意味無いけど、モノを選ぶ時のイメージ
自転車、単車等々の機械が好きだ。
機械好きとしては、機械がどうよ?って部分で見る。で、どうよ?っていう最初はどこ見るか?っていうと、自分の得意分野が最近は材料関連故に、モノの材料について色んな思いを馳せるのだ。
材料というと、、、、有機、無機、金属、鉄系、非鉄、セラミックス、サーメット、、、、色んな言葉がある。そして、材料の作り方も然り、、、、鋳造、焼結、合成、、、、接合も溶接、ロウ付け、接着、、、、色々だ。
勿論、全てのスペシャリストという訳で無い。
材料関連で経験のある分野は?っていうと、、、、、、昔は、有機材料関連に携わり、その後、有機材料を処理する無機物質関連、その後は、セラミックスを代表とする無機材料の開発、その後、サーメット類の開発、もちろん、製造設備の設計からプロセスデザインも行い、途中は、無機物質と有機物質を結合させるための物質(例えばシロキサン結合を持つ高分子材料)の選定や処理プロセスの確立、各種物質の物性推算プログラムの開発を経て、最近は、炭素繊維と炭素の複合材料の開発、評価、C/C材をマトリックスとした新たな材料の開発と評価試験等を行った経験からの思い込みだが、、、、
結論から言うと、、、、、材料としては金属が一番好き。金属材料でも、加工、成型、接合等のプロセスが枯れた技術によるモノが一番好きである。材料の優劣は、新素材には魅力的な物性を持つモノが多いけど、最終的に使い手が使う時は、何よりも加工成型技術が確立しているかが一番大切。優れたモノでも加工出来なければ、ただのゴミである。
そう、加工に繊細さが必要なものは、今一つ好みで無い。材料の破壊は、材料内の組成、形態、結晶等々の界面から進行する。組成や形態の界面は、プロセスの熱付加、材料の成分、構成成分の物性差(膨脹係数、弾性等々の不整合)から生まれるもの。破壊は界面における破壊の残留要素(残留応力等)によってもたらされる。
つまり、複雑な材料程信用できないって事。複雑な材料とは、製造上神経質な環境が必要なモノや、多数の工程を踏むモノに多く、異なる材料を組み合わせたもの程、そういう要素が増えるモノ。
例えば、合金、金属間化合物もそう。融点の違い、構成元素から生まれる化合物の生成し易さ等々、構成元素自体の反応性がプロセスに大きな影響を与える。どんなに優れた材料でも、プロセスの難易度が高いと現実的に得るのは非常に難しい。
チタンの合金もそうだ。それが構成元素の融点差、反応性の差、結晶の成長度合が物性に大きな影響を及ぼすために製造法は非常に限られる。そんなモノは切削加工で利用するならいざ知らず、溶接作業を施すと、素材は間違いなく理想状態から懸け離れる。現実、チタンの溶接は困難を極め、出来たところで割れの原因や破壊の基点と為りやすい。実際、そうやって壊れたチタン構造物は嫌になる程目にしてきた。これは、趣味関連の部品から業務上コスト度外視で作ったパーツに到るまで、壊れる時は継ぎ目から、、、、って状態がデフォルトだ。
一般的と言われているアルミと銅の合金(ALBC)も然り。鋳物的に製造することは可能だが、これを溶接補修するのは難易度が超高いのだ。といっても、ALBCを高品質に作れる鋳物メーカーは国内では殆ど無いのが実情。
そんな訳で、仮にチタン合金を代表とする製造が困難な合金とか金属間化合物等を使うなら、切削加工で部品が得られるモノ。時計とか、出来たモノが一体部品の組み付けで成立したモノくらい。
それでも、溶接できるものなら、取り敢えず母材同士の接合は辛うじて可能だが、溶け合わない材料は問題が更に深刻。
今流行のCFRP(炭素繊維強化プラスチック)なんかもそうだ。素材自体が複合材料で無機炭素繊維である。これを有機樹脂で硬化したものだが、これを接合する場合、そのままでは母材間に繊維が横断しないので使えない。そのために、一体成型で作らざるを得ない。それがモノコックって奴だ。でも、所詮、炭素繊維と樹脂の混合形態。無加工の剛体としての強度は保てても、材料を接合した局部ではタダの接着とかリベット留めに過ぎない。そこにはアルミ等の金属を組み付ける。その接合は基本は接着剤である。接着剤は、金属の金属結合、セラミックスの共有結合とは異なる炭素-水素結合の力で非常に脆いモノ。更に、耐久性も期待できないもの。更に、接着剤、炭素繊維、金属の物性は大きく異なっており、使用過程において異種材料界面は確実に剥離していくもの。そういう本質を抱えている。
