今更、不景気で定額減税?時代遅れだろ!
今回の景気後退によって減退した消費意欲を刺激するために、財政投融資特別会計の3兆円から2兆円を表題の定額減税を行うそうだ。定額減税という事で、一律に減税するらしい。子供二人の四人家族では年間で65,000円の減税規模となるそうだ。
因みに、65,000円の減税規模を所得税から行おうとすれば、所得が年間650万円以上が前提となり、620万円以下の場合は、65,000円の減税が受けれないこととなる。
今回は、所得税、住民税等からということなんで、所得税減税で65,000円に届かない人には住民税からも減税ということになる。この場合は、国税以外で減税となるのは、恐らく手続き上、別の法律を通す必要も出てくる。
更に、それでも65,000円の減税にならない人には、なんと、差額を給付するという。
ということで、意地でも65,000円をばらまきたいようである。そもそも財政投融資特別会計っていうと、法律で準備金の必要水準を超えた部分は財政健全化のため国の借金返済に充てることが定められており、減税財源への流用に伴って法改正も検討しても、結局は、その分を調達する必要があり、借金返済に充てることになっていたお金を使うことは、赤字国債を追加発行することと同義であり、単なるまやかしの論理である。有り得ないというか、バカにしているとしか思えないのである。
因みに、日本のGDPは500兆円であり、2兆円の減税が消費に廻るとGDPの押し上げ効果は最大で0.4%に相当し、2兆円の内の1兆円の場合は、0.2%に相当するということ。
定額減税で65,000円戻ってくる!って小躍りする奴が、どれほどいるか?が問題である。周りには確かに定額減税が行われると嬉しい!って奴も居るけど、俺的には、どうでも良いと思うし、実際、減税による税負担が減ったから無駄遣いする!なんて事は思わないのである。
景気対策では減税の他に公共事業等の手立てもあるが、この場合は、多分、見かけ上0.4%のGDP押し上げが期待できるけど、公共事業という利権が一部に限定される上に、日本的な談合体質の中で公共事業を行っても、その事業結果と投資コストの生産効率からみると、下手すると2兆円の内の半分以上が特定事業者あるいは官庁の利権に既得するだけに終わるように思う。
消費意欲減退というのは、消費意欲を持つマーケットが無いと言う事。市場に魅力を持たせるというのがキーワードだが、魅力が一過性に留まらないような仕組みを作るのが大事だと思う。これは、古いモノを値段勝負で作る市場雰囲気を打破する事が重要で、今のままでは、値段勝負=人件費削減=慢性的な高失業率=経営者への富の集中という基本は崩れない。
経営者への富の集中というのは、利権の集中であり、利権を或る程度流動化するような法律と流動化した利権を流動化している人的資源が利用できるような仕組みなんかが有効ではないか?と思ったりする。
個人的には、既存の概念に囚われない新技術開発を業務の柱として行っているが、そうやって発見した知見は、一般には特許化されて、更に一般には企業に既得するもの。その特許が企業に経営インパクトを与える程であれば、商売として世に出るけど、企業規模によっては休眠させるだけの場合も少なくない。しかし、一部では特許流動化という施策があるけど、これとて、一度は特許を取得するという手間が在る訳で、なかなか隠れた技術が普及するとは言い難いものだ。そもそも、流動化っていうのは、大企業が持つ休眠特許を使う訳であり、自由な発想を呼び起こすという質のモノではない。
思うに、特許のように権利を尊重するのも或る意味重要だが、そのようなプロセスを経ずに、自由に発想して自由にモノを作れるような仕組みというか体制を作り出すのも手だと言える。小さな組織~個人の思い付いた発想を具現化するのを事業レベルで斡旋するような機関があればと思ったりする。
勿論、その思い付きが既に特許化されて休眠状態にあるものかもしれないが、その特許に基づく収益が一定レベル迄は、他人の権利の行使を容認するような仕組みがあれば、技術の発展と技術の原点の保持者の権利も確保できるのでは?と思うのである。
ベンチャーや個人の発想や思い付きを評価し、具現化できる企業を斡旋し、限定された範囲の収益をベンチャーや個人に還元し、一定の比率を具現化した企業にも還元する。その事業原点である技術が他で特許化されている場合は、一定の収益以上は特許保持者に還元するという仕組みが出来れば、技術の循環による分化、新たな、雇用の創出にもつながるし、市場の創出にも繋がる可能性が在る訳だ。この中小以下の事業者の発想を評価し、具現の担い手を斡旋する等の業務自体は第三者的な公平性が必要であり、公的機関が担うというのも理に適うものと思う。
これは、一寸した思い付きだが、消費意欲を向上させるには、単純に減税したり、公共事業を興したりではなく、市場の活性化、市場で溢れる人的資源の有効利用、休眠中の発想の展開による人と技術の流動化を促進させるような施策が最も有効だと思うのである。
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