血圧等から健康状態を予測するには?
最近は体温も毎日測っている。勿論、血圧もそうだ。
すると、体温が低め、拡張期血圧も相変わらず低めである。拡張期血圧とは、最低血圧とも呼び、体の中をめぐって戻ってきた血液を、心臓が拡張することで受け取るのだが、その際に血液を溜め込むと血管壁に圧力がかかる。この圧力のことを、下といわれる拡張期血圧というものなのなのだ。一般的には、若い程、この数値は低くなるものだが、理由は、血管が太いために圧力が吸収され、力を必要としないからである。
つまり、体調に問題がなければ、心臓に負担をかけない健康な体となる。しかし、拡張期血圧が低いためにめまいがしたりふらついたり、朝起きられないなどの症状を伴う場合もあるそうだ。対策としては、睡眠時間をしっかりとり、夜更かしをしないこと、食事はバランスよくとり、適度な運動をすることなどが上げられる。拡張期血圧の数値の目安は、世界保健機構では79以下が望ましいとされており、今の段階では、低くてもあまり心配する必要はないとのこと。
以前は、血圧を下げすぎると脳梗塞、心筋梗塞による死亡率が上昇するというJカーブ現象が懸念されていたそうだが、その後の臨床試験の結果、少なくとも拡張期血圧は低ければ低いほど、脳卒中、冠動脈疾患のリスクが低下することが明らかになったそうだ。
但し、何事もバランスというか条件があるのは当然であり、拡張期血圧について懸念するならば、当然、収縮期血圧との兼ね合いも考えるのは当然だ。拡張期血圧、収縮期血圧の両方が低すぎるのも問題。そもそも血圧=圧力であり、循環血液量×末梢血管抵抗であり、循環血液量が少なくても血圧は下がる。つまり、拡張期、収縮期の両方が低いのは、心臓を含む循環器系の能力が不足しているって事。
色々検索掛けて傾向的に判った事は、
1.血圧の高さが問題となる場合
収縮期血圧が高い場合、拡張期血圧が高い場合の両方とも問題を抱えている可能性がある。血液を血管に送り出した時、心臓が収縮した時の圧力であり。血管の弾力性が失われた状態、血管の硬化が強く疑われる。勿論、血管自体が細くなる事も同様に疑われる。
2.血圧の低さが問題となる場合
収縮期血圧が低い場合が問題を抱えている可能性が高い。心臓が拡張した時に血管から血液を送り返した時の残圧。残圧が高いというのは、心臓の拡張という負圧によって血液が戻りきらないのだろうか?だとすれば、血液の戻りを阻害する要因が特に聞いてくる筈、レイノルズ数等で考えると、毛細血管が詰まり内径が収縮気味、血液粘度が上昇気味というのが疑われる。
血圧数値の正常度、つまり圧力値というのは生体組織の材料物性値によって決められていると考えるのが自然であり、個人差、年齢差に影響されるものでなく、健全であれば材料物性に応じた圧力状態となっている筈である。そういう意味で至適血圧とか、正常血圧範囲に数値が留まっている事を確認する生活習慣は非常に重要なものである。血圧、体温というような状態を示す数値の継続監視が健康状態の把握に最も有効であろう。この数値から健康状態を正確に予測するには、拡張期血圧、収縮期血圧のみに囚われず、脈圧、平均血圧、心拍数でトータルで判断する必要があるのだろう。この数値的な関連を示しどうか?を判定する指標が判れば、健康管理に一段と役立つように思う。
昨今では脈圧、平均血圧への注目が高くなっている。因みに、脈圧は最高血圧と最高血圧の差、平均血圧は最低血圧+脈圧/3の数値となっている。脈圧は兎も角、平均血圧の求め方は、想像だが、正弦波での実効値で√2で割る事で実効平均値を求めたりするけど、心拍の場合は、心拍による圧力変動波形から実効(積分)平均値を求める方法を便宜的に定めたのだろう。ただ、この方法でも平均血圧だけ、脈圧だけから正常か否かの判断は難しく、結局は二つの数値を見る必要がある。この二つの数値を無次元化したパラメータも存在する。
http://www.lifescience.jp/ebm/sa/2008/0810/0.html
がそうだ。これによると、拍動性の増大が、心血管疾患発症の強力な予測因子となるとのこと。
この拍動性を考えると、平均血圧も脈圧も単位は圧力のモノ、mmHgとかである。心臓っていうのは往復動挙動をするモノだ。平均血圧というのはマクロ的な数値、脈圧は差だから動的な数値、つまり、レベルに対する変化の割合ということで、拍動性と読んでいるようだ。
血圧の区分から判る事は、拡張期血圧より収縮期血圧の方が変化の幅が広く、拍動性が大きい事は、脈圧が高い事、脈圧が高い事は収縮期血圧が高い事を意味する。拍動性が小さい事は、脈圧が小さく、平均血圧が高い事であり拡張期血圧が高い事を意味する。
