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2009年8月 4日 (火)

ステンレスフレームを妄想する。その2

 このフレーム、正確に測ると端部肉厚は1mm程である。途中は0.5mm以下なのである。
 ところで、端部肉厚で1mmっていうと、外径が28.6mm、内径は26.6mmとなる。なるほどである。

 で、、、、、その重量が単体なら2kg程の重量、、、、これって、どういう事?って考えてみた。我が家には小林のレイノルズ531スーパーライトのフレームがある。これはシートパイプ径27.2mmだ。つまり肉厚は28.6-27.2=1.4、1.4÷2=0.7mmって事。そう、端部肉厚が1.4倍もあるにも拘わらず重量は遜色ない軽さ、、、、ラグが無い、ヘッドパイプ、ハンガーが薄肉とは言っても端部で1.4倍の肉厚差が在るはずなのに、、、、ましてや、比重は僅かだがSUS304の方が上回っている。001_2  

 空想だが、これでも軽いのは中央部は激薄なのかも知れない。一般にクロモリ鋼では薄くしすぎると割れのリスクが生まれる。
 しかし、ステンレスの場合は結構粘る材料故に、割れのリスクは少ないのだ。割れないから薄くできる。但し、薄くすると強度も低下する。

 特に、素材の応力限界が低いのに薄くするっていうのは、何?って考えてみた。

 もしかしたら、パイプ中央部への応力依存を減らす構造になっているのか?という事。それ故に、パイプの接合を薄肉のロウ付けで完結してネック等のパイプ接合部近辺の強度を過剰に高くしていないのかも?って空想。

 自転車のフレームはパイプワークでパイプ自体の変形、接合部の変形で全体の荷重を受けている。パイプを薄くするっていうのは、変形を局部で賄うのでなく全体で受けるという思想なのかもしれない。薄くしても使用に耐えうる必要があるのは言うまでもない訳であり、堅くて割れるリスクのあるクロモリパイプでは出来ない薄さを得るための選択なのかな?という風にも取れる。
 そうすると、ステンレス材料の靱性という特徴が生きてくるというか、材料を選ぶ必然性が生まれる。
 クロモリ鋼のフレームでは素材ヤング率は同じ。そして、ブランドグレードによって肉厚が大きく異なる。石渡なら015、017っていうのは激薄である。一般的な022が好まれる一方で、軽量目的とは言え015とかのパイプが存在していたのだ。必然的に組成が同じであれば肉が薄いとパイプ弾性は低下するのだが、それでも薄くしている。つまり、元々のヤング率では、それでもパイプ弾性が十分にあるって言う事だろうか?
 何処まで薄くして良いモノか?は想像の域を出ないが、チタン合金の場合は、素材の物性強度が同じであり、同じ強度を持つ場合、弾性の差はヤング率の差となる。そして、そのヤング率はクロモリの半分である。それが製品として成り立つというのは、クロモリとチタンの間の弾性を得るには、クロモリを限界以上に薄く出来ず、チタンを肉厚にすることもコスト的、重量的なメリットを相殺するために敵わないために、クロモリ以上に高靱性で割れにくく、ヤング率という素材物性が等価なステンレスは、クロモリ激薄パイプで実現できなかった弾性が狙えるというのもメリットとして想像できる。
 前回の妄想記事では、より弾くフレームという考えでは、クロモリと同じ結果故に意味が無いかも?って考えていたけど、後のフレーム重量の測定等から言えるのは、このフレームは予想以上に軽く、相当に薄く作られているという事であり、寧ろ、弾くフレームというよりも、しなるフレームということかもしれない。そして、しなりもパイプ単体のしなりでなく、接合部の処理から言えば、構造体全体でしなりを生むようなデザインか?と妄想したりも出来る。

 まぁ、それでもステーの工作、縦管/横管比からいうと構造体として強度を高める方向でデザインされているのも事実であり、構造体デザインからいうと高弾性系とも見えるのも事実。
002_2  この辺りの兼ね合いがどうなっているか?というのは、やはり乗って注意深く把握しないと判らないだろうなぁ、、、、

 単純に素材感とか、耐食性というだけ?っても最初は考えたけど、同じく、オーステナイト系ステンレスフレームをラインナップしているのが超高級ブランドのトップレンジであり、そのブランドの自転車が質感や耐食性のためにステンレスを選ぶ理由とするには無理があるか?というのが感想だが、案外、極薄にすることで何か別の特性を得ようとしているのか?とも思うのである。

 基本、どんな世界でも良いモノは普及している。ダメなモノは普及しないのである。ただ、そんなレアモノでも二種類ある。レアであっても名の通っている世界では見られるものは、レアな理由がコストであったり難易度であったりする場合が多く、普及価格帯にみられる突拍子も無いモノは、インパクト勝負でゲテモノ的な場合が多い。

 そういう意味で、ステンレスフレームっていうのが、チネリとかモールトンに存在しているっていうのは、やはり、そこに意味があるのかな?と思うのである。

 さて、取り敢えずだが、このフレームで組む事は決定した。
 そして、バイクにどんなキャラを与えるか?というと、、、、、ロングライドのロードレーサーはBSテーラーメイド系フレームで組んだDHバー付きロードだし、速度レンジをもう少し低めにした軽快旅行車には小林フレームベースのスポルティーフ、平地限定のフィットネスバイクにはDHバー付きラングスター改、ローラー台スペシャルがシルクピスト、、、そうなると、残りは正攻法のロードバイクであろうか?正攻法は正しく正攻法、、、、由緒正しきロードコンポーネントで組むということ。

 で、シマノかカンパだが、フレームのデザイン、装飾から言うと、カブトガニクランク、ヒトデクランクのシマノは没、、、、クランクデザイン、キャリパーデザインからカンパ系、出来るだけメタリックな質感で仕上げたいので、アルミパーツ主体のグレード、、、、、

 ということで、最新のアテナの11速コンポ、クランクはスタンダードクランクで歯数は53-39T、カセットは11速のメリット狙いで12-27Tで発注した。しかし、納期は最長で半年くらい掛かりそうとの事。基本はアテナのコンポ、ホイールはカンパの一番安い完組みホイール、サドルは未定だが、ステム、ポストは取り敢えずあるので行くつまりだが、コンポの入荷が当分先。まぁ、のんびり行けばいいや。目標製作時期は来春の予定だ。

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