インスタント志向は良いのか?
ダイエットで一番注目を浴びる方法といえば、手軽さ、簡単さ、苦労の無さを売りにした方法である。そして、ダイエット=健全な肉体の構築ではなく、ダイエット=体重計数値の減少というのが現実だ。
その結果、サプリメント、健康食品、付けるだけのダイエット装置というモノが人気を集め、フィットネスクラブでもワンコインスポーツクラブというのも注目されている。
ダイエット特集でもチョコレートダイエット、キャベツダイエット、バジルシード、蒟蒻といったモノ、食事抜き、強引な低カロリー生活といった方法を真剣に取り組んだりする人も居る。
まぁ、確かに続ける事が苦痛にならないという観点から考えると、苦労を伴わないというのは重要なのかもしれないが、ダイエット=鍛えられた肉体という思想で得た身体とダイエット=軽い体重計数値という思想で得た身体というのは絶対的に違うものだ。
しかし、体重計の数値で一喜一憂する人が異様に多く、その数値を減らすのが最も安直な方法というのが人気を集めているようだ。
ダイエットとは異なるが学問の世界でも同じ事が言える。教育課程における勉強というのが受験のテクニックを身に付ける事が目的となった取り組みが良い例だ。もっと言えば、テストの点を良くする事が出来れば方法を問わない勉強法の修得だけで良いような風潮に溢れている。点数が取れるならば、過去問をあたる事も全うな勉強となり、公式類の丸暗記も正しい勉強法、強引な丸暗記でもOKという認識が罷り通っている。習う方に限らず、点が良ければ親や教師は褒めるだけの対応をしているのが現状だ。
必要なのは、世代に応じて持つ好奇心や探求心を、明らかにする手順の伝授と、手順を踏んで自分で解決する力を身に付けさせ、その結果得る等身大の喜びを伝えることな筈だが、こういうのは綺麗事と言われるのが実際だ。
趣味の世界でも同じだ。自分の趣味は単車と自転車が大きな趣味だが、この趣味は幼少の頃から、自信の成長に併せた経験と知識の積み重ねの結果が今の考えを生んでいるのであり、自分の周りにいる趣味人の多くは、やっぱりそれぞれに幼少からの積み重ねのプロセスを経て、自分なりの考えというかコンセプトを持っている人が多い。
そういう人の話は、とても面白いし、感心させられる事も多いし、その人なりの価値観の形成には、その人の歩んできた趣味に対する取り組みというのが見え隠れする。
趣味において自信を持っている人というのは、趣味として物事に接し初めてから今までの長い積み重ねがあるのが判る。
しかし、そのような経緯を全く持たずして、突発的かつ衝動的に趣味が長続きしない人というのは、詳しい人を見て、なるべく簡単に、或いは、猿真似的、他人の情報を盲目的に読んでは理解した気になったり、道具や部品を盲目的に崇拝して答えを簡単かつ安直に得ようとする人が多い。
ダイエット、学問、趣味を例に挙げたが、やるべき事を長い年月を掛けた試行錯誤と本質的に正しい手順を踏んで行える人というのは、何を行っても手順の重要性というのを直感的に理解できるんだろうけど、その手順の重要性を軽視し、モノや伝聞に大きく依存し、とにかく簡単に、安直に結果を得る事を先走る人っていうのは、何を行っても本心からの満足を得る事が出来ないのでは無いだろうか?
昨今のダイエットに関する記事を見てもそう思うし、勉強に関しても、かつての教え子や父兄、今なら専門性が必要な職場における上司や部下の考え方からもインスタント志向に毒された様を感じる。趣味においても、一目おける存在が多く居る反面、どうしようもない末期的状況を呈したイタイ奴も居る。そして、どちらかというと、表面的な結果を安直に得ようとする奴の方が多いように思うところだ。
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