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2008年1月21日 (月)

薬害C型肝炎

 先日、新聞の折り込みに表題の問題から、肝炎ウイルスのチェックを推奨する通達?広告と、問題のフィブリノゲンを取り扱った病院の一覧が入っていた。
 で、そういうモノが入ると、取り敢えず読んでみるし、取り敢えず我が身の心配?ではないが、自分の掛かり付けの病院があるかどうか?を調べてみたりする。

 ところで、薬害C型肝炎っていうのは、その新聞や最近の報道から、血液製剤フィブリノゲンにより引き起こされたC型肝炎問題で、放置しておくと慢性肝炎、肝硬変、肝ガンと進行する怖い病気が血液製剤によって蔓延したという問題である。
 このフィブリノゲンは、平成6年以前に公表医療機関で治療を受け、下記に該当する人が感染リスクが高いということらしい。

(1)  妊娠中又は出産時に大量の出血をされた方。
(2)  大量に出血するような手術を受けた方。
(3)  食道静脈瘤の破裂、消化器系疾患、外傷などにより大量の出血をされた方。
(4)  がん、白血病、肝疾患などの病気で「血が止まりにくい」と指摘を受けた方。
(5)  特殊な腎結石・胆石除去(結石をフィブリン塊に包埋して取り除く方法)、気胸での胸膜接着、腱・骨折片などの接着、血が止まりにくい部分の止血などの治療を受けた方。(これらの治療は、フィブリノゲン製剤を生体接着剤のフィブリン糊として使用した例で、製薬会社から厚生労働省へ報告されたものです。詳しくは治療を受けた医療機関に直接お尋ねください。)

 ところで、感染リスクは、このフィブリノゲンだけでなく第Ⅸ因子製剤による感染も問題となっており、これは本来血友病患者向けの製剤だが、それ以外にも使われた事が判明し、それによって肝炎ウイルスの感染を引き起こした可能性があるとのことだ。

なお、フィブリノゲン及び第Ⅸ因子製剤を使用した可能性のある医療機関は厚生労働省のHPでも調べる事ができる。

http://www-bm.mhlw.go.jp/houdou/2008/01/h0117-3/index.html

で、自分はどうか?ということで、検査を受けるべきか否か?を考える前に、自分の状況がそれに該当するかどうかを確認するために、少し調べてみた。

今回の肝炎感染のリスクは、使用医療機関の数から考えると、フィブリノゲン>>第Ⅸ因子製剤であり、フィブリノゲンは殆ど全国の主要病院全てが使用している実態があり、ハッキリ言って社会に与えるインパクトは相当に大きくなるが、この問題となるフィブリノゲンっていうのは、平成6年以前が全て該当するか?を少々調べてみた。

今回の検査呼びかけの対象者を再確認すると、

昭和47年~昭和63年の間に次のような病気で、公表医療機関(※2)に入院したことのある方

・新生児出血症(新生児メレナ、ビタミンK欠乏症等)等の病気で「血が止まりにくい」との指摘を受けた人
・肝硬変や劇症肝炎で入院し、出血が著しかった人
・食道静脈瘤の破裂や消化器系疾患により大量の吐下血があった人
・大量に出血するような手術を受けた人(出産時の大量出血も含む)

だが、この内最後の大量に出血する手術を受けた人というのが、本人にとって青天の霹靂というか、思いっきり予想外、想定外の思いを受ける人では無いだろうか?
で、このC型肝炎ウイルスが含まれるフィブリノゲンっていうのは、どの時期のものが該当するかを調べてみた。

このフィブリノゲン製剤は製造時期によって、処理方法が異なっている。問題となる製剤はミドリ十字が製造したもので、

・1964~1987年製造の非加熱フィブリノゲン製剤『フィブリノゲン-ミドリ』
・1987~1994年製造の乾燥-加熱処理製剤『フィブリノゲンHT-ミドリ』

というもの。現在の流通品は、献血由来、乾燥加熱処理+界面活性剤処理が施されており薬害肝炎の原因とはなっていない。ということで、1994年以前に大きな交通事故を含む大量出血を伴う手術を受けた人がリスクを抱えるということだ。これって、結構な対象者が居る事を示している。

更に調べると、1987年以前のフィブリノゲンも実は製造時期によって処理方法が変わっている。1985年8月の前後で処理方法が異なる。8月以前は、ウイルス不活化には紫外線照射+BPL処理、8月以降はBPL処理を止めて抗HBsグロブリン添加処理に変更している。このBPL処理っていうのがキーワードであり、BPL処理を止めた理由は、BPL自体に発ガンリスクがあるという理由で製造元が供給を中止したためで、その代替えとして抗HBsグロブリン添加になった。このBPL処理を用いた製剤では、後の検証試験によりウイルスの不活化が為されており、このBPL処理フィブリノゲン製剤では薬害肝炎にならないといことらしい。

しかし、このBPL処理の有効性と製造工程の関連に関する記述は明確に残って居らず、後の実証試験によりBPL処理がウイルス不活化に有効という事が判っただけであり、当時の状況ではBPL処理の認識をしておらず、その処理方法の変更は当時の薬事法への抵触の可能性もあり、意図的に情報が隠蔽されていたような節もある。
なんにしろ、このBPL処理は1965~1985/8の間のフィブリノゲンに施されており、結果的には、1964~1965年、1985/9~1994年のフィブリノゲンが最もリスクが高いと言う事となる。(※:BPL処理がC型肝炎ウイルス不活化に有効だったのは偶然である。)

 但し、BPL処理のフィブリノゲンで良かった!というのは時期尚早であり、単にC型肝炎リスクが低いだけであり、発ガン性リスクは高い訳であり、これって将来何らかの癌発生との相関が見つかって問題となる可能性が無いとは言いきれない。

このBPLはβプロピオラクトンといってC3H4O2という物質。

http://www.tokyokasei.co.jp/catalog/H0168.html に詳細が記載されている。

この物質は、殺菌能力が高く、鳥インフルエンザウイルスの消毒にも使われるそうだ。一般に不活化ワクチン(日本脳炎、インフルエンザ)を作る際に用いられる原料のようである。斜め読みだけど、特許技術にも利用されている例があるみたい。

http://www.ekouhou.net/disp-A,H11-193246.html 中を検索すれば出てくる。

なんにしろ、BPL自体も怪しくも危険なモノである。

この一連の騒動を見て思うのは、現代の医療技術の発達は或る意味凄いけれど、その中で発見される事、見落としが引き起こす薬害、医療事故、偶然の効果・・・・があまりにも多いと言う事。結局、人体の事など、不明な事の方が遙かに多いのである。

因みに、このBPL処理の如何によって国や製薬会社の責任が問われる時期、救済される被害者の線引きが為されているのが実情だ。この処理方法の変遷時における国や製薬会社の対応は非常に判りにくく、こんな進め方で良いの?って思うのが素直な感想である。

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