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2009年6月20日 (土)

パフォーマンスの考察

 近いところに居る自転車好きが出入りの店で脚の筋肉について話をしたら、それは必要ない?という話だったんだそうだ。

 自転車=脚細くなる=筋肉は不要

これが、論理なんだそうだ。これ、或る意味で正しいのだ。自転車に乗る、負荷を掛けずに乗る、有酸素運動さ!だから脂肪は燃焼する。皮下脂肪は減る。負荷を掛けない。それ故に、筋肉は過剰に付かない。これは、真実なのだ。

しかし、自転車で高速に移動する。高速に長時間移動する。って場合は、全く別物である。高速とは、時間あたりの移動距離が大きい事。つまり出力が大きい事である。出力とはトルク×回転数の事。至って当たり前だ。トルクとは踏む力、大きな踏む力とは大きなロールアウトを踏むための力。それを高回転、、、、ならば、同じ回転数なら大きな力が出る程、遠くに進める。速く進める。また、同じ力なら、、、、より高い回転数の方が遠くに進める。

 これは自転車に限らず、エンジンとか、効率云々の講釈を垂れる全ての事に言えるもの。

 大きな力を生むには、如何に身体の筋肉を多く使えるか、同じように多くの部分を使えるなら、各部がどれだけ強大か?次第である。これまた当然の事だ。
 事実、スプリントの極致である競輪選手の圧倒的な筋肉は極端な例だが、本場のクラッシックレースに出場している選手の筋肉は、中継映像、特にバイクカメラ等で真後ろから撮った映像を見ると、脂肪の少なさと、四肢の長さから細く見えるかもしれないが、間近に見ると、その太さは圧倒的なモノである。事実、本職さんや本場のロードレーサーの多くはオフシーズンに筋トレは必須なのだ。
 更に言えば、国内のホビーレーサーを含む多くのサイクリストで一線の結果を出している人の多くは、自転車競技以前に他のスポーツを行ってきているのが経歴上殆どを締めている。陸上、水泳を筆頭に、、、、である。これらのスポーツの運動部経験者、体育会系部活経験者なら皆知っている。そう、殆どの部活では、多くの時間を基礎体力強化、マラソン、筋トレに割いているのだ。それがフィジカルなポテンシャルに結びついているのである。
 自分はそれを素地と呼んでいる。素地が在る程に、機材の能力をより高く引き出せるのである。

 同じ回転数なら、力が強い程に速い。これは真実。力の無いモノが同じ出力を得るには、回転数が必要。回転数アップには実は力は不要。必要なのは、単位時間に筋肉を如何に繰り返し収縮させるか?つまり、、、、、純粋に心肺機能次第なのだ。勿論、前提として回転数を変動させてロスを生んだり、余分な力を掛けずに漕げるペダリング技術が同じ前提での話だ。
 心肺機能の高さとは、如何に大量の酸素を送れるか?つまり、運動強度的に低い共同で高い出力が出せる人程、回転数の上限は高いということ。最高心拍数に対して、低心拍で高出力が実現できる事が重要で、心臓が高回転で動くには、心臓の吐出圧力に対して、配管抵抗が低い程有利なのだ。配管抵抗が低いというのは、血管が太いということ。血管が太くなるのは、末端の毛細血管が発達している事なのだ。
 人間の身体の成長過程に於いて、毛細血管の発達に並行して、それが合流する血管の太さが決まって身体が完成するのだ。これは何時完成するか?っていうと、実は成人迄の話なのだ。
 毛細血管の発達とは、その分岐数だ。毛細血管の分岐が多いっていうのは、具体的には筋肉の組織細胞の数に比例する。細胞数の増加は、身体の成長期の運動次第で決まるもの。そんなもんなのだ。
 勿論、心肺機能はそれだけでない。肺活量等々もあるけど、肺活量の大きさも極論すれば腹腔の大きな動きが出来るか?次第である。つまり、大きな呼吸をトレーニングすることで成長期の身体の完成の仕方が決まるのだ。言ってみれば、呼吸法のトレーニングを、行うべき時期にやったか否かで決まるのだ。

 身体の素地は成人期には完成される。その素地の段階で、如何に沢山の筋肉細胞を作り出して、その筋肉を用いた持久運動を行ってきたか?これが全てである。その素地に加えて、様々な技法や知識を加えたモノがパフォーマンスに繋がるのである。

