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2009年7月30日 (木)

危機

 今の経済状況は回復傾向とは言われているが、それでも良い状況とは言えない。
 一方で、一寸前の経済状況を好景気といってみたり、バブル時代の反映を懐かしむ声も少なくない。

 思うのは、景気の善し悪しが、どうやら誰しもが、周りの状況のみで決まるとでも思っているのだろうか?

 確かに、景気という経済環境が社会や企業、家計に与える経済効果は少ないが、その経済環境がローカルな経済指標に直結するか?っていうと、必ずしもそうではない筈だが、そんな意識を持つ人は案外少ない。

 言いたい事が見えにくいかも知れないが、例えば、経済活動が活発となり受注が増えたとしよう。その増えた受注で利益が上げれるのは何故か?経済活動を活発にして利益が上がったのは、全て経済環境の恩恵か?というと必ずしもそうではないのである。
 勿論、経済環境が悪化して、連動して収益が悪化するのも、全て経済環境のためか?というとそうではないのである。

 その理由っていうのは、経済環境っていうのは、要は消費マインドであり、そのマインドの変化は物理的な資本の量とは連動していないのが現代社会である。消費マインドが増大すると需要が増大し、逆なら冷える。そんなもんだが、消費マインド自体は、いろんな要因で変化する。そして、その変化っていうのは短期的、急激に訪れるものである。

 そんな経済環境で良好な収益を挙げ続けるには何が一番重要か?っていうと、実際の生産活動を担う資本(設備、人材)の変化と消費マインドの連動性である。
 つまり、マインドの変化に資本の変化が対応できれば一番理想的なのだ。

 仮に、マインドが増大して、受注が増大しても、市場の要求に応える事の出来る体制、つまり資本構造が作れなければ失注して、シェアを落とすのである。或いは、納期遅延で信用喪失となるのだ。増大する受注に資本能力を追随させる事が出来れば、繁栄を受けて、無理ならば受けれない。そんなもんなのだ。
 逆に、マインドが縮小しても、それに応じた資本体制に変化出来ればダメージは最小限になる。

 しかし、その資本変動の緩衝領域である派遣社員の扱いを巡り、資本変動による対応が難しくなりつつある現代においては、資本圧縮せずに組織や社会を保つための危機対応を生めるか否かが、今後の繁栄可否を占うのである。

 現代の景気状況は必ず好転すると言われているが、ここ二十年における世界の経済秩序は大きく変貌を遂げているし、ここ数年の景気変動では、地域の役割は大きく変化している。新しい、経済秩序の中で組織、国家の担うポジションをしっかり確保しなければ、今の状況から全ての産業が好転するという事には繋がらない筈だ。

 インドのタタ社のナノって車を見たけど、これから世界の景気を引っ張る消費ニーズに応える製品っていうのは、あのクラスなんだろう。必要なのはニーズに相応しい性能、コストである。車に限らず、産業機械、家電等々の商品はニーズに合ったモノであることが重要であり、そのようなモノを生み出す力は、そのニーズを持つ地域で既に獲得しているのが、これからの地域間の経済秩序再構成に大きな影響を持っているだろう。

 車、家電、産業機械、、、、そんなモノは、地域で賄えるような産業振興を国策で地域が行っており、そこで生まれたモノが他国の要求に見合うかどうか?を考えた時、車の場合は、ナノって車は他国のニーズを満たせないかも知れないが、韓国で作る家電、中国、韓国で作る自動車、台湾、韓国、ブラジルで作る二輪車、韓国、中国で作る大型産業機械は、既に世界で大きなシェアを獲得するだけの製品競争力を身に付けている。

 日本の産業を見た時に、そのような経済成長の著しい国家の製品と競わざるを得ない企業が、過去の景気を支えてきたのは明らかであり、これから、新しい経済秩序で生き残るための取り組みが必要であろう。
 或いは、欧米が、大衆車、記憶デバイス、大型産業機械から撤退して別の価値観で経済活動を活発にしたように、新しい価値観を持って経済秩序の中で役割を担えるか?が鍵となる。

 これから景気が回復するから、みんな幸せになる?っていうのは、間違いであり、その先に潜む危機に対応する力、人材がいれば、危機は訪れないし、景気に任せて大丈夫という慢心していれば、危機が訪れる。そんな気がする。

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