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2008年9月 5日 (金)

乗り心地

 今更ながら、トーションビーム式は、、、、、である。
 トーションビームっていうと、アクスル(車軸)を持たないFF車の後輪の懸架方式の一つ。左右後輪がトレーリングアームによってストロークする構造がトレーリング式だけど、この左右のトレーリングアームを捻れ梁(トーションビーム)によって連結したのがトーションビーム式のサスペンション。梁の位置がアームピポットに在る場合がピポットビーム、車軸位置に在る場合がアクスルビーム、その中間に在る場合がカップルドビーム。左右アームを捻れを考慮したビームで接続したものであり、完全リジッドのサスペンションと独立懸架サスペンションの中間とされるが、基本はリジッドサスペンションの一種。

 リジッドサスペンションだから悪い!って事は無いのだけど、独立式との最も大きな違いは、一方の車輪の動きが他方に影響を与えるという点。細かい話、例えば、キャンバー変化云々、バネ下荷重云々等々色々あるけど、機能的に考えると左右の動きが影響しあうのが独立式との最大の違い。

 例えば、FR車のリジッドアクスルの場合、一般に一方が縮められると、他方はアクスルの仮想センターである中央を支点として反対の動きをする。そう、一方が縮むと他方は伸びるのである。オフロード車では、一方の車輪がストロークする程に他方の車輪が地面に押し付けられて駆動力を確保するという意味からリジッドアクスルが好んで使われたりするのである。この感覚は、過去に軽のジムニーターボ、シエラ、エスクード二台と乗り続けて実際に悪路遊びをした時にも感じた感覚で、当時友人のRAV4なんかとは絶対的に違う駆動力に感心したりしたのを覚えている。

 しかし、この左右の動きが互い違いの動きをする事で美点を発揮する一方で、左右の動きが同じ動きが要求されるような状況では極めて悪い乗り心地に驚いた事もある。
 それは、踏切の線路を横断する時とか、高速道路や橋梁の高架橋を走行する際の路面を横断する溝を乗り越える時である。この状況は、一方の車輪が持ち上げられるとと同時に他方の車輪も持ち上げられる場合であり、この状況ではリジッドアクスル車は実際のギャップ以上に大きな突き上げを感じる事が多い。RAV4は快適だったけど、エスクードでは耐えられない。他にも、先代MPVで高速道路を走った時も突き上げは激しいモノを感じたし、現行エスティマでもそうだ。

 この感じ方が正しいかどうか?は知らないけど、自分の体験上、リアリジッドの車っていうのは、突き上げという不快な印象が鮮烈であり、どうしても気になるのである。

 しかし、このトーションビーム式のサスペンションっていうのは現代の車では広く使われているメカニズムで軽四、リッタークラスに留まらず、2000cc以下では殆どに迄普及しているし、最近ではアルフォード、MPVといった大型車にも採用が進んでいる。

 勿論、このビーム式サスペンションが安物という理由で大型のSUVに採用されたのでは無いだろう。ストローク量が増えてもキャンバー変化がしないとか、荷室や客室にサスペンション機構収納のための犠牲空間が最小に留められるとかのメリットがあるだろうし、車型に応じた適宜を判断しての事だと思うけど、少なくとも、俊敏に走るという見地からは、採用される筈の無いサスペンションであるのも事実だ。
 独立懸架式の最大のメリットは左右が影響し合わない事、バネ下が軽く路面追随性が極めて高い事であり、これは一言でいって左右が路面からの速い動きに対応する事が出来るというモノであり、俊敏さを売りにした車(逆にいえば安定度を売りにする車はビーム式か?)には必須のアイテムである。
 実際、MPVやアルフォードといった大型車をまったり運転する時には、何の不満も感じないけど、ちょこまかと結構な路面の悪い状況を走る時は、気分悪くなるのも事実だが、車を使う道路事情がそれ程整備されていない自分の場合は、ビーム式サスペンションの突き上げ感、バタツキ感は結構気分が悪くなるのである。(都会の整備された路面を走るだけなら関係無いだろう)

 最近の車選びで気になるアイテムの一つで、一寸、ネットを調べると、トーションビーム否定論者が結構多いけど、どんなメカでもメリットとデメリットが在る訳で、トーションビーム=安物という訳でなく、それが選ばれる理由が何か?を考えて自分で判断したいものである。
 よく聞くトーションビーム=安物ではなく、トーションビーム=大荷重でキャンバー変化が無いサスペンション。で適正採用なのは間違い無い。但し、左右後輪の独立した路面追随性が劣るのは事実であり、突き上げを減らすためには柔らかくするのが必須の構造。それ故に、突き上げ等の直進時の乗り心地と高横G等での旋回時のロールを含めた乗り心地がトレードオフにあるのが、この構造だと思う。ただ、重量系ミニバンに採用されるのは、大荷重によるキャンバー変化の無さによる操縦性の安定化から採用が進んでいるモノと思われる。

 ところで、MT、ワゴンは当然ながら対抗車から今のエリオを選んだ要素としては、

・普通の油圧式パワステ(当時の電動パワステは切り込みより舵角が先行する感じ)
・油圧式クラッチ(1500cc以下の殆どはワイヤー式でキコキコ五月蠅い)
・ストラット式リアサスペンション(リジッドサスの突き上げが許せない)
→結果、カローラ系が最初に脱落、序で、インプレッサ、ファミリアが脱落。

 ってところがあるけど、今も同じく見渡すと、、、、、条件を満たす車があまり存在しないのである。

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