FI時代到来。
今日はS4ガンマに乗った事もあり、頭は単車モードである。さっきは、2サイクルを知らない、乗った事がないライダーの増加と、その面白さを知らない事への気の毒さ(お節介かも)を書いたけど、二輪車の世界で消えてしまったメカニズムである2サイクルユニットと同じく、消えつつあるメカニズムがキャブレターである。
先日も、最近の単車好きの人との会話の中で、『キャブに出来てFIに出来ない事は無い!』との話を聞いたが、時代の流れでFI化が進んでいる一方で、FIがキャブに追いついているか?との考えを整理していみた。
単車のエンジンは常用回転域が四輪に較べると圧倒的に広く、特に、スポーツバイクにおいては出力を得るためにはしっかり混ざった混合気が必須というのが大きなポイントだが、燃料を混ぜるには、燃料粒子を小さくしないといけない。キャブの場合は液滴は10ミクロンだが、FIでは未だに100ミクロン、高性能版でも80ミクロン程度である。そういう混ざりにくい燃料供給で混合させるために、吸気管を長くとり遠くから噴射したり、何かにぶつけて拡散させるという方法をとっているが、吸気管を長くする事も、ぶつける事もレスポンスとか抵抗という面から考えると今一である。勿論、市販車という括りを外し競技車両の世界では桁が違う圧力で噴射させて燃料の微細化を図っているが、市販車では、その域に達していない。この辺がキャブに対して今一という一つの根拠でもある。
他には、回転域が広いエンジンにおいてキャブは元来、スロー系統とメイン系統の2系統で燃調するが、FIの場合は1系統しかないのも制御的に厳しそうだ。更に、燃料供給量を決めるに用いるユニットが、吸気圧センサーとアクセル開度を用いるが、これをシーケンシャルに感知している辺りにスマートさが欠けている感じがする。
そうは言っても、エコ、環境の時代で、排出ガスを綺麗にするためには、排ガス触媒が機能する空燃比でエンジンを回さないといけない訳で、とにかく機関が効率的にパワーを自然と出すのに要求される混合気をエンジンの要求通りに与えてしまうと、排ガスが綺麗に保たれないのも確か。
時代の要求として、キャブは消え、FIばかりになるんだろうけど、古典派の自分としては、2ストが消え、キャブが消えってのは寂しいものだ。
キャブでCVをTMに、VMをPJにという風に交換して圧倒的なパワーフィーリングを得て感動を覚えてきたような事がインジェクションの世界でも実現できるのだろうか?
基本構造はバタフライバルブで空気量を制御して、遠くから燃料を噴射するという構造で決まってしまう要素は極めて大きい。キャブ交換で激変するのは、低抵抗を目指したショートボディ、空気量の変化を直接的に変化させるかという形のスロットルバルブによる所が多かったけど、FIは、今の時点では、この基本部分自体は変えようが無い。
FIやエコを否定する気は無いが、果たして、今の市販車が20年後、30年後も完調を保てるか?なんかも不安である。80年代から普及してきた点火系のCDI、フルトラユニットでも数年が経過すると結構怪しい事が多いし、レギュレータでもそうだ。まぁ、この辺の部品が終われば80年代のバイクも厳しいが、機械式のポイントに較べて、手間と信頼性の両天秤からポイントに較べると良いかなぁというところだが、未だ信用している訳ではないし、自身、愛車のスペアの電気系統のストックは十分だ。しかし、車種毎に特化が進んだ現在の車両では、生産数量の少なさ、仕様変更の多さ、制御の高度化によって、将来の部品供給の心配や、劣化が進んだ時の信頼性には大きな疑問を持たざるを得ない。
制御式FIは丁度、今普及し始めた技術であり、安心して使えるようになるには、もう暫く時間が要りそうだ。そういう時期なら、自分も受け入れる事が出来るかも知れない。
取り敢えず、単純な2ストキャブ車のS4ガンマは、今日も快調だったし、アクセルと直結したレスポンスも最高だった、、、。
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