フロント多段にすると
自転車のギアの段数は多い程、エライって思われる傾向がある。ギアの段数は、前のチェーンリングの枚数×後のスプロケットの枚数で大抵は決まる。
前のチェーンリングの枚数は基準が車体に近い側であり、その枚数が増える程に車体の外側に重ねられていく。前のギアも後のギアも枚数が積み重ねられている手前、どうしても前が外側×後が内側(アウターロー)、前が内側×後が外側(インナートップ)ではチェーンの相当に斜めに捻られる力を受けるものである。
アウターローの場合は、ギア歯に巻かれるチェーンのコマ数が多く、Rメカのケージテンションのスプリングが相当に引っ張られ、チェーンのテンションも相当に強くなる。
逆に、インナートップの場合は、ギア歯に巻かれるチェーンコマ数が少なく、コマが剰るる状態となっており、Rメカは相当なコマ数をたぐり寄せなければ為らない。チェーンに掛かるテンション力は小さくなる。
一般の自転車は前は一枚、後が多段であり、この仕様では基本的に全段が使用可能だが、前が複数枚の場合はどうなるか?を考えてみた。
当たり前の事だが、フロントシングルの場合、チェーンラインは為るべく捻れないのが前提であり、後カセットが真ん中あたりでチェーンラインがストレートになるのが自然である。それからカセットがトップ、ローの状態で捻れが最大となる。捻れの量としては、ギア総段数の半分になる。
フロントがダブルになるとどうなるか?インナーギアの位置は大雑把に言って、フロントシングルの位置と変わらないか、僅かに車体側にオフセットされる。そのインナーギア位置を基準にアウターギアが外側に追加される。そのオフセットは、フロントシングルの際よりもギアで1~1.5枚程度外側に移動する
アウターギア使用時においてはカセットトップ側にはチェーンラインの捻れは緩和されるけど、カセットロー側に対してはチェンラインの捻れはギア一枚分以上は捻れが酷くなる。
インナーギア使用時においては基本はフロントシングルの時と変わるモノではないが、カセットトップ側に対してはケージで巻き取るチェーンのコマ数が多く、チェーンにテンションが掛かりにくくなる。チェーンラインが捻れた上でテンションも不足気味となるのでチェーンの脱落のリスクが大きくなる。
原則、色んなユーザーが使う製品である限り、インナートップだろうがアウターローだろうが致命的なトラブルが発生する事は稀だが、ロードバイクというものが限りなく損失を少なくして快走するのを目的としている事を考えれば、フロントアウターを使用する時は、カセットはトップ~ローから2枚か3枚目に留めておく方が良い。勿論、使い方(状況や時間)によってはわざわざインナーギアへ変速して目的のギア比を得るよりも、アウターローでやり過ごした方が楽な場合もあるので、その辺のさじ加減は使い手次第だ。そして、フロントインナーを使う場合は、テンション不足な状態で踊るチェーンと脱落リスクを避けるならば、カセットはローからトップの2枚から3枚手前に留めておく方が良いだろう。
これはフロントトリプルでも同じで、フロントが多段になる程、アウターリングが車体外側にオフセットされるので、チェーンリング位置によってカセットのギア段数が使える幅が狭くするのが理想的だ。
自分の場合、フロントダブルの場合、アウターリング時はローから二枚を除いて使用し、インナーリング時はトップから二枚を除いて使用している。フロントトリプルの場合は、アウターリング時はローから三枚を除いて使用し、センター(ミドル)リング時はトップとローを除いて使用し、インナーリング時はトップから三枚を除いて使用している。
フロント段数を増やすのは、自分的には実質段数を増やすというのもあるけど、必要なギア比におけるチェーンの捻れの異音を聞きたくないというのもある。人によっては多段の踏み幅を嫌う人も居るけど、捻れたチェーン、踊るチェーンの方が個人的には嫌な気持ちになる。
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