ロードバイクとかピストバイクとか、、、
ロードバイク、ピストバイク、、、このような所謂競技用自転車がブームである。ブームということで、誰でも金を払えば量販店、ネットを含め、誰でも手軽に簡単に買えるモノとなっている。
この競技用自転車は果たしてで誰にでも勧める事が出来る存在か?というと、個人的にはやはり違うと思うのである。
別に偉そうな事を言うつもりは無いが、昔々に遡り、自分が自転車好きになった小中学生の頃に地元の自転車屋さんでカッコイイロードレーサーが欲しい!みたいなノリで話した事があるけど、その際の店主の回答を今でも覚えている。それは、、、、
『乗れる様になってから、乗ればよい!』
って言葉だ。この乗れる様にって意味は、バランスを取って乗車できるという意味でなく、ロードレーサーの意義を理解し、機能を使えるようになってからという意味だったのは言うまでもない。
そんな言葉は、店主から見れば私だけでなく、普通のお客さんにも言われていた言葉であり、そういうのが当時の普通だったように思う。自転車に乗る車型に応じた資格は不要だが、技量や目的に応じて、今と同様に当時もラインナップが存在し、その経験に応じて乗る自転車をステップアップしたものである。そして、ラインナップの序列を見れば、エントリーモデルのシリーズにロードレーサーはラインナップされておらず、ランクが上級に以降するほどに、ファーストライディングモデル、ロードモデル、ピストモデルとラインナップされており、そういう価値観が標準だったのである。
自分が今で言うプロショップに該当する自転車店で丁稚奉公的なアルバイトを始めて数年をショップで過ごしたけれど、業界的にも、顧客的にも、そして、活動的にも、そのような序列は厳然として存在していたのである。
少なくとも、自転車でダイエットしたい!とか、通勤快速したい!とかの思い付きで、『オッ!この自転車はスピードが出そうだな!』って発想を持ってショップに行って、ショップがロードバイクは速くて快適だよ!ってノリで進めるパターンは当時的な感想から言えば有り得ないのである。
ロード、ピストっていうのは、競技のための機材である。最近では更に細分化されてTTバイク等もある様だが、そのような車型、或いは、そのためのパーツ等々は全て機材なのだ。機材とは、自然科学的に優劣がハッキリして専門性の上で成り立つ競技を実践するための道具であり、その形には必然性があり、それは目的の為に必要なものであり、その目的のモノを使って解を求める行為においては、絶対にユーザーに負担を与えるものでは有り得ないのである。不平は不快、痛みを訴えるのは、因果に応じた使い方、選定を誤っているに過ぎないのである。
機材というのは目的に特化する事。特化する事は汎用を捨てるという意味。汎用を捨てるということは、特化した用法のみにおいて効率と快適性を与えるもの。効率と快適性を自覚するには、当然、目的に応じた使用法と、それに見合ったフィジカルを整えるのが大原則なのであり、それが、昔の自転車屋のオヤジの言う経験だと言えるのだ。
そのような自覚を抜いた状態で、素人に乗りやすいロードレーサーとかピストバイクとか、、、そういうのは、有り得ないというのが持論だ。
今、健康のため、リハビリのためとかで自転車を買い求める人が居る。
そんな人に何故だかロードレーサーを勧めるショップがある。これが超不思議なのだ。ユーザーの抱える状態、思いを素直に見つめれば、そのユーザーには何が良いか?を考えると、用法や用途が競技に特化した自転車が如何に当て嵌まらないか?っていうのは、一目瞭然の筈だが、それが最近は曖昧になっている。
やはり、市街地メインの通勤では、それに見合った選択が快適だし、スポーツサイクル未経験者で自転車を実用を兼ねて利用するならば、それなりの選択がある。そのような選択を勧めるには、本来は売り手側が顧客の実際と理想をしっかり噛み砕いて勧めるモノを紹介するような姿勢が欲しいと思うのである。
今の状態は、80年代のツーリングから通勤、通学がメインな用途でありながら、買い手の思い込みで、顧客任せに年々過激になるレーサーレプリカを売りまくり、その実体に顧客が気付いて一気に衰退したレプリカブームのような印象だ。
果たして、買い手の生活においてロードバイクやピストバイクが理想か?というと、多くの人にとってはそうでない様に思う。
ただ、単車と違い、単価が安いから、用途別、目的別に自転車を揃える事が出来れば、それぞれに楽しむ事が出来るから問題無いかも知れないが、それでも、競技機材に属するタイプに乗って、それ風に楽しむには、その機材の意義を理解する程度の準備が必要だと言える。
どうすればロードバイクで速く走れる?とか、ピストバイクの乗り方は?って事をネットで調べるレベルでは、多分、専門性というモノを有する世界において上達を感じれる程の進歩は実現しないだろう。専門性っていうと、科目であり、科目であるには、そこにある論理を自分の言葉で表現出来る程度の理解力と発想力が必要であり、それはネット検索では得られないし、自分なりって言葉で殻に閉じこもる模倣屋の付き合い、友人関係の中でも得られないだろう。
もっと辛口に言うならば、自分でロードバイクを速く走らせる事が思い付かなかったり、ピストバイクに乗るに必要な事が思い付かなかったりする段階で、30年前的に言えば、修行して出直せというのが正直な意見だ。