しかし、血圧による症例分類では至適血圧の範囲が非常に幅広いために、この拍動性で評価するのは若干無理があるかもしれない。例えば、収縮期110mmHg、拡張期60mmHgって人が居たとする。すると、平均は87mmHg、脈圧が50mmHgだから拍動性は0.57となる。高血圧分類となる人で180~110mmHgな人は、平均が133mmhg、脈圧が70mmHgで拍動性0.53だから数値が逆転するのが矛盾を招くようだ。
これを修正するには何が有効か?と考えてみる。すると、拍動性は無次元数だが、血管に対する圧力変動負荷の程度を表すモノ。負担というのは、本来は負荷の積分値と考えるのが自然だから、一回当たりの変動負荷の程度を積算数に直すには、変動の頻度を乗ずれば良い訳だ。
そこで、拍動性×心拍数を用いれば、負荷の積算値になりうる。一般に心疾患は血栓等が物理的に剥離して別の箇所で詰まる訳であり、物理的な剥離の要因は剥離の力、つまり圧力変動の頻度が大きな要素となると言えるのであり、拍動性×心拍数という考え方は有効では無いだろうか?この新指標は、度合×頻度だから負荷そのものとなる。拍動負荷とでも呼べそうだ。現実、機械設計においては管内圧力の拍動負荷試験というのも存在する。配管の疲労や故障は、拍動負荷による場合が多く、血管とて同じものと考えるのは至って自然な考え方である。繰り返しになるが、心疾患による重度疾病は、血管内堆積物の剥離による管路閉塞が原因であり、拍動負荷という概念を用いる事で、多くの矛盾を解決できるだろう。
先の拍動性の理屈で言えば、至適血圧の下限領域でも拍動性数値は高まるけど、そういう人は、若いか循環器機能が鍛えられた状態で、血管が太く弾力に富んでいるので、心拍数は相当に低くなる。逆に、高血圧領域の人は、狭い血管に頑張って心臓が仕事をする状況故に、心拍数は高くなる。そうすると、拍動性数値が同じでも、心拍数を乗ずれば明確な差違となりうる。
自分的には、心疾患リスク指標としては、拍動性×心拍数、つまり拍動負荷で考えるのが今の段階ではベターな考えている。正常な例を挙げると、
1.至適血圧下限値で低心拍数
血圧:100mmHg/60mmHg、心拍数:40bpmとすると
脈圧:40mmHg、平均血圧:73mmHg、拍動性:0.55、拍動負荷:22
2.至適血圧でスポーツマン
血圧:110mmHg/70mmHg、心拍数:45bpmとすると
脈圧:40mmHg、平均血圧:83mmHg、拍動性:0.48、拍動負荷:21.6
3.正常血圧で正常心拍数
血圧:120mmHg/80mmHg、心拍数:55bpmとすると
脈圧:40mmHg、平均血圧:93mmHg、拍動性:0.43、拍動負荷:23.65
4.正常高値血圧で頻脈気味
血圧:140mmHg/90mmHg、心拍数:70bpmとすると
脈圧:50mmHg、平均血圧:107mmHg、拍動性:0.47、拍動負荷:32.9
逆に不健康な例を考えると
5.収縮期高血圧(or 高齢者に多い数値)
血圧:180mmHg/90mmHg、心拍数:80bpmとすると
脈圧:90mmHg、平均血圧:120mmHg、拍動性:0.75、拍動負荷:60
6.軽症高血圧
血圧:160mmHg/100mmHg、心拍数:75bpmとすると
脈圧:60mmHg、平均血圧:120mmHg、拍動性:0.50、拍動負荷:37.5
7.中等症高血圧
血圧:180mmHg/110mmHg、心拍数:80bpmとすると
脈圧:70mmHg、平均血圧:133mmHg、拍動性:0.53、拍動負荷:42.4
のようになる。一般に本態性高血圧症は、血圧と心拍数の反射機能が崩れている事も大きな原因であり、そのような事を考えれば、上の新指標で30未満を保つ事が重要な事かもしれない。自分で決めるならば、
拍動負荷(=拍動性×心拍数)で、
1.機能低下症・・・・・・・~20
2.健康体・・・・・・・・・・・20~30
3.心疾患予備軍・・・・・30~33
4.心疾患前段症状・・・33~36
5.軽度心疾患患者・・・36~40
6.重度心疾患患者・・・40~
と決めるのが良いのでは無いだろうか?
以前、肥満の尺度で胴囲85cmとかBMIで22とかに対して、身体の中央部の太さはあくまでも身長に対する比率という観点から、胴囲/身長=腹囲率、扁平率を提案した事がある。
http://replica2st.cocolog-nifty.com/diet/2008/08/thr_2f68.html
これが、そうだ。
医学の世界では知らないが、工学の世界では、モノの判定には無次元数を用いたり、疲労の度合では積算値と相似なパラメータを用いるけど、健康や医学でも同じでは無いだろうか?
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