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2009年12月25日 (金)

筋肉増加だけでは体年齢は若返らない

 体年齢っていうのは、大雑把に言って体重1kg辺りの代謝の大きさの事のようだ。自身も基礎代謝が多い程、体年齢が若いと大雑把に捉えていたのだが、考えてみれば、絶対値での評価は、身体の大きさに左右される訳であり、それを言えば、赤ちゃんと高齢者を比較すると、絶対的に大きな体重の高齢者が若いとなるのだが、そうはならないのは、やはり、単位重量あたりで考えるべきなのが顕かなのだ。

 消費カロリーの大小は、純粋に個体の基礎代謝量に左右される。基礎代謝量とは、単位重量あたりの代謝(基礎代謝基準値)×体重で求まる。痩せやすい身体とは、基礎代謝量を上げる事だが、基礎代謝を司る器官が、臓器であったり筋肉であり、そのためには結果的に筋肉量を増やす事が大事なのである。但し、筋肉量を増やすということは、体組成中においては比重の小さな脂肪が減って、比重の大きな筋肉が増えるということなので、結果的には体重が増えるのである。これは、あくまでも基礎代謝が増えるということであって、体年齢が若くなる事には直結しない。そりゃぁ、体脂肪を極限迄絞り、骨格筋率を極度まで高めることで、大きな意味で体重1kgあたりの基礎代謝基準値を高める事が出来るのは理屈の上では可能だが、体年齢を定義する基礎代謝の基準値の刻み幅を見ると、なかなか難しいのがよく判る。

 実際、体年齢というか若さを問題視する年齢層での刻み幅を見ると、基礎代謝の基準値は5~15%程も違う。仮に代謝基準値で1%の違いがあるとすれば、これを体組成で30%程度しかない筋肉増加で対処しようとするには、最低でも100/30倍の割合で骨格筋率を高めないといけない。代謝基準値1%アップには骨格筋率で3.3%増やすと言う事。体重の30%を占めるに過ぎない筋肉自体を3.3%増加させる必要があるのだ。体重が60kg程度の人で、筋肉量増加で代謝基準値を1%高めるには約2kgの筋肉が必要なのだ。体組成で体年齢に拘る年齢層では、代謝基準値で2~3%の違いな訳であり、そうなると筋肉で4~6kgの増加が必要ということで、これって或る意味実現不可能な数字なのだ。
 筋肉を増やせば基礎代謝は増えるけど、体年齢を若返らせる程の効果を得るのは実質的に困難なのである。痩せやすく、逞しくはなれるのは否定しながい、若返るという効果迄得るのは並大抵ではないのだ。

 年齢別基礎代謝の基準値は、体重計メーカーのサイトにも紹介されている。

http://pro.tanita.co.jp/tech/tn04.html

 だ。コレを見ると、成長期における基礎代謝基準値の圧倒的な多さが目を見張るものである。基礎代謝の基準値は、あるレベルからは減少せずに最低のレベルで静定しているが、成人以降では、その変化は非常に小さいモノである。基礎代謝の基準値には、筋肉自体の代謝の他に、身体の器官の活動度等全て含まれており、言ってみれば、身体の新陳代謝レベルといっても差し支えない。
 つまり、体年齢が若いというのは、基礎代謝基準値が大きい事であり、新陳代謝が活発ということである。新陳代謝が活発というのは、免疫力が高く、治癒能力も高い状態。つまり病に冒されにくく、怪我も早く治るということ。外界からの刺激に対して身体の器官が効率的に働く状態なのである。

 勿論、骨格筋率が高いというのも大事だが、成長期の基準値の高さは、筋肉比率以上に、細胞の成長力、免疫力、治癒力として現れる細胞の活動度に左右される。
 身体の器官の活動度とは、機能の活動度であり、個体毎に見れば、元来備わっている筈の機能を如何に眠らさずに使ってきたか?の差による機能の取捨選択で機能を失っていないか?が大きな差の理由というのは、誰が考えても判る事である。
 つまり、如何に、自然界に存在する食材を自然な形で広く食してきたか?そして、備わった運動機能を始めとした様々な機能を活用してきたか?に左右されるのである。もっと言えば、生活習慣において人体機能の活用する度合の差に左右されるといって過言ではないのだ。
 ファーストフード、偏食、サプリ、薬剤依存、思考怠慢、運動不足、、、、そういう、本来の機能を眠らせるような生活習慣の蓄積が、機能喪失を招き、代謝基準値を低下させているのである。

 体年齢を若く保つ、、、つまり、老化に抵抗するには、持っている機能(運動行為に限らず、思考行動、食習慣を含む全て)を如何に活用しつづけるか?というもので、昨今流行の楽して運動とか、サプリ摂取で体内環境の人為的な調整というのは、本来の機能を休眠させることであり、老化の促進に他ならないのが良く判るのである。

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コメント

そうですね!
変な小理屈捏ねてサプリに走ったり、付け焼き刃的な理論を振りかざし、その気になっているアスリート願望の強いオタクはダメですが、本質的に変わらない生活を繰り返していけば、必要な機能が保たれている訳であり、それこそが体年齢、つまり、体重あたりの代謝量、即ち、運動能力を含んだ、免疫力とか快復力の活性度の強さを保持しているんですね!
それにしても、実年齢の-25歳ってのは凄いですね!
私が、-18歳ですが、それを遙かに上回る!凄いと思います。

投稿: 壱源 | 2009年12月27日 (日) 20時25分

 私にはこの手の知識が全く無かったので、昨夜、初めて
体組成計に乗ってみて得られた体内年齢が、実年齢より
25歳も若い23歳という数字の意味が正直言って分かり
ませんでした。壱源さんの記事で少し分かった気がします。

 幸いにして、高校時代から体型がほとんど変わらず、
ダイエットにも全く無縁だったことから、その手の理論は
必要なかったんですね。20代から、たまたま山登りに
熱中していたことから、太らずに済んでいたということ
でしょう。

 壱源さんの記事は、目から鱗の思いで拝見しています。(^^

投稿: ファーマー佐藤 | 2009年12月27日 (日) 18時56分

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