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2008年12月15日 (月)

不景気?

 ここ最近で最も報道される事案が派遣労働者の雇用契約打ち切りのニュース。
 全然関係ないけど、街中で最近特によく見かけるのが実用自転車に考えられない程の空き缶を搭載して移動する人の姿。

こういう状況に陥った理由は何か?って考えると、、、、、世間的には世界的な金融危機って話なんだが、そういう不況ってニュース程に不景気を感じるか?っていうと、鈍感なせいか、あんまし実感が無いのが正直なところ。
 一応、報道では全産業的に不況って話を聞くけど、具体例として聞こえてくるのは、自動車産業、エレクトロニクス業界における派遣契約終了の話が多い。でも、他の産業、例えば、流通業界、或いは低価格戦略の食品、衣料関連、他にも、電気、ガス等エネルギー関連業界、輸入品を扱う産業から深刻な話は聞く事も少なく、中には、最高の業績を上げたという話も聞いたりする。

 経済指標的には不景気なんだけど、その指標に金額的な支配力の多い産業の不調に全体指標が引っ張られているように見られるのが正直な感想であったりする。全産業中で、金額的なインパクトが大きいが故に、不景気な指標が過剰に現れているのでは?というと楽観的過ぎるだろうか?
 今回の金融危機の起点の一つとされているサブプライム問題だけど、この影響を受ける度合が、諸外国に比べて軽微とされている日本でも、その影響というか、破綻以前の恩恵を受けた企業のみが影響を受けているとも見えるのである。

 サブプライム問題っていうと、本来、購買力を持たない層が過剰な消費行動に走った事による破綻が一つの原因とされいるが、そういう層が注目したのが、海外不動産、それに関連する商品群だった訳である。そのインスタント成金に必要なアイテムが、成金趣味に相応している程々の(本格的でない、或る意味手軽な、新興ブランド的な)高級車であったり、立派なリビングに相応しい大画面テレビだったりしただけの話では無いだろうか?
 本来、購買力を持っていない層が、蜃気楼のような購買力で消費行動に走る様にマーケットの存在を信じ、そこに群がった企業がダメージを受けているだけのようにも見えるのである。少なくとも、日本企業でダメージを受けている企業は、そういう企業における高収益商品の売り上げの急減速が業績に影を落としている。その対象商品、対象ブランドの殆ど全てが、ここ数年に飛躍的に発展したモノばかりであり、その発展の原動力は、そこに(特に北米に)マーケットがあると信じたマーケティングによるものの筈だ。つまりは、マーケティングのミスにより今の事態を招いているに他ならないのである。

 その突然生まれたマーケットに対応するために、企業が取った策は、そのマーケットに提供する商品を製造するための人員であるのだが、そのマーケットを賄う人員に資質は不要というところに問題が隠れている。そう、数的な確保でマーケットに商品が提供できるという意味で、そこに供給する商品というのは、実は高い付加価値を持つモノではなく、印象的な高付加価値って部分が先行していたのである。それ故に、今の急激な派遣切りの前段では、過去においては急激な派遣契約の増大って事実があった筈だ。
 言ってみれば、企業の製品は、企業に長期滞留が必要な人員で無くても製造可能なものばかりという事になる。

 この背景を勝手に想像すると、結局は、バブル崩壊以降のゼロ金利政策、量的緩和による円安誘導で、企業が製品販売における競争力を為替による価格競争力のみに頼り、新たな技術開発、技術開発に必要な長期滞留人材の確保を疎かに円安バブルの利益にしがみついていたのが原因とも言える。
 円安バブルで価格競争力を更に高めるには、人件費を如何に低減するか?が鍵であり、非正規雇用をスタンダード化した時の政権が企業の利害に乗っかったのが今を作っていると言えるのである。

 今、政策的には既存企業の古い価値観を守るような政策を施しているようだが、価値観の脱却なくして再成長は有り得ないのでは無いだろうか?
 過去の15年と今後の15年の違いは、日本企業の主要製品市場における国際的な競争相手の存在の有無。今は、競争相手が非常に沢山居る。低金利政策が取れず、価格競争力が維持できない今、従来通りの価値観の製品製造では、国内に外貨を取り込む事は不可能だ。
 円高を前提とした付加価値を生む製品に特化した製造にシフトすべきであり、それには、開発に必要不可欠な企業への滞留人材を確保する事が必須。そういう方向に舵を取るべきである。勿論、現段階における非正規雇用の人間も、新たな価値を生み出す資質を身に付ける事が生き残りの正否に関わってくるのでは無いだろうか?
 まぁ、そうは言っても、日本企業の多くが和算型企業でなく、乗算型企業であり、製品展開が殆ど相似則に従った戦略を取る企業ばかり。それ故に、新たな価値を創出するという部分は相当に苦手っぽいのが不景気が長期化する懸念を抱かせるもの。

 そんな現状では、政策的にも長期的というか時間の掛かる対策ばかりでは、消費の冷え込みで、現在影響が少ない分野にも影響が出始めるのも事実。運輸、海運、エネルギー関連、輸入品が主体となる産業にも影響が出始めると不景気を実感として感じるようになるかも、、、、。

 まぁ、今回の不景気は何時まで?って声も良く聞くけど、景気に限らず、全ての物事は波形的変化を繰り返すもの。これは摂理である。ならば、戦後最長の好景気という時期を体験してきたのなら、普通に考えて、戦後最長の不景気な時期に突入すると考えるのが妥当だ。
 個人的には、そういう時期ほど、全てが磨かれると思うので、そういう時代が来るべきだと思うのである。

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