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2008年7月 3日 (木)

温暖化対策とバラスト水規制の矛盾

 昨日、深夜のニュース番組を見て思った事。
 昨今は、環境関連ネタのニュース報道が極めて多い。その中で一番の注目は、地球温暖化の問題で、排出炭酸ガスを如何に抑制するか?って話題である。

 さて、世界で年間に排出される二酸化炭素は如何ほどか?っていうと、御存知だろうか?炭素量換算で、61~62億トンの二酸化炭素(二酸化炭素という量では260億トン)が排出されているのである。
 この排出ガスが全て吸収されれば、大気中に炭酸ガスが増えるということにはならないのだが、排出量に対して、吸収量は如何ほどか?どこで吸収されているか?っていうのは、案外知られていないのである。

 61億トンの内、話題の森林で吸収されるのは、何と僅か9億トンに過ぎないのである。思いの外少ない事が判る。
 吸収量の殆どは、実は海洋生物によって吸収されており、この量は何と、22億トンに上るのである。で、この海洋生物というのは、実は、炭酸ガス濃度が高い海域に存在する植物性プランクトンなのだ。
 因みに、吸収される炭酸ガスは9億トン+22億トンで31億トン、つまりは、61億トンの内、大気中に増え続ける炭酸ガスは61億トン-31億トン=30億トンが毎年増え続けるという。
 この毎年30億トンずつの大気中炭酸ガス量が増加することで、大気中の炭酸ガス濃度は、ここ20年間はずっと毎年2ppmずつ増加している。

 さて、この一方で、世界の海洋環境保護という建前?(ホンネは、貝毒系生物の侵入による魚介類からの中毒汚染の防止)で、世界を航行する船舶から排出されるバラスト水を処理せよってムーブメントもあるのだが、この処理技術の多くは、船舶の搭載するバラスト水中に含まれる海洋微生物(海棲生物の幼生、動物プランクトン、植物プランクトン)を薬剤、機械処理等によって滅菌、殺菌、殺滅せよというもの。

 これら殺菌の中で、薬剤殺菌というのは、薬剤中和後等でも死骸等の海水中有機物が増加するリスクもあるし、処理不完全な薬剤が海域にばらまかれるというジレンマを抱えている。
 このジレンマが意味することは、薬剤の完全未処理前の排出は、排水による海中の植物性プランクトンを殺すことにも繋がるし、死骸等有機物の排出も、その海域における食物連鎖形態を破壊することとなり、植物性プランクトンの減少にも繋がるもの。

 その場合、炭酸ガスの多い陸地周辺の海域における植物プランクトンの減少というのは、先の地球温暖化ガスの吸収率が大幅に低下することが危惧されないか?という心配をしてしまうところ。

 これらの問題を解決するには、バラスト水は船舶に積み込む前に処理すべきであり、排出する時には、絶対的に処理物質を凝集等によって回収しなければ上記のリスクや矛盾は解消できないのではないだろうか?

 そう思うと、日立さん、三菱さん、住友電工さんのコア技術を用いた、磁気凝集システムしか生き残れない気がするところだ。
 それにしても、全世界の1/20に相当する炭酸ガスを日本が排出しているっていうのは、世界の人口に締める人口割合からすると多すぎである。

 炭酸ガスの固定化?っていうと、先の植物性プランクトンの培養とか、そういった生物の遺伝子を陸上植物に組み込む等があるんだろうけど、そういう小手先の対応は後に新たな問題を生みかねないのが現実であり、世界の炭酸ガスの吸収能力が31億トンならば、排出ガス量は大気中炭酸ガスを減らすためには31億トン未満で成立する社会を作るしかないのである。
 現行で61億トンを31億トンにする。世界の人口が現在67億人、っていうことは、権利を等しくすると、1億人で0.5億トン程度の炭酸ガス排出に留めるのが最適ということ。日本が4.5%の排出なんで、現在が3億トンを排出している訳であり、これを0.5億トンに留める事を国家間の約束事として取り組むしか無いのでは無いだろうか?

 変な小理屈よりも、日本で使用可能なエネルギー総量を排出炭素量0.5億トン相当しか国際条約で認めないというのが一番である。全ての国が人口比率に従って排出炭酸ガスを制限するというのが一番である。ここに排出枠取引なんぞ廃止するのが、環境回復には最も有効なのは言うまでもない。

 単純に言えば、暮らしは快適さを失うかも知れないが、エネルギー量は3億トンが0.5億トンで1/6になるということ。光熱費は1/6で済む訳だ、、、、。

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