し、時間を増やそうとするにも限りがある。水泳ならば、僅か2時間弱でも相当量の運動量になるんで、お奨めだ。
そういう状態を作ってスポーツサイクルでも乗れば、苦しさよりも楽しさを多く感じれるようになるのは間違い無い。
そんな訳で、自転車で走る事の楽しさを思い出したが故に、今では、水泳は心肺機能を高めるために行い、筋トレはヒルクライムのために、毎日の自転車乗りはペダリングを磨くために行っている毎日だ。それもこれも、今度は、楽しい自転車を更に楽しめるようにするのが目的だ。勿論、こういう身体のコンディションを整える事が、2ストレプリカ等の単車を操る上でも有効だということを実感出来ている。
自転車にしろ単車にしろ、趣味性をスポーツ性に求めようとすれば、扱い手には、それに見合った身体能力と身体状態が必要であり、更には、技量と知識が必要だが、そのようなモノを追い求める事こそが、趣味の探求でもある。
要は、手段としての自転車ではなく、目的としての自転車という意識を持つことが、付随的な効果としての健康維持にも効果的ということだ。
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