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2008年2月13日 (水)

リハビリ

 この連休では、NHKスペシャルでリハビリについての番組が放送されていた。
 リハビリ=機能回復訓練だが、自分のイメージのリハビリでは、外科的障害からの機能回復という印象が強く、放送されていた脳梗塞、脳卒中による中枢神経系の再生というイメージは持っていなかった。

 何故か?というと、これは少し前の記事にも書いたけど、昭和59年末で遭遇した交通事故による大腿骨骨折後のリハビリが自分の体験として残っているからだ。
 当時を思い出すと、事故に遭ったのが昭和59年の12月末、折れた大腿骨の固定手術が昭和60年の正月、リハビリ開始が同年1/15頃、退院が2月半ばという感じ。
 で、行ったリハビリは、固まった膝関節の可動範囲を拡げるようなトレーニングだったと思うけど、関節が思いの外固まっており、可動範囲は極僅かで伸ばした状態~90°程度までしか曲がらなかったのを覚えている。

 当時の医師の言葉で、この辺が限界?かもということ。走ったり、正座したり、自転車に乗るのは不可能かもという言葉を聞いて、その後は自分で太股を抱いた状態で関節を温め、腕力で半ば強引に関節の可動範囲を増やすようなリハビリを我流で行った覚えがある。その可動範囲の回復過程で覚えているのは、最初の二週間では関節可動範囲は殆ど増えない状態だったけど、二月に入って約一週間で殆ど怪我前と同じ状態迄動くようになり医師に驚かれたのを思い出す。
 そんな体験からか、リハビリ=外科的障害からの回復訓練=本人の気合い次第という意識を持っていた。

 そんな意識に反して、放送されていたのは、神経系の損傷により身体の自由が効かなくなった人の機能回復についての話。
 この神経系の損傷からの回復では、回復というよりも、神経伝達経路の再生というモノであり、従来の印象を越えた身体の回復機能を紹介していたのは、自分にとって目新しいものであった。

 このリハビリ訓練による神経伝達経路の再生というか生成っていうのは、元来の機能と等価な能力を伝えるための新たな神経系を生成するというもので、神経ネットワークの再構築とも言えるような現象。
 これって、脳細胞における神経ネットワークも作り替える事が出来るということを暗示しているのだろうか?とも思えたりした。従来の印象では、失われた神経回路は二度と再生しないというモノだが、同じ場所に再生せずとも、別の場所に等価な経路が生まれるということは、刺激の与え方によっては、新たなネットワークが生まれると言う事である。

 凄いな!と思う反面、そういう新たな神経系を生成させるために与える外部刺激を、どのように与えるか?次第にも掛かっている。そういう意味でリハビリの理学療法士っていうのは重要だが、普通障害とは見なされない考える力を失った人の脳の再生には、それに相当するインストラクターというのが存在しない訳であり、やっぱり神経回路形成は不可能なのか?とも思ったりする。

 でも、将来、脳の思考回路再構築をテーマにしたインストラクター資格のようなモノが出来たりするのだろうか?とも思える。

 今回の放送では、リハビリの表現を『闘うリハビリ』と称していたけれど、専門の理学療法士が居たとしても機能再生には当人の闘うという意志が必要ということだが、この意志というかモチベーションを如何に保てるか?が、神経系再生医療のキーワードである。

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