ハイギヤードも大切さ
昨今、コンパクトクランクとか、トリプルとか、、、、そんなのが流行りだが、その方向の延長かどうかしらないがローギヤードに偏る人も多い。確かに、ローギヤードは扱いやすい。でも、ハイギヤードが不要か?っていうと、結構必要だったりする。
ローギヤードだけでも十分だが、ハイギヤードがあれば尚よろしである。
今までの論調と矛盾しているかも知れないが、ローギヤードに特化するっていうのは、それしか使わないという前提での選択であり、特化した用途に限定して使うというのでなければ、つまり、多くの場面で活用するのであれば、ローギヤードも必要だが、ハイギヤードも必要である。
自身の自転車でハイギヤードが無いのは、ロードバイク、ピストバイク、スポルティーフ、子供と散歩バイクであり、色んな場面で使うであろう自転車にはロールアウトでいうと9m級が装備されているのである。
もちろん、ハイギヤードは思いっきり漕いで最高速度を出すために使うのでない。
速度を高めるのは、マイギヤ×高ケイデンスで出すのだが、ハイギヤード×低ケイデンスは何のために使うか?
それは、単純に下り坂で車体を安定させるために使うのである。例えば、9mのロールアウトで60rpmっていうと、9×60×60=32.4km/h、80rpmなら43.2km/h、90rpmなら48.6km/hである。
そう、現実的な30~50km/hで山を降りるとき、路面の荒れ等に対して有効なのは駆動力を与える事なのである。下りで路面にトラクションを掛けるためのギアなのである。
山を下りる時、重力に任せるより、コーナーへの進入で減速、脱出で加速という抑揚を付ける方が旋回性も安定性も維持できる。特にアホみたいに跳ばさない速度域である30~50km/hを低ケイデンスで行き来するには9m程のロールアウトは結構有用だ。
単車でニュートラルで下る時程に不安定な事はないのだが、同じ速度で動力を伝えて下ると驚くほどに安定する。自転車でも、車でも一緒だ。空走での走行は落下であり安定しないのだ。下りで車体を安定させるためには、ローギヤードでは漕ぐ回数が増えすぎてそれでは安定しないのだ。車体が乱れない程度のケイデンスで駆動するには、ある程度のハイギヤードが必須なのである。
少なくとも自分は下りでも漕げる時はしっかり漕ぐけど、それは車体を安定させるため。勿論、漕ぐ前には、減速があるのは当然。コーナーの入口で減速をしっかりする。そして減速をリリースして舵が効く状態でカットインする。そして向きを変えて出口に向けて駆動する。速度の次元は、60km/h程度の下りだが、この程度で自転車で怖さを感じることはない。もちろん、勾配を下る重力落下に身を任せる走り方だと、多くの人が訴えるような怖さを感じると思う。重力落下に任せるというのは、前後荷重の抑揚で旋回性を与えやすくするというリズムが得られなくなる。結果、オーバーランしても不思議でないのだ。
それほどに、下りでの安定感、恐怖感には、制動と駆動による荷重コントロールが有効なのである。
つまり、多くのアスファルト走行前提のバイクのアウターリングがコンパクトでも50Tが確保されているのは、そういう理由だろう。
ただ、周回コースのような下る時間の僅かな状況では、その限りでない。そういう状況は緊張感の高さもあり、駆動を得るために、相当の高ケイデンス迄使っても大丈夫だから全体にローギヤードでOKだが、色んな場面を走るバイク、あるいは、相当な長距離、未知なコースを走るロードバイクでは長く走ったことのない下りを想定すれば、安定度を失うリスク最小で駆動力を生むことの出来るハイギヤードは必須といえる。
ギア比を組む時、やはりトップは安定のためのハイギヤード、そしてアウターギアの場合は、その使用可能領域のスプロケのローギア近辺にマイギアを配し、インナーギアの場合、同じく使用可能領域のスプロケトップギア近辺にマイギアを配す!っていうのが基本だろう。
いろんなサイト、BBSを除くと、アウターは46Tでも大きいとかあるけど、それでは、実際に使うと結構不都合な場面が多いはず。アウターを制限するのは、下りの安定を捨てる事と同義である。
そもそもアウターを捨ててもヒルクライム等の上り坂には関係ない。そう、上りはインナーで走るからだ。アウターを小さくすることでの違いは、平地常用ギア比近辺で選ぶカセットがロー側で使うか?トップ側で使うか?だけである。そして、その位置の違いはせいぜい3枚違いの範囲なのだ。そんな現実だが、アウターを踏むという前提で、踏めないから不要って短絡的な考えで判断すると、アウターで下りを安定させるっていう、もう一つの大事な効果を見落としがちになるから、注意が必要だ。
そんな事を考えながら、ステンレスロードのアウター歯数の検討を進めている。
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