機材には意義がある。意義には目的、目的には因果がある。その集合、集大成が確立された機材に凝縮している。凝縮した能力を理解しなければ、使う場面、使い方が判らない。そんなものだ。そこに漠然とあるのではなく、あるには理由があるのだ。
それを理解するには、それが無い、汎用的なモノを目的に応じて使い尽くし、自分にとって最初に必要なモノは何か?を一つずつ加えていけば、その取り組みの最後が完成された機材として見えてくるのである。最初から在るモノとして機材を見るのとは次元が違うのである。
これは、スポーツバイクで汎用的な小排気量からステップアップしなければ、高性能車量は扱いきれないという論理に通ずるモノであり、スポーツサイクルでも、経験に見合った汎用車から目的に応じて必要なモノを探すという結果で得た競技機材で無ければ、乗り手が使い切る事が出来ないと言う事に当て嵌まるのである。
ブームに乗って興味を持ったらカッコイイモノに目が行くのは人の性だ。しかし、その性を読みとって、ユーザーの本質の側にたって見繕うショップこそが本当に良いショップだと思う。そういうショップ、昔ながらの自転車屋、頑固オヤジの居る店っていうのがホントに少なくなった様に思う。
金さえ払えば、高級車OKっていうのは、確かに儲かるかも知れないが、なんか、違和感アリアリなのである。
別に金を掛けたオーダー車がロードバイクの体裁を持っていなくても良いように思うのである。金を掛けたオーダー車がユーザーの体力に応じて、ユーザーの投資がユーザーに機能を全て提供するようなセットアップを行う事が愛では無いだろうか?俺的には、このバイクに乗る時はアウターは使わない様に!って指示をするのは、店の怠慢だと思うのである。
カッコイイロードバイクを望むメタボジジイが居たとしても、その希望を叶えるには、そんなジジイに苦痛を与えず、現状のフィジカルで快適性を提供しつつ、満足度を与えるようなオンリーワンなバイクを真剣に考える。そんなショップが生まれてほしいと思うのである。
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コメント
なつかしいですね、、、セミドロップハンドル、、、
因みに、地元の中学は自転車通学は禁止です。昔は、、、ドロップハンドルは禁止でしたね。
投稿: 壱源 | 2009年6月22日 (月) 23時54分
ひとがどうしようが自由ですが、立ちこぎとか異常に横にぶれるこぎかたはしたくないです。
中高生がよくやっていますが、変速機付は禁止されてるのでしょうか?
私はセミドロップ5速で通学してました。(ドロップハンドルは禁止だった)
投稿: yama | 2009年6月22日 (月) 22時44分
自身、ラングスターでピスト復活を考えた時に、どんなロールアウトが良いか?で、手持ちの自転車でロールアウト固定で過ごしたことがありますが、普通に使えるギアはどんなに重くても5.5m止まりというのが実感でした。
自分で言うのも何ですが、脚の筋肉だけは競技者並なんですが、それでも実感として限界は5.5mと思います。
6mのギア比が使えるのは、若干下り勝手の発進が限界だと思います。普通に使う場合、発進の度に立ち漕ぎが必要かもしれません。
投稿: 壱源 | 2009年6月22日 (月) 21時16分
ロードの場合は高いギアがあっても入れなきゃ問題ないですが、シングルは否応なく踏まなきゃならないからぜんぜん違いますね。
分不相応にギア比を高くしてる人がもしいるとしたら、動いてるときのみを基本にしているのでしょう。
発進や坂でのみっともない姿?は見えてないのでしょう。(他人からしか見えません)
投稿: yama | 2009年6月22日 (月) 20時07分
自転車のカッコイイの価値観に有るかどうか知りませんが、傾向的に、小径車に60Tとか、フルサイズなら50T以上、ダブル以下とか、、、、フロントの歯数を大きくする傾向が見られます。
確かに、大きなチェーンリングなら、クランクの見栄え、リングのデザインという自転車のデザインのポイントが大きく表現出来る部分があるのは確かです、、、、。
自身、50Tのシングルを踏むとすれば、、、、多分、無負荷のローラー台とか、或いは、下り坂専用になるかと思います。それでも、前が50Tなら後は18T以上なのは間違い有りません。
お店で、飛び込みの客がカタログ片手に、ピストを注文に来られたそうです。前46T、後16T、、、これでも、ロールアウトは6mです。未経験者が6mの自転車を乗る。これは何を意味するか?、、、、店長さんも辞めた方が良いと言われたそうですが、それでも意志は変わらなかったそうです。市街地オンリーとは言え、発進、停止が多い状況では、多分、苦痛との闘いでしょう。
投稿: 壱源 | 2009年6月22日 (月) 07時54分
性格上ブームに乗ることは無いです。
バイクも乗り初めて数年でブームが来たし、自転車もブームらしい、というのは最近テレビで知りました。
新しいクロスバイクを買って、脚力が上がってるわけでも無いのにピストのギア比をどんどん上げてるひとの気持ちがちょっとわかりました。
軽量で細いタイヤもありますが、それ以上にギアを上げたくなりますね。
よほど条件が良くなければアウター(50t)6速(15t)で止めるようにはしていますが。
投稿: yama | 2009年6月22日 (月) 07時01分