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2007年8月27日 (月)

スケルトンを眺めて、、、、

 今、小林のロードに手を掛けていて、最大の関心事はフレームサイズである。
 フレームサイズといえば一般的にはシートチューブのCT寸法だが、ロードレーサーではホントに大事なのはトップ長(CC距離)だ。シートチューブ長は調整のしようがあるけど、トップ長は変えようが無い。ステムの長さで変えるにも限度がある。
 因みに、リーチ=(胴長+腕長※)÷2+100とか、リーチ=中指の付け根間距離÷4+195、トップ長=リーチ-ステム長ってのが一般的みたい。
(※:胴長=鎖骨付け根~股下、腕長=手の平握り位置~鎖骨外側、真っ直ぐ伸ばして計ると数値はかなり大きくなる。自然な姿勢でゆったり計る場合との差が大きいんで、後者の式の方が判りやすい。測定点数が多い程、正確とも言えるけど、はかり方による誤差も大きい。)

 そんな頭で最近の自転車を見てみると、多くのセールストークはスローピングで跨ぎやすい、背の低い人、脚の短い人でもダイヤモンドフレームに乗れる!って話を聞くし、メーカー側の都合を見ると、シートチューブのCT寸法は大きな刻みで短いものから長いものまで準備しており、シートポストの突き出し距離によってチッコイ人でも乗れますよ!的なトークも聞く。

 ホントか?と思いつつ、最近のモデルのスケルトンを眺めてみると、シートチューブのCT寸法が短くても、ホリゾンタル換算のトップ長が結構長い事に気付く。
 こんなに長いと乗れないのでは?と思う程に長い。例えば、我が家のラングスターは520サイズだけど、トップ長は537mmもある。これは自分の身長から言うと一杯一杯の寸法である。理想のトップ長530mmというと結構小さいシートチューブのCT寸法のフレームになる。
 この傾向は、殆ど全ての海外ブランドの自転車について言える事。
 スローピング構造によってシートチューブのCT寸法が小さくても、実態としてトップ長は結構長い。こんな自転車では、快適に乗れないのでは?と思ってしまう。

 こういう事を考えると、日本人は日本のフレームがベストか?と思ってしまう。

 フレームデザインとマテリアルの発展の歴史を振り返ると、スローピングフレームはアルミフレームの登場と重なっている。(因みに発案はGIANT)これは、アルミパイプの接合がラグ式とは異なる溶接によって製作することによって自由な角度が作れるというのと関連がありそうだが、何故、アルミフレームで三角形を小さくするか?というと、これはアルミフレームによってフレーム剛性を高めたいという要求に応えるために生まれたのでは無いだろうか?
 つまり、自転車において剛性追求としてアルミ素材の利用と、その特徴を活かすためのスローピングデザインが繋がっているように思う。

 つまり、本当はチッコイ人に乗せるためであったり、大雑把なサイズ違いによって幅広い人に対応させるのが目的ではなく、本当は、アルミフレームの剛性を活かすという意味でのスローピングデザインでは無いか?という感じだ。

 そういう予備知識をもって国産(BS、ナショナル)のオーダーフレームを見ると、ホリゾンタルのクロモリフレームはやっぱりシートチューブのCT寸法≒トップ長になってる。

 話がぼけて分かりにくいけど、要は最近のスローピングデザインのアルミフレーム、実は、チッコイ人に乗れそうで、案外、快適に乗れないのでは?って事が言いたいだけ。スローピングデザインのホリゾンタル換算のトップ長にしっかり着目する必要がありそう。
 そうすると、結局、ホリゾンタルだろうがスローピングだろうが、乗れる人ってのが限られてくるのでは?って感じである。快適に乗れるってのと、跨がれるってのは意味が違う。

 さて、今の価値観では、シートポストを付き出して乗るってのが格好良いスタンダードだが、これはスローピングフレーム故の格好でもある。思い起こせば80年代以前は、突き出し量=シートチューブのCT寸法の8~10%という認識が多かったように思う。10%という量は殆どのフレームで付き出しは50~60mmであり、今のトレンドとはかけ離れる。
 昔のダイヤモンドフレームはラグ構造でホリゾンタルスタイルが普通。そして、シートチューブのCT寸法はトップ長と殆ど同じ長さってのが基本である。CT=530mmならトップ長も530mm前後ってのが普通。CT=560mmならトップ長も560mm程度。

 ところで、例の小林フレームだが、シートチューブのCT寸法は550~560mmと大きいんだが、トップチューブ長は525~530mmというものである。
 一般的なホリゾンタルフレームの常識で考えるとトップ長が短すぎであるが、このフレームは、どんな意図の下で製作されたのであろうか?
 トップ長から判断すると、自分にピッタリだが、シートチューブのCT寸法から判断すると大きめのフレーム。確かに、シートポストの突き出しは少な目になってしまうが、調整して乗ると、これが結構マイルドで乗りやすく快適な仕様である。
 製作者の意図が気になるところである。

 実はこの疑問を書くための前振りが、先のアルミフレームのスローピングデザインと剛性論の仮説だが、この小林フレームは、パイプ肉厚で0.7-0.4-0.7(超音波測定で計測の結果、レイノルズ531でも軽いABB-101管か?)のパイプでかなり薄めのフレーム。自分で乗れる自転車としては最大級の大きさの三角形スケルトンを持っている事になる。
 これって、仮説だが、鉄系フレームのしなやかさを最大限発揮させる事を狙って製作したフレームなんだろうか?薄いパイプを出来るだけ長くとって作るのは、アルミのスローピングの対局のようなデザインなのだろうか?

 この辺の真意が知りたい今日この頃である。

PS 人間ってのは都合の良い生き物である。こんな仮説を考えると、今のフレームはシートチューブのCT寸法が長すぎるのは、実は意図的な仕様だと思うと、結構愛着の度合がアップするところ。
 確かに、シートチューブのCT寸法から判断して175cm以上の人が乗るとハンドルが近すぎる訳であり、ロードレーサーにおいて最重要な数値であるトップ長から判断すると、このフレームの適性身長は170cm程度なのかなぁ?とも思えてくる。

 この記事を読まれた方で、この辺の正確な知識をお持ちの方がいらっしゃれば、是非、助言や意見を頂きたいところだ。

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