« 走る時間帯を変えると、、、 | トップページ | 今更、不景気で定額減税?時代遅れだろ! »

2008年10月22日 (水)

オーダー時代を懐かしむ

 自分がショップや部活を通して密接度が高かった1970年代後半から1980年代初頭の自転車において、とびきりの一品っていうと、何と言っても乗り手の体型、乗り方にぴったり合わせたスケルトンオーダーである。
 スケルトンオーダーが出来る人こそが一人前で、そのオーダーフレームが乗り手にとっての最高の一品という意識があったし、バイト先の店主もそんな事を言っていたように思う。そして、そのオーダーが可能なビルダーの最高峰が東叡社だったりしたように思う。

 そのスケルトンオーダー=フルオーダーであり、そのセカンダリーグレードがセミオーダーというモノ。セミオーダーには何種類かあり、ビルダーがサイズ違いのラインナップをフレーム単体販売したものに、簡単な工作、塗色の違いをユーザーの好みに対応させたり、ショップに吊されたフレームを見繕って組み上げたりのパターンがある。この選んだフレームにコンポ類を好みに組み上げていくもの。

 その次が完成車の高級品であり、BSならダイヤモンド、その後のアトランティスのようなマスプロ製品がそれに該当していたように思う。

 ということで、この世界のトップレンジというのは、何と言ってもスケルトンオーダー製品ということだ。

 で、当時を振り返ると、スケルトンオーダーといっても、その数値自体を明確に指定できる人(客)は、案外少なかったように思う。スケルトンを決定付けるディメンジョンの数値をゼロから指示できる人は相当に少なかった筈だ。

 勿論、そのディメンジョンの絶対的な数値には意味が存在するものだけど、多くの人は、各人が乗ってきた経験でディメンジョンの数値に対する印象を、その人なりに身に付けて、その人なりに相対的に、どの程度の数値にしようか?と考えていたのでは無いだろうか?勿論、相対的に決めるにしろ、そのディメンジョンの数値を変化させると実際の乗り味に現れる変化の傾向は経験的にも理屈の上で見ても矛盾の無いものだったと思う。

 変に小理屈を知らないでも、経験を積む事によって、スケルトンの違いと乗り味の違いを感覚的に身に付ける事は可能で、殆どの人が、そういう積み重ねで経験を身に付けていたのだろう。

 そんな当時の自分の思いは、経験によって数値が意味する事が何か?を純粋に考えるのが難しいと思い、各部の構造が車体の動きにどのように影響するか?を考えて、その数値が変化すると車体の動きは理屈の上でどうなる?を納得した上で、その数値の違うモノを比較して、数値の変化と挙動の変化を理解するような取り組みをしていたように思う。
 そんな意固地な見方が結果にどう影響を及ぼすか?っていうと、実は、あんまり影響しないかもしれないし、其処まで数値に拘っても、得る感覚には目を三角にする程の違いは生まれてこないかも知れないが、そこに違いがあるかどうか?は、拘った数値によって得たモノを自分で確かめない限りは永遠に判らないのも事実だ。
 言えるのは、其処までの違いは無いと割り切れる人にとっては、細かな数値を不要と思う人でもあり、その違いは判らないだろうし、其処までの数値を伝聞とは別に自分の意識として拘る人にとっては、どんなに小さな差であっても大きな違いを感じるのだろうと思う。

 自転車というモノに対する趣味の持ち方は人によって違うけど、その違いに拘るという考え方自体が趣味の持ち方の一つとも言える訳だ。

 そんな1980年前後の考え方は、単車趣味がメインだった1980年代中盤~21世紀になっても自分の中では変わっていない。そして今はどうか?っていうと、細かな違いが挙動に与える影響はどうか?を相変わらず考えている。但し、考える際に使う知識は、30年前の自分と今の自分の経験、知識の差が当然存在する。当時、漠然とした感覚が、今見ると、結構具体的に動きを考えて、そこで比較すべき要素を数値で較べる事が出来る。
 すると、当時より詳細に数値に拘ろうと思えば拘れるようになっているようだ。但し、そこに拘るかどうかは別問題。

 言えるのは、フルオーダーが最高峰だった時代の指定ディメンジョンっていうのは、やっぱり意味があるということ。その意味が何か?を考えるだけで楽しいし、その違いが何を生むか?を想像するだけで楽しいもの。ふと、そういう頃の懐かしさを思い出したりする。

|

« 走る時間帯を変えると、、、 | トップページ | 今更、不景気で定額減税?時代遅れだろ! »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: オーダー時代を懐かしむ:

« 走る時間帯を変えると、、、 | トップページ | 今更、不景気で定額減税?時代遅れだろ! »