 それ故に、仮にバイク関連での相談者が居た場合、成人未満と話をする場合は、兎に角、フィジカルの素地を高める事が大事という話し方になるし、オッサンと話をする場合は、素地を鍛えるなんて非効率的故に、フィジカルのリソースを最大限に使える技法や知識に力点を置いた話をする。そんなもんなのだ。

 因みに、各自の持つフィジカルのリソースの違いを以て、スプリンター、クライマーと呼ばれる選手に分類されているようだが、それも、各自の身体がどのように作られたか?に起因しているのに過ぎないのだ。

 今年、ツールに出場する新城選手が大きな話題を呼んでいるが、生まれたところが石垣島、沖縄である。ハンドボール選手上がりである。という事で、泳ぎまくりながら、ハンドボールの部活のトレーニングをこなしてきた素地が、彼のパフォーマンスを生んでいるのだ。
 大体、あの風貌で、実は170cmの身長で67kgもの体重を有しているのだ。体脂肪率は5%程度だろうから、それから言うと、骨格筋率は38~40%はある筈。冷静に考えると、圧倒的に頑強な筋肉の鎧を身につけているのだ。それを瞬発系の運動経験と環境的な心肺トレーニング経験でロードバイクで他を圧倒しているのだろう。

 今、内外で活躍しているプロライダーの多くがトライアスロン等の競技経験者というのが上記の事実を冷静に物語っている。トライアスリートの殆どが、陸上とかスイムの出身者なのだ。
 それ程に、バイクパフォーマンスの差違は素地の違いに影響されるのだ。

 良い素材に、その世界の優秀な指導者が適切な論理と戦略を注入する。それが究極のパフォーマンスになるんだろう。

 関係無い話だが、素地が無い、知識を入れない、我流にはしる、、、、結果は出ない。なると、、、、機材のスペックに奔る。これは或る意味、人の性を示したモノ。何故ならば、一番楽な方法に行くからだ。それも自然の摂理である。
 で、必要なのは、第一に素地、第二に知識と技量(使い方、セッティングの仕方)、第三が機材の能力なのだ。良いメカニック、自転車改造マニアとは、素地や技量に応じたセットアップが出来るかどうか?である。

 オッサンやオタクは、第一、第二、第三がひっくり返って、機材グレードやブランドに拘り、ブランドなりのスペックの使い方に固執して、、、、無謀な実践でトレーニングをしたつもりになる。
 それが、、、、致命的な怪我や故障に繋がる場合が少なくないのだ。

 そう、恐いのは、、、、『本末転倒』なのだ。

 でも、業界的には禁句かもしれない。何故ならば、それを言うと商売にならないから。さらに、夢見てガンバルサイクリストも認めたくないだろう。手遅れ世代で素地!って言われたら、夢が見れない事を認める事になるから。難しいところだ。

 でも、趣味として幻想を抱かなければ、、、、ずっと付き合えるもの。付き合い方は、己のリソースに合わせて楽しむという方法。そうすれば、他人との張り合いや、憧れへの盲目的な追認は無くなる。身の程で楽しむ。これが重要なのだ。そのためには、一歩引いた余裕が必要だ。子供が仮面ライダーになりたいような考え方は捨てるべきだ。そんなモンだろう。

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コメント

多分、思いっきりファッションでしょうねぇ、、、
じわ~っと走ると楽しい世界があるのかもしれません。

それか、ピストに乗ったら誰でも競輪選手のように走れると思っているのかもしれませんね。

投稿: 壱源 | 2009年6月20日 (土) 22時24分

自転車に太い筋肉は必要ない
なるほど競技経験が特に無いのに高いギア比のピストに乗ってる人がたくさんいるのがなんとなくわかりました。

つまり坂の無いコースを選んでゆーっくり発進してるんですね。
まったく実用的じゃないけどそれなりに楽しいのかな?

投稿: yama | 2009年6月20日 (土) 18時47分

こんにちは!
了解しました。早速登録しました。
本日中に、当サイトにもリンク登録致します。

投稿: 壱源 | 2009年6月20日 (土) 18時24分

突然のコメント失礼致します。
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投稿: sirube | 2009年6月20日 (土) 17時09分

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