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2008年12月 7日 (日)

コンパクトクランクブーム

 なんだか最近は、このブログとメインサイトのコンパクトクランクの記事にアクセスが集中しているようだ。

 という訳で、コンパクトクランクに対するネット上の意見を検索してみた。すると、、、、おぉ、、、みんな大崇拝しているようだ。殆どの人が異議を唱えていない。異議を唱える人の意見には、言ってみれば幼稚な意見(私の判断で)が多い。下りで回りきるとか、重いギアで踏む機会を失うとか、、、

 で、コンパクトクランクが何故流行しているか?っていうと、ギア比をデジタル的(単に単独のギア比のみで)に判断した時に絶対的にロールアウトが短くなり、踏む力が軽くなるということ。それに尽きるのである。で、軽いギアがカッコイイ!って事がトレンドになったのは、今話題?のランス・アームストロング選手がツール7連覇の偉業を成し遂げた時の漕ぎ方、軽いギアで高ケイデンスが合理的って認識が一般的になったこと。そんなところだろうか?

 しかし、これに否定的な意見を持つのが自分。勿論、軽いギアが大切。沢山回して漕ぐ方が楽だけど、だからといって、その方法論がコンパクトクランクには行き着かないのである。

 その理由の一部は、過去記事、メインサイト記事にも記載しているので割愛するけど、世間一般でいうコンパクトクランクに感じるデメリットというと、純粋にクランクのアウターとインナーの比率が大きすぎであり、前の掛け替えで、後の併せ方が煩雑になるって話と、前のワイド化でチェーンのたすき度合が大きくなるって話を書いたと思う。

 でも、実はもっとイヤな部分があるのである。

 それは、、、、、高ケイデンスで回した時の脚の回転数への追随性の問題。

 一般に高ケイデンスで回す程、出力が同じの場合は踏むトルクが小さくなっている。その分、回転数が高いのだが、、、、この回転数自体が無尽蔵に変化させる事が出来ないのが自転車の面白いところ。例えば、70rpmで走っている人が90rpmに(絶対的には+20rpm、相対的には+28.5%)対応させるのは可能だが、90rpmの人が同じ回転数だけ上昇させた時は110rpmだが、同じ回転数比率を挙げようとすると115rpmとなる。そうやって、漕ぐ基本回転数が高くなる程、上げれる回転数比率は小さな値となる。回転数を変化させれる幅が広い程、離れたギア比が踏め、逆に言うと回転数変化の幅が狭い程、ギア比が近くないと踏めなくなる。

 高回転志向のペダリングでは、走行負荷の変動を回転数を保ちながらペダルを踏む力を一定に保つという前提であり、負荷変動に細かく対応できるようにペダルを踏む力を細かく調整しなければならない。それが出来なければ、回転数で調節しなければならないのである。
 だから、回転数の高い巡航走行では、負荷に応じてギア比を選ぶ時に微妙に重い、微妙に軽すぎるという状態を実感するのである。

 つまり、高ケイデンスで回転の変動比率を抑えて漕ぐっていうのは、踏む力が小刻みに変化させれなければならないのであり、そのためにはカセットセットの歯数の隣接比が小さくなければならないのである。これは、想定回転数が高い程、ギア比の隣接度合がタイトでなければならないという事である。
 元々、ロードバイクっていうのは、そういう使われ方が前提で、概ねギア比は1T飛びのクロウスレシオとなっているけど、1T飛びで使う歯数領域が何処か?によって、隣接度合が違う訳だ。例えば、11-12-13T辺りでは、1/12=8.33%となるけど、18-19-20T辺りでは5.26%となる。これだけ違うと漕いだ感じ随分違うのである。

 だから、思うのは、脚力の無い人が高ケイデンスを狙う程、カセットの隣接度合をタイトに組むというのが正解だということだ。これは、コンパクトクランクの結果とは正反対である。ギア比端部におけるロールアウトの絶対値では同じだけど、使用領域でのギア比のアナログ的な繋がり具合は全く別物である。
 コンパクトクランクでカセットセットを11-21Tとか12-23Tというのは、回転数が高い漕ぎ方をする筈なのに、カセット側の隣接比が通常クランクのままということは、それで回転数の高い漕ぎを入れた時に変速による負荷の変化率が大きくなり、その変動負荷がダイレクトに膝に響くのである。これは、コンパクトクランクで高回転ペダリング推奨という論理に反する状態だ。
 逆に、通常クランクセットでカセット側のクロウス領域を大きい歯数域にすると、高ケイデンスでの漕ぎを入れた時に負荷変動を小さく保つ事が出来るのである。

