2002年、MotoGP観戦中
最近、サーキットトレーニング中には2002年シーズンのMotoGPを観戦している。当時のMotoGPといえば、2スト500と4スト990の混走一年目ということで、開幕当初はどっちが速い?という話題で持ちきりだったように思う。
因みに、今はRnd.1の日本、Rnd.2の南アフリカ、Rnd.3のスペイン迄見終わったところ。Rnd.1の日本GPは雨天のウエットコンディションであり今一マシン性能がダイレクトに反映されているとは言い難いGPだったけど、Rnd.2~3はドライコンディションであり、今見ても見応えのあるレースである。
2002年から5年が経過し、今年はMotoGPも4ストオンリーで排気量も990ccから800ccへとレギュレーションが変わり2ストがどう?って話題は遠い過去の話だが、2002年シーズンを闘う最終型のNSR500は、今見ても格好良い。
この2002年シーズンを終えての一般的な論評としては、2スト500は4スト990に敵わないというのが多いけど、三戦迄の感想は、2スト500はRC211Vには敵わないって言った方が良いような結果である。このRC211Vというバイクは、レギュレーション的に同じ土俵で闘うバイクでは無いような存在に見えるけど、そんなRC211Vでさえ、直線区間外ではNSR500に追い立てられているように見えるのは気のせいだろうか?
この2002年シーズンを見て2ストについて色んな話を考えてみるけど、世間の2スト感の大きな意見は、パワーバンドに入ってからの唐突な加速を以て、大排気量4ストの加速に勝るとか勝らないとかの話が相変わらず多い。確かに、2ストのパワーバンド内外での加速特性の差は在るけど、その前後の体感差を以て2ストの特徴を表現するってのは、やっぱり違和感があるのが自分の感想だ。
市販2ストであっても気合いを入れて走っている最中ってのは、基本的にはパワーバンド内を維持しての話であり、パワーバンド前後のギャップってのは2ストの本質を表しているものでは無いというのが自分の意見だ。
自分と同じ意見というのは、あまり見掛ける事は無いけど、2ストの良さってのは、パワーバンド内でのレスポンスというかパワーのコントロールのし易さに尽きるのでは無いだろうか?アクセルを明けると、機関内での抵抗が全く無いかのような回転上昇、アクセルを閉じても感じる事のない引っ張られるようなバックトルクの無さ、このアクセル加減に合わせた滑らかなパワーのコントロール性こそが2ストロークの最大の美点では無いだろうか?
このパワー特性こそが2ストの2ストたる所以であり、2ストらしさだと思う。パワーの絶対値を比較すると、新しく、大きな排気量であるほどに絶対的な速さを持っているのが現実だが、パワー特性という部分では、右手との直結感に支配されているか否かで決まる部分であり、排気量の大小、新旧以上に機関の本質的な違いが顕著に現れる部分だと言える。
そういう視点で捉えると、古くても、小さくても2ストの楽しさっていうのは、4ストでは真似が出来ないモノのように思う。
自分の理解としては、この美点が有るが故に、2002年のMotoGPシーズンにおいても直線外の区間において2スト500が4スト990(ていうかRC211V)に迫る事が出来たのでは?と思っている。4スト990という排気量による絶対的なパワー値自体は、RC211VもYZR-M1もGSV-Rもそう変わったもんでは無いと思うけど、RC211Vとそれ以外の差っていうのは、コーナー区間において、如何にパワーを手懐けているか?4ストのパワーコントロールの難易性を除去しているか?の差によるモノでは?と考えている。ホンダ以外の4ストが話にならなかったのは、その差に尽きると言えよう。
そういう目でRnd.2、Rnd.3を見ると、直線で圧倒的な優位性を有するRC211Vをコーナーで詰めるというNSR500の姿は涙ものである。Rnd.3へレスのスペインGPではRC211Vの間を加藤選手のNSR500が割って入り、宇川選手のRC211Vが付いていけないのは、改めて2ストの凄さを感じる部分でもある。
勿論、コーナーで速いってのは、パワー特性以外にもレギュレーションによる重量差って部分もあるけど、本質的に軽くマシンを作れるというのも2ストならではの利点であり、軽い重要でコントローラブルなパワーユニットというのが2ストの美点であり、逆に言えば、2002年シーズンのレギュレーションっていうのは、2ストの大きな美点である軽量さを発揮しにくいレギュレーションでもあったように思う。
メインサイトにも記載してあるけど、大昔の110kg台のGP500で闘っていたら、果たしてどうなったのだろうか?というのが未だ関心事の一つでもあるし、その利点を活かせるレギュレーション+現代の周辺技術(サス、シャーシ、タイヤ等々)による最新のGP500というモノが存在するならば、そのマシンは最新の4スト800のMotoGPマシンに対してどのような差があるのか?というのも、実を言うと大きな関心を持っている。
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コメント
こんばんは!そうですね。あのシーンは忘れる事が出来ません。脳裏に焼き付いてます。
レギュレーション上で参加できなくなった今、GP500マシンが見れるのはビデオのみ、、、、寂しくなりましたね。
投稿: 壱源 | 2007年7月19日 (木) 23時55分
第7戦ダッチTTでバロス選手が4st勢をコーナーで次々とパスしていくシーンも忘れる事ができませんね。
ただ現レギュレーションでは、2stでの参加が認められず、2ストロークマシーンは過去のものなりつつあるのが残念です。
投稿: Cagiva | 2007年7月19日 (木) 23時35分