自転車のエンジン
自転車で速くなりたい!ってモロな語句で検索する人、結構多い。
機材云々、乗り手云々、、、、色んな説がある。
その前に、自転車の動力源について考えてみた。(これはメインサイトのとあるページに既に記載済みの文章)
・自転車の動力源は何か?
それは殆ど脚である。
・速さとは何か?
それは、速さ=出力=踏む力×踏む回数
・踏む力とは何か?
加速中なら加速度を生むのに必要な力であり、巡航中なら負荷抵抗(風とか勾配とか)に打ち勝つ力である。
・踏む力の源は何か?
身体(脚と体幹)の筋肉の合計
・踏む力と回転数の関係は?
車のエンジンと同様に回転数に連動せず殆ど踏む力は一定
・速くなるには?
出力アップ、即ち、筋力強化か回転数アップが必要
・筋力強化には?
筋断面のアップには、10RM程度の筋トレが有効
・回転数アップには?
適切なポジションで、適切な踏み方に尽きる
それだけである。この状況を長時間維持し続けるとなると、それは筋肉の緊張状態を持続させない事。断続的な入力にすること。不要な力を抜く事。同じ出力ならば回転数が高い程、力は少なくて済むので、勝手に脚が回る乗り方を会得する事。
こういう事を書きながら、これって全くオートバイのエンジンと同じ様な感じである。
自転車に熱い人の日記やブログを見て思うのは、筋力強化っていうのは自転車で叶うか?という疑問と、回転練習と名打った軽負荷高速回転のペダリングの練習が有効か?という疑問だ。
筋力強化は自転車の世界以外、筋トレ等の世界では1RMの運動でなく、10RMの運動を断続的に行うのがセオリーとされている。自転車で言うと、10回漕いで終わりという状況が想像できない。結局、重いギアでヒルクライムとかいうのは、筋力強化よりも根性というか山を登った達成感の方が大きい筈。
筋力の尺度に脚の太さがある。脚の太さには骨の断面積、脂肪率等々あるけれど、大雑把にいうとどうなっているか?を例に示すと、、、、
・日本人の平均的な太股の太さは51.5cm
・日本人の平均的な脹ら脛太さは35.6cm
である。これに対し、
・S級S班の本職さんの太股の太さは63cm
・S級S班の本職さんの脹ら脛太さは42cm
この断面比は、(63/51.5)^2=1.49倍、(42/35.6)^2=1.39倍である。
恐らく、体幹の筋肉比率も似た様なモノだし、体脂肪率を考慮に入れると、更に大きく異なる筈。筋肉断面積こそ筋力に直結するもの。筋力=踏めるペダルの重さになる。即ち、ロールアウトになるのだ。
実用自転車のロールアウトが4~5m程度で、本職さんのピストバイクが6~7.5mっていうのは、セオリー通りとも言う。
脚の細い奴、即ち、筋肉の無い奴が大きなロールアウトを踏むというのは、踏み方的に長時間、大きな力を掛け続けること。その間、クランクは回り続け、常に関節の角度が変わっている。それでも大きな力を入れ続ける。それで痛くなる。至って当然の事実だ。
各自が脚の太さを計って、筋断面が標準に対して如何ほどか?を冷静に受け入れギアを選択することが大事だろう。瞬間的に大きな力が出せないが故に、クランクの作動角度の広い範囲で力を入れ続ける。それでも動力を最大に利用出来る瞬間は一瞬、つまり、その一瞬以外は入れる力は無駄な力となる。無駄な力が無理な力になると痛くなる。そんなもんだ。
時間あたりの出力を上げるのは、力を伝える時間を長くする。それは、作動角を拡げるのでなく、作動点を通過する回数を増やす事。そして、伝えるのは、その瞬間。つまり、回転数を上げる事が動力を上げる秘訣だ。
回転練習で尻が跳ねるとか、、、、そういう話は聞くけれど、回転練習とは高回転を回せるか?無理矢理、回せるか?を試すものとは違う筈。回転練習とは、駆動時において踏み外さず、最大の力を踏むべき瞬間に加える事と、それ以外においてペダル回転の負荷となるような接触を限りなくゼロにする練習の筈。踏むべき瞬間以外に力を加える意識自体が、反対側の踏むべき瞬間への妨害になるし、戻す時にペダルの存在を足の裏に感じる事自体が、ペダルが戻る力を邪魔しているのが事実。
そもそも尻が跳ねるのは、クランクの戻る際にペダルで足が持ち上げられているから。
つまり、乗り方不良の何物でもないのだ。つまり、クランク軌跡と足の軌跡を同調させ、踏む瞬間を意識することこそが、ロスの無いペダリングを生む事で、それが出来れば無意識の高回転ペダリングに繋がる筈。引き脚というのは、ペダルを引くのでなく、脚を戻す事。つまり、回転練習とは回転アップをひたすら頑張るでなく、そういう意識でペダルを踏む練習の事。少なくとも、俺はそう習ってきた。
無駄や無理を省く事が、出力アップへの近道である。更に言えば、自転車に乗って、肩、首、腕、腰、背中、股、脹ら脛、膝、尻が痛いのは、要は無駄な動きや無駄な力が身体に無理を強いているから。痛いのを当然と考える考え方自体が間違い。素人レベルで痛みを訴える人は多分、、、、いや、絶対に乗り方が変。
更に辛口に言えば、ジェルサドル、レーパン、、、、で快適性を追求する理由が、痛み軽減と思う人が居たとすれば、それは、痛み=無理を放置している事に他ならない。
無駄を無くし、無理を強いないようにするには、無駄や無理の信号である痛みを感じない様な乗り方、踏み方を工夫するのが重要。
やはり、一日200km程度の走行如きで、どっかに違和感を感じる事自体、ナンセンスだ。
自転車ブームの原動力の一つに健康というのがある。そうならば、それで身体を壊し、痛みを抱えるなんて、チャンチャラ可笑しい馬鹿げた事だ。
| 固定リンク
コメント