自動車販売台数の落ち込み度の明暗は?
秋以降、自動車販売台数の落ち込みが著しい。結果、雇用不安、派遣切り、住居不安、、、、いろんな社会不安が巻き起こり、その不安元?の自動車業界も、新車開発計画の撤回、休止、販売チャンネルの展開、工場建設の撤回、モータースポーツ活動の撤退、休止が進められている。そんな国内自動車メーカー8社の11月の生産、販売、輸出実績を見つめてみる。
まず、国内生産は、
トヨタが前年同月比27.2%減の28万8138台
日産自動車が同35.6%減の7万9649台
三菱自動車が同26.6%減の5万5858台
ホンダは同3.9%減
マツダが同19.8%減
スズキは同7.3%減
ダイハツ工業は同4.8%減
富士重工業は同3.8%減
次に、海外生産は、
トヨタは同26.6%減の58万9505台
日産も同33.7%減の22万2212台
ホンダも同9.9%減の32万6176台
となっている。
10月生産実績迄は、此処まで深刻でなく、前年同月比で見ると、三菱、ホンダ、マツダ等は増加していたし、落ち込みの大きなトヨタでも17%減に留まっていたのだけど、11月からは殆どが減産である。大手は軒並み生産が減っているけど、注目すべきはホンダのダメージの少なさである。同月比減率は桁が違う程。
一方で、中堅メーカー以下ではマツダの減率の高さも特徴的である。
言ってみれば、ホンダ、スズキ、ダイハツ、富士重工の傷は浅く、トヨタ、日産、マツダ、三菱のダメージが大きいようである。
勿論、12月以降の減産がどうか?は全く以て不明だが、この11月実績を見て、この違いは何故か?総生産台数、ラインナップ構成でみても、単純に分けれない感じである。この大きな減少率の背景には、直近迄の好景気における大きな増加率が潜んでいるという理由が一つあげられる。これは、減率の大きな、日産、マツダ、三菱であり、これは、1990年代末期における経営危機からのV字の回復があったが故の数字のマジックであり、大きく減ったのではなく、一時的にバブル的な売り上げがあったために、そう見えるだけでは無いだろうか?
そういう景気変動による影響とモロに連動した企業を引いてみると、残るはトヨタとホンダだけである。どっちも最近は継続的な成長を続けてきた企業だが、一方は大きな減率を記録し、一方は減率自体は小さくなっている。これは興味深い現象だ。
金融危機による消費意欲の減退で市場が縮小し、消費者が車を買わなくなったのだけど、何故にトヨタ車が減って、ホンダ車が減りづらい状況となっているか?である。
勝手な印象だけど、トヨタ車のユーザーっていうのは、先の記事にも書いたけど周りに流される奴が無難に選ぶという印象が強く、景気の悪いという報道で、購入意欲が削がれやすい人が多いのが原因かな?と思うのである。ホンダ車っていうのは、個性の強い商品群故に、景気の影響よりも消費者が欲しいと思ったタイミングで購入するという傾向故に、市場心理に影響されにくいのかな?と思ったりするのである。
そういえば、V字回復を遂げた日産、マツダもイメージ戦略先行で、消費者洗脳?により消費を煽動してきたような傾向があるけど、そういうイメージ戦略、市場心理操作に依存すると景気動向にダイレクトに影響を受けるのかなぁ?と思うのである。
ホンダの商品の強さは、多分、商品にメッセージが強く込められており、それとシンクロした消費者個人の意識が購買力に結び付いている点と思うのである。この傾向は、富士重工にもある。或る意味、軽自動車もそういう商品である。完全に道具としての存在価値であり、商品には色気は皆無である。それ故に、ライフスタイルに応じて必要ならば売れるという売れ方には市場心理の影響度は、イメージ戦略、消費者洗脳による市場確保を行ったメーカーに較べると少ないと言えよう。
恐らく、トヨタ自身もそれに気付いており、それが富士重工の子会社化、ダイハツ工業の子会社化を計ってきた理由だろう。
多分、トヨタはホンダになりたがっている。そんな印象だ。
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