雇用不安ネタ
最近のニュースでよく聞くのが、表題の雇用不安関連。特に派遣労働者の契約打ち切りがニュースを賑わし、その派遣労働者の派遣の在り方、規制緩和・・・・・に遡った話題が多い様子。
この問題、聞けば聞く程、難しい問題のように感じる。労働者の言い分、経営者の言い分、判らないではない。どっちが正しいとも言い切れない。
派遣という呼び名が一般的となり、派遣という選択が就労の一つの在り方として認知されたのは、悪い事ではないのは間違いないけど、結果として様々な問題が顕在化しているのが今の状況なんだろう。
意見として纏まった形で記事に出来ないので、思い付くままに印象を羅列してみると、、、、
経営者が派遣労働者を採用するのは正規雇用よりもコストが安いからという大義がある。そして、派遣という呼び名の如く、派遣されたモノは非正規雇用だから契約というのは長期契約を保証するものでも無いのは確か。しかし、企業が正規雇用を減らし、派遣契約を増やすっていうのは、根底に何があるか?というと、企業側の論理として、人件費圧縮による製品コストの圧縮と、国際競争力の確保という大義がある。
ここで、思う疑問点がまず一つ。それは、日本製造業が製造する品目が、人件費の安い国々で作れる品目と同じであるのは何故か?もっと言えば、人件費の安い国々で作れるモノを日本企業が製造を請け負う必要があるか?という疑問点。製造という行為では、製品を作る担当は、一番安く作れる国であるべきという考え方からすれば、日本企業が人件費勝負で人件費の安い国々と競う事自体がナンセンスでは?と言う事。
少なくとも、製造業における派遣の在り方として、安価な労働力という考え方は、企業自身が製造する品目自体が間違いとい印象。
他には、派遣というのは、派遣されると言う事であり、派遣される理由は、短期かつ高技能という前提が絶対必要だということ。契約の抜け道ではないが、派遣~期間~派遣という形で雇用形態を変えて長期間の雇用を行うというのは、脱法行為であり、派遣というならば、最長でも3年、それ以上は、派遣元、形態の在り方を問わず、同一人物を断続、連続を問わず一定以上の期間で雇用契約をするならば正規雇用を義務付けるというのが本来の姿の筈。労働の流動化を大義として掲げるならば、雇用側、被雇用側ともに異議は無い筈。
あと思うのは、企業の正規採用の在り方について。
これは、企業が企業業績に応じて新卒採用を毎年調整しているが、その調整の影響を被るのが新卒世代。運の良い世代は、労を厭わずして正規雇用され、運の悪い世代は、苦労しても新卒で入社出来なかったりする。企業側に求める社会的責任としては、企業規模に応じて入社を受け入れるべき最低の人数的なノルマが在っても良いのでは?というのが印象。当然、そのノルマには下限があると同様に上限があるのも然るべき姿では?とも思う。社会として就労者を受け入れる枠には一定の制限があっても良いと思うし、そうでなければ世代間の不公平感は解消されないように思う。
全体として、派遣労働者、非正規雇用労働者の今の問題は企業に責任があるように思う。人件費勝負という弱者を利用するという一番安易な方法で物作りを行う事を普通と思う思想が根底にあり、非正規、正規に限らず雇用規模を景気動向によって調節するのを当然という思想が根底にあるのが間違いのように思う。
企業が社会的責任を叫び、環境問題云々を言う前に、社会から財を得るという立場を考えれば、企業が存在する限り、人材は安定的に一定量を受け入れる義務があって然るべきであり、そのためには人件費圧縮競争に走らずとも利益を計上出来るような質の製品を供給し続ける、つまりは、生活や文化向上のための新しい価値を生み出し続ける開発力があって然るべきと思うのである。
逆に言えば、新しい価値を生んで価格に転嫁出来ないような企業は、他国の安い人件費で供給される製品に駆逐されて滅びるのも仕方ないか?とも思えるし、価格競争を甘んじて受けるような製品しか作れない企業で働く人は、その競争力が無いならば、安い人件費を派遣労働者に限らず、正規雇用、管理職、経営者に到るまで全てが、安い人件費に相応した給料しか得られないっていうのも当然といえば当然なのである。
勿論、雇う側の企業ばかりの責任というものでもなく、派遣形態で働く労働者自体も、企業における価値創造において、正規雇用労働者以上の能力やスキルを持たなければならないのは、言うまでもない。派遣、正規に限らず、雇われるという概念よりも、雇わせてやるという概念が通用するような立場、労働者個人が自己のスキルを競争力のある商品とするような考えが本当は必要なのかも知れない。それが可能ならば、空論的な理想論かもしれないが、非正規雇用は正規雇用の3割増しの賃金、尚かつ、派遣元が変わっても同一人物が企業に派遣として働くのは、正規社員にならない限りは厳密に罰するって価値観も通用するように思うのである。
人件費の安い国の製品と競争するから安い労働力が必要なのであって、そういう競争が不要なレベルの製品に仕立てれば、高い価格も通用するのでは?っていうのは、幼稚な発想かもしれないが、一番、シンプルで理に適っているように思う。それには、安い人件費でなく、高くても真似の出来ない人的資源による価値創造っていう方向に企業、労働者双方が思考を向ける必要があるのでは無いだろうか?
個人的には、そういうのは教育が一番重要では無いか?と思ったりするのである。
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厚生労働省による史上最大の“派遣切り”
◆厚生労働省の横暴か暴挙か・・
厚生労働省が派遣会社の許可制度見直しを決めました(3/26)。労働者派遣法改正案が未成立の現段階で、何の議論も無しに人材派遣会社を廃業へ追い込む暴挙というほかありません。この制度見直しが今秋から実施されたなら、派遣労働者は雇用を奪取され、今後2年以内に約200万人以上の「派遣切り」が現実のものとなります。そして、人材派遣会社のほぼ90%は廃業に追いやられるという非常事態を招くことになるのです。
◆人材派遣会社を潰すつもりか
◆廃業に追い込まれる人材派遣会社
◆人事総務部ブログ&リンク集
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投稿: 人事総務部-ブログ&リンク集- | 2009年4月14日 (火) 20時06分