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2008年7月 5日 (土)

原油高は必然だ。

 連日の高値更新である。原油も終値で1バレル145ドルを突破とのことである。

 原油価格が高騰すると、生活資材の多くを石油から調達している経済活動においては全面的な物価高を招く。結果、じり貧になっていく訳だ。

 因みに、日本は原油にどのくらい頼っているか?っていうと、一日あたり70万トンの原油を消費しているのである。これは、一体どういう事か?というと、巨大タンカー(全長300m以上で戦艦大和より巨大。新幹線16両編成級の全長)3隻分の原油を毎日輸入し続けているという事だ。つまり、毎日3隻の巨大タンカーが運んでくる原油を継続的に消費しているということ。

 そんな日本故に原油価格高騰は経済活動に相当なダメージを与えるのである。

 しかし、これだけの原油消費によって世界の5%にも相当する炭酸ガスを日本一国で排出しているという現実もある訳だ。炭素換算で61億トンの5%というと3億トン相当の二酸化炭素を日本は排出しているのである。人口構成から言うと、僅か1.8%程度の人口で5%もの環境負荷を与えているのも現実である。

 このような状態では現代日本においては経済活動と環境保護の両立は有り得ないということにも繋がっているのである。

 原油価格が高騰する。輸入資材価格も高騰する。加工製品価格が高騰する。世界に対して製品の競争力が無くなる。円安が進行する。、、、、このスパイラルで日本の経済面における国際的地位、競争力が今より低下するのは間違い無いところである。

 しかし、冷静に考えると、実力以上に経済的地位が高い状態が今である。

 今後原油価格が高騰して、経済力が低下する。すると、原油を含む資材を海外から調達する事自体が困難になる訳だ。そして、どこまで進むか?というと、環境から考えると、輸入原油量は炭酸ガス排出量が5%、人口が1.8%ならば、原油輸入量は多くても今の1.8/5=36%(1/3)程度に留めるべきだし、地球の炭酸ガス吸収能力に照らし合わせると長期目標的には18%(1/6)程度に留めるように為らざるを得ないのである。

 今の原油価格高騰を招く投機マネーの動きを否定する論調もあるけど、そのような経済活動を含めて自然な成り行きであり、地球というシステムが存続するための必然的な動きと捉えることもできる。大きなシステムが防衛機能を働かせた結果、投機という動きに現れて、人口比率的に炭酸ガス排出割合の過剰な地域における原油消費を抑えるような変化が現れているだけのようにも思えるところである。

 つまり、現代日本(先進諸国)の状況を修正すべく(エネルギー変換を促すための)変化であり、この原油価格の高騰って変化は、必然ではないか?とも言えるのである。
 現状、どの程度迄、今の流れが進むか?を単純に想像すると、世界の生活水準と日本の生活水準が近づく程に、日本に分配される原油比率は人口比率に近づくのが道理である。世界の全てが同じような生活水準となるのは暫く先だろうけど、少なくとも、新興国グループの生活が日本と同じ様になるのは時間の問題。新興国(BRICs)の人口は中国が13.3億人、インドが11.4億人、ブラジルが1.9億人、ロシアが1.4億人で28億人で世界の人口の40%以上を占めている訳であり、ここの生活水準(1人あたりの消費エネルギー量)が上昇するにつれて、日本に分配されるエネルギーも減る訳である。究極的(エネルギー分配率が等しくなり、温暖化ガス収支が平衡となる)には1/6、当面(エネルギー分配率が同じ)が1/3が取り敢えずの目標か?

 様々なエコノミストの予想とは全く異なるけど、温暖化ガスの物質収支と世界の地域の発展というのを考えると、許される原油使用量は究極的には今の1/6となる。つまり、1/6しか買えなくなる訳で、最悪の場合、価格は6倍になるかもしれないということ。ただ、代替えエネルギーのコスト競争力(バイオエタノール等製造コスト)から今の2倍程度の原油価格で新たな競争が生まれるので、原油価格が今の二倍以上となった段階で、環境負荷の無いエネルギーへのシフトが生まれるだろう。目安は、今の二倍というところというのが私の想像だ。
 分配エネルギーが1/2、経済力が不変ならば、エネルギー単価が2倍っていうのが単純計算であり、となると原油価格は今の倍で300ドル/バーレルとなる訳だ。
 因みに、原油価格の上昇はこの一年で二倍になっており、後1年後に迫るのかもしれないが、原油価格の高騰が進む程に、エネルギー置換が進みやすくなる。環境の事を考えたら、一気に値上がりした方が良いのでは?とも思うのである。

 ニュース報道では原油価格の高騰で物価上昇、生活苦、政府無策といっているけど、少なくとも原油価格高騰が続けば、原油調達が困難となり結果、原油消費が減るという流れになる訳で、この状態が続き、日本の経済界が一度リセットされる方が良いようにも思うところである。

 色々考える事があるのだが、ここ数年の昭和30年代ブームとかあるけど、高度経済成長前の当時のレベルに強引に戻される時代が来るかも知れない。

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