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2008年12月18日 (木)

米国も量的緩和、、円高で効果的なのは?

 つい先日、韓国も金利引き下げで3%という韓国における最低水準迄金利を引き下げた。そして、火曜日未明、アメリカも0~0.25%という最低水準になった。

 アメリカ以外の国家が金利を引き下げるという意味と、アメリカがゼロ金利政策を採るというのは意味が違うように思う。経済政策の根幹に強い経済=強い通貨=強いドルという思想的背景を持つのがアメリカという印象だが、そのアメリカがゼロ金利を容認するということは、アメリカ自身が自国の通貨を強く保つという経済政策を破棄したように見える。
 更に言えば、アメリカの自国の自動車産業等を守るのに最も効果的なのは、日本車を入れない事と考えているのかもしれない。今回のゼロ金利政策によるドル安円高誘導っていうのは、自国防衛のためにアメリカが日本を見放したのか?とも思える程。米国が取り敢えずは威信を捨ててでもって決意の現れとも受け取れる。
 或る意味、アメリカはしたたかであり、今回の金融危機に対しては日本は対岸の火事的な風潮も見受けられたけど、この危機で構造的に最も深刻なダメージを長期に負うのは他ならぬ日本のように思うのは考えすぎだろうか?戦後最長の景気拡大という形で喜んでいたのは他ならぬ日本であり、その根元は日本のゼロ金利政策を許す世界の経済環境であり、その恣意的な円安誘導による価格競争力で世界から利潤を集めてきたモノが回帰するだけのようにも見える。

 少なくとも、そのような他国の威信に乗じた過去の円安誘導で膨大な利益を稼ぎ出すという構造に依存していた日本では、誘導的円安という政策の元で確保してきた輸出製品の市場における競争力が失われるということであり、世界市場において競争が強いられる製品の競争力を如何に確保するか?が重大の問題となる日が迫りつつあるように思う。

 今回の金融危機では、旺盛な消費によって収益を得る事が出来た限定的な産業部門(自動車産業、家電エレクトロニクス等)が大きな収益低下に直面しているが、各国の通貨バランスが新しい関係に移行した時には、収益を世界市場で賄う輸出産業では、輸出製品の競争力による淘汰の流れに曝されることとなる。

 市場が要求するレベルの製品に過不足の無い製品を安く供給できるか否か?が重要であり、幾ら高性能であっても市場が要求しないレベルに性能を上げて高価格を通すというのは不可能であり、要求性能を満たす上での価格競争に打ち勝つか、或いは、要求される要件を広範囲にカバー出来た上で高価格を通すか、或いは、何度の高い要求が求められる新規事業へ製品を供給し高価格を受け入れさせるか?が選択肢となる。

 この原則に従うと、成熟した産業分野では、非常に厳しい競争に曝されるために製品の価格競争力が非常に大きな要素であり、自動車、家電を初めとした製品や、伝統的な製品というのは、中国、韓国を初めとした諸外国と非常に厳しい競争が強いられるだろう。
 逆に、新興諸国が対応できないレベルの製品分野では、新しい製品=新しい価値観であり、その価値観創出に長けるEU諸国との競争が強いられる訳だ。

 今回の金融危機では、産業の受けるダメージの度合は、日本以上に諸外国の方が深刻であり、そういう面では、激しい収益低下に見舞われた限定的な産業以外の業種では、収益力の低下は限定的に留まるかもしれないが、金融危機からの脱却の模索の方向性が決まり、危機の底を打ってからは、新しい通貨のパワーバランスの元で、各国産業が収益を上げるためにとるべき施策が定まる訳で、そうなったときに、誘導的な円安が採れなくなった場合の日本産業の競争力が確保出来るか否かが、日本にとっての本当の危機からの脱却可否を占うものと言える。
 実際問題、諸外国の金利引き下げで円高は停まりようもなく、案外、日本企業の輸出製品の競争力は世界経済の回復傾向が感じられる前の段階に壊滅的な打撃を受けるかも知れない。為替は1995年以降のゼロ金利政策によって強引に歪められていた感も否めない訳であり、金融危機によって生来の為替水準に回帰するような動きが加速するかもしれない。具体的には、為替で1ドルが80円台前半になるかもしれない。

