先行待機対応新型摺動システム試験、その2
昨日は、全く新しい摺動システムの通常使用環境域での性能確認を行った。通常使用状況っていうのは、従来のシステムの設計想定範囲である土砂混入水中での低負荷~想定負荷での摺動性能の確認である。
で、本日は通常システムでは想定外使用条件である完全無潤滑条件での摺動性能チェックである。今回試験するシステムは、摺動材自体には高度な技術を投入した本番品ではなく、比較的安価な材料のみで構成された評価システムである。
因みに、今回の開発は材料面、構造面の工夫から成り立っているが、従来は材料面からのみの挑戦で目標達成を試みていたのを、構造面の工夫を入れたのが売りだけど、本日は、材料部分は標準に戻し、構造面のみの工夫がどれ程の効果を持っているか?を確認する試験である。
因みに、このシステムは摺動条件による発熱量を計算し、その発生熱を分散させる際に熱の介在物の熱の冷却性を制御(放熱面積の特殊加工による確保で)することで、材料の膨張係数と併せて想定範囲内では決して軸受隙間が消失しない、つまりは抱き付きを発生しないというデザインであり、熱設計を高度に行う点が肝である。
構造の工夫といっても、材料特性と密接な関係を持っており、軸受側と軸側の物性の相対性を大きく利用することによって無潤滑摺動性能を高めるという考えだが、その相対性による性能を確認するのが目的だ。
さて、周速6[m/hsec]、面圧2[kgf/cm2]での無潤滑摺動試験だが、摩耗による軸変位増分はゼロ(即ち摩耗せず)で、200分を経過した。旧来の特殊なセラミックスを円周方向に分割配置した軸受と特殊な複合材軸スリーブでは同じ条件の無潤滑運転が90分であったわけで、既に、それを越えている。
昨日の通常条件(潤滑面に水膜形成される条件)での摩擦係数も旧モデルの2/3以下となっていたけど、これは、低摩擦係数保持に最も有効な摺動面における水膜形成性の差によるものであり、摺動局部における水膜欠損確率を計算上で65%改善した効果が現れたモノと認識しているが、その新しい摺動面は、無潤滑下における固体接触状況においても、摺動が連続して継続することによる(断続的とは異なるという意味で)摺動の安定性が固体同士の接触時における発熱を抑えているように考えている。
ということで、此処までは、デザインを構想した時点で予測したとおりの結果で満足であるというか、完璧というか、予想以上の結果である。
この試験を何度か終えた後に、今度は高濃度土砂水中(スラリー中)での耐摩耗性評価を行う予定だ。耐摩耗性を材料物性に依存せず構造的工夫、流体挙動的工夫によって解決するというのが今回の目玉であり、それが評価試験本番である。
因みに、このパーツは一見するとジャーナルベアリングには先ずは見えないモノ。殆ど別の分野の機械構造にそっくりなのである。というか、その機械をヒントに作ったのであるが、、、、
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