仮に最先端の炭素繊維系であるならば、炭素と炭素繊維の複合材料、C/C材(C-Cコンポジット)位。自身、CFRPは無視して、C/C材の材料開発、これを出発材料とした複合材料を開発している。しかし、それを無処理のままは使えない。コーティングするとなるとやはり有機被膜。耐候性が永遠か?というと、それは有り得ないのだ。
このように、材料を道具として成立させるには様々な加工が必要で、そんな技術が普遍的な方法程、完成度が高く、安定した性能が得られるともいう。
ということで、組合せ構造材として考えると、やっぱり金属だ。金属に勝るモノは有り得ないというのが持論。
金属なら何?っていうと、アルミ系、鉄系であろう。で、アルミと鉄はどう作るのが良い?っていうと、、、、、
金属の接合方法は二通りである。母材自体も溶かして接合する溶接法、母材自体は溶かさず母材間の隙間を低融点金属で埋めたロウ付け法だ。どっちの素材にもどっちの方法も適用できるだろうが、自然に、普通に考えたら、溶接強度=溶接面積、溶接距離という考え方、さらには剛体の強度確保というと肉厚変動の少なさというと、溶接するといっても肉盛りを過大に取る事はナンセンス。使用過程における応力集中の起点になるからだ。
となると、溶接とは、肉盛りせずに溶接面積が確保出来る、、、つまり、一定以上の肉厚が必要、、、、、すると、アルミ合金は溶接向きと言える。
逆に、母材肉厚が薄いために溶接面積が確保出来ないもの、、、、そういのは、重ね合わせ面積を確保する工夫、、、、これって、鉄系はロウ付け向きって事。
そうなると、自身が選ぶ構造物は、、、、
・チタン合金
一体構造物、アッセンブル部品の単体レベルの使用
・CFRP
一体成型で完結したもの。組み付け部品が多いモノには選ばない
・アルミ合金
元来厚肉なんで、構造物なら溶接構造で組まれたモノ
・鉄系合金
薄肉なモノの場合、構造物ならロウ付けで組まれたモノ。厚肉モノなら溶接もOKか?
となる。そんな工法の中でいつも関心するのは、ロウ付けって伝統的な方法。
これは低温ロウを溶融させて母材を接合する。母材間の隙間にロウ合金を埋めて接合する。ロウと母材の間に合金層が存在するが、あくまでもロウ材主体の合金。母材を壊さないのが美点、接合強度確保に必要な接着距離の確保も自由自在、母材の隙間にロウ材を入れるのは、濡れ性、表面張力、毛細管現象といった摂理的な方法に従うところが渋い。これって、最初に発明した人は、モノの現象、真理を突き詰めた人でなければ判らないレベル。濡れを改善したりするのにフラックスなんて発想は素晴らしいモノだ。
予想外かもしれないが、最強(硬度と強度を両立するという意味で)の硬質材料である超硬合金は超高融点の炭化物WCを低融点金属CoやNiをバインダー(ロウ材として固めたような)で固めた合金とも言える。WCを溶かさずとも界面でCo、Ni相との合金をつくって固体化しているのだが、その強靭さは尋常でない世界。
自身、そのスマートさに驚愕して、WCを固める上で必須といわれるNiやCo以外のロウ材となるような第三物質を発見して特許申請したが、超高融点で高硬度な材料を低温で一発で接合するって発想が素晴らしいと思う。
そんなこともあって、自転車フレームで言うと、ロウ付けで作られた金属材料っていうのが一番好きだったりする。ロウ付けする金属というと、スチール(ハイテン、クロモリ、マンガンモリブデン)とかステンレス、、、
そして、自転車フレームとして許せると言える範囲のモノが厚肉であるアルミを溶接したもの。このあたりが好みな構造物だったりする。
勿論、自分の好み。マニア心って部分だ。だから自分のフレーム見て、そういう部分でニヤニヤしているのだ。
・BSのテーラーメイドのフレーム
クロモリ+ラグでロウ付け
・小林のレイノルズ531のフレーム
マンガンモリブデン+ラグでロウ付け
・シルクのR1ピスト
クロモリ+ラグレスのロウ付け
・スペシャのラングスター
アルミ+溶接
である。
逆に言うと、カーボンとかチタンとか、、、、そういうのは、今ひとつ好きになれないし、むしろ、嫌いだったりする。
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