 ところで、今回の諸外国の金利引き下げ、量的緩和というのは、案外大きな間違いかもしれないと思うこともある。

 今回の金融危機というのは、日本のバブル崩壊後のゼロ金利政策と量的緩和による潤沢な資金供給が、世界経済における世界の消費意欲の刺激に相応の影響を与えているとも言える。日本だけの量的緩和が現状を招く要因になっているとも言える訳であり、その日本の当時の量的緩和と似たような政策を世界ぐるみで行うとなると、当時の反動が今を生んだと考えると、これからの施策の反動が同じ様に現れれば相当な影響となって帰ってくるという気もする。

 今の経済政策、政権は世界消費の冷え込みによる市場収縮、円高による輸出産業衰退をネガティブに捉えているばかりだが、資源の無い日本にとっては実は最大のチャンスの筈でもある。
 俺なら、金利は引き上げて、更に円高誘導し、強い通貨をもって開発中断、頓挫している資源の開発権、防災事業、環境関連事業への関与を強め、各国における事業で恒久性、公共性の高い事業権の獲得をする方が遙かにマシとも思う。そういう事業は、消費者の消費マインドとは切り離された産業分野が多く、そういう産業分野での製品を生み出す事で雇用や製品を生み出すことが可能と考えるからだ。
 こういう意見は、過去の世界恐慌における景気停滞を日本が軍事力で海外に出ていった事を連想させかねないが、この度の危機では、経済力を以て事業を海外で進める過程で、資源確保の道筋を付けるというならば過去の二の舞にはならないと考えたりするのである。
 この時代、環境破壊が大きな問題となっているが、その環境への投資が国家負担となるような事業分野で産業を創出するのが一番安定的だ。その事業は何処の国でも必要とされていること。太陽電池、ハイブリッドカー以前に、環境変化によって恒常的にさらされる被害を抑制、防止するような各国の産業を掌握する事。言ってみれば公共事業だが、公共事業でも建設関連とは異なり、今なら、都市災害を防ぐ機器製造に関連する業種。具体的には、電力、公共下水道、防災事業、医療関連、、、、そういう事業には数多くの可能性があるだろう。

 新しい時代での不可欠な産業分野を独占的支配下に置くには資金が必要であり、円が強い内にやっちまえ!っていうのは駄目なんだろうか?技術力のあるホンダとかトヨタには資金注入してでも防災関連の事業を興させ雇用を創出する。そういうのがスマートとも思うのである。

 まぁ、戯言だ。すくなくとも、思い付き的景気対策で埋蔵金をばらまく前に戦略的ストーリーに則った対応を望みたいと思ったりするのだ。

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コメント

こんばんは!コメント有り難う御座います。

この度のアメリカの対応、素早くもしたたかで、そう言う点では驚くばかりです。
金利の逆転というか先手を打った量的緩和で日本は輸出を支える為替相場の指導権を失ってしまいました。
アメリカの素早い対応の裏には、海外の景気状況は相当に深刻な事が伺えます。

これで、日本経済の回復は、完全に外国次第か?という状態。政策的な手法が今聞こえているような政府政策では、恐らくは想像を絶する程の長期間に渡る不況が訪れるかも知れません。

投稿: 壱源 | 2008年12月18日 (木) 23時25分

こんばんは!いつも拝見させていただいてます!

いよいよアメリカがゼロ金利政策を採りましたね!
これはドルの権威を著しく下げ、
いよいよアメリカは死に体になってしまうのかな?
と大げさですが私は思っています。

これを受けて円高がますます進み、
来年から日本経済が悲惨な事にならないか心配です。
日本政府や与党も日銀に圧力をかけているようですし…

経済問題に関して自分は素人ですが、
これまで上辺だけを繕ってきた日本経済に、
いよいよそのツケが回ってくるような気がします。

投稿: Mocha | 2008年12月18日 (木) 20時52分

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