 因みに、これは自転車以外の世界では常識的な発想だ。単車等で高回転型にする程に、回転で出力を稼ぐ分、負荷トルクの影響を小さく留めるために、多段且つタイトにミッションを組む。これが所謂クロウスミッション。
 自転車で、何故に高回転化するのに、相対的なミッションの隣接比がそのままで、負荷トルク側から見ると変動比が大きくするような組合せがブームになるのか?

 これは、甚だ疑問なのである。

 すくなくとも、コンパクトクランクで軽いギア云々を言うならば、通常の11Tとか12Tトップでなく、13T、14Tトップのカセットでクロウスレシオを用いた方が随分快適(トップ歯数が大きいと実使用域においても1T飛びで作れるから)だと思う。
 回転数を高めで走りたいからって言う人は、コンパクトクランクよりもリアカセットの見直しをすべきだし、それでも重ければ、フロントのアウターを48Tとか50Tに変えるだけっていうのが本来の姿の筈。
 フロントインナーに34Tが欲しいっていうのは、回転数を高めたいためっていうのは言い訳で、実は楽して坂を上がりたいっていうだけの筈だ。そこで、見栄を排除して楽に坂を上がりたいっていうのなら、単純にMTBのカセットでも組めば済む問題なのだ。

 で、どんな漕ぎ方が楽か?っていうと、ここからが勝手な持論。

 ペダリング回転数を上げるには、漕ぎ方と踏む力の両方が必要だ。但し、低回転で回す時程、踏む力の割合が高くなる。つまり、脚力が弱い人程、出力を上げる場合に、踏む力という筋力に依存しない技量という部分で対応出来るのである。そう、回転数が高い程、実質的な筋力不足を補えるのも正論なのである。
 ということで、自分は相当にケイデンスを高めるトレーニングを自転車部時代に行ってきた。無負荷ローラーなら240rpm程度は回るし、今の負荷付きローラーでも220rpmは回る。実走では、固定シングルだろうが小径折り畳みだろうが最高速度を記録する時は170rpm以上は回っている。で、最低回転数で100rpm、速度維持走行時は120rpm以上が通常となっている。
 こういう回転域で走る時は、どんなギア比を使っているか?っていうと、前50Tで後は18~21T近辺だ。速度的には40km/h前後って状態。こういう速度域は一寸した風速の変化、路面の変化、自分の疲労に併せて細かくギアが選べる方が失速が最小となる。そういう状態でギア比が近接しているのは実に扱いやすいのである。

 で、本論に戻し、、、、単純に軽いギアで坂上りを楽にするのならコンパクトとかMTBカセットで良いと思うけど、軽いギアで高回転を踏むならば、カセットのクロウス領域の隣接ギアの近接度(レシオ比率)に注目するのがお奨めである。

 結論、自分は、そういう使い方であり、コンパクトクランクのように前の掛け替えで後探しが煩わしくなるような組合せは今一である。
 仮に、コンパクトクランクベースというならば、インナー34Tならアウターは42T程度、それでクロウスのCSを併せるって方が自然。中にはトリプルのアウター外しって人も居るけど、トリプルのアウターを外す時点でQファクターはトリプルと一緒。ならば、どうせアウターは使わない訳で、Fメカもトリプル用が必須ならアウターギア自体も外す必要も無いのでは?と思う程。

 とまぁ、此処まで書いてきて、コンパクトクランクの定義は?っていうと、これが良く判っていなかったりする。PCDが110mmのクランクセットの総称か?アウター50Tの総称なのか?或いはインナー34Tの総称か?だが、仮にアウター50Tならば素人には重すぎ。インナー34Tの意義なら高ケイデンスの説明には合致しない筈。不思議なもんである。

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