賃金格差是正?アホか?
勤務先では労使協議ネタに、賃金格差是正要求がある。
何を格差と言って、何をどうしたいか?っていうと、、、、、同年齢での基本給差を解消するんだそうだ。
格差する理由は、学歴による入社時基本給の差が問題となっているようだ。高校卒+4年勤続時における基本給が大卒新卒時基本給に及ばないのが理由であり、その基本給を同じにするのが目的のようだ。これは、22歳時における基本給格差を解消するというのが考えの根底にある。
この考えには、正直、違和感を覚える。
まぁ、厳密には、昇給時には人事考課が反映されて昇給額が決められるから、少しずつ基本給に差違が生まれるのだが、人事考課で反映される配分、人事考課での配点幅が非常に少ないので、差違は在って無いようなモノでもある。配点上限は年齢、役職で決まっており、その辺りは殆ど全てが勤続と年齢で支配されているから、実質的な差違は極めて圧縮されている。
さて、この違和感の理由、、、、、在り来たり、一般論的に、普通に言うと、、、、、高学歴入社でも年齢時基本給が等しければ、実質勤続年数が、少ない分、生涯賃金が少ないとも言うし、通念的な高学歴高所得という考えには当て嵌まらないともいう。更に言えば、何のために知識を身に付けるべく学生を長くしたか?なんて考えてしまう。
しかし、学歴があれば高所得が保証されるか?っていうと、これまた怪しい。
実際、十数年を遡ってみる新卒入社の大卒社員を見て、肩書きに見合った専門性、知識、技量、思考法を備えているか?というと、少なくとも、中小企業レベル以下では、有り得ない人が多い。食塩水の濃度計算が出来ない奴も居たし、模写しか出来ないプログラマーもいる。単位系の意味が見えない設計者も居るし、金属の定義が言えない工学部卒もいる。一応、入社試験で選別していても、目を覆いたくなるレベルだ。入社面接を担当しているから、希望者全員と話しをするけど、受けに来る人の様を見ると、就職難は景気のためなんて絶対に言えない。大卒といっても中学レベル以下も結構居るように見える。
入社合否判定や総務、人事の話を聞くと、大卒で論文、専攻を聞いただけで凄い!って判断するのもあるようだけど、正直情けない。卒論にしろ修論にしろ、研究が継続で行われ、前年以前の卒業生の模写的なモノでは意味がない。小難しい論理をかざした装置で実験したとか、プログラムで解析したとか言ってるけど、正直、装置にしろプログラムでも動かす、オペレーションする、使うってレベルは、ゲーセンでドライビングゲームの達人になるのとレベルは一緒。慣れれば誰でも使える。凝固解析、構造解析、有限要素法、モンテカルロ法、物性推算、ニューラルネットがどうのこうの、、、、そう言う言葉が使われた道具を使っても、そのテーマの創造の部分で関与というか、オリジナリティがあるか?っていうと、、、、、、少なくとも自分の勤務している企業に入ってくる高学歴?学生レベルでは誰も理解していない。皆無だ。
実験の立案にしろ、教授の指導のトレースでは無意味だが、そこに独創やオリジナリティーを発揮した学生がどれ程いるか?というと、履歴書だけ、ありきたりの面接だけでは判断が難しい。自分が面接に望む時、そこを聞くようにしているけど、経歴の専門性に自分を反映できるような人っていうのは皆無に近い。
大事なのは、難しい言葉を知っているか?でなく、目の前の行動を自分の意志で決められるか?である。高学歴っていうのは、専門科目で、手順を生み出して自分で道を描ける能力を養うために身に付けるところ。それを無くして、相応の給与を得る資格は無いのだ。
となると、企業規模によっては、若い段階から入社して実務レベルの技量を身に付けた人の方が遙かに高所得を得る資格があるのかな?と思うのである。少なくとも高校生から働く奴の方が賢明で純粋な分、能力は上では無いだろうか?少なくとも、自分の勤務先で限定して判断すると、設計なり、製造なりの現場で、行われている業務内容に、今の高等教育で習う知識の必要性は皆無であり、一般常識+算数レベルで十分。それ故に、知識の内容よりも、手順や方法を生み出す力の方が実務的という例もある。
賃金や昇給には絶対に格差が必要だと思うのが持論。しかし、格差根拠に学歴は全く不要だと言える。評価っていうのは、経歴や学歴、知識に非ずで、企業レベルに応じた有効度で格差を付けるべきであり、そうなると、実務経験に勝る評価は無い筈なのだ。判りやすく言うと、町工場に肩書きだけの帝国大学大学院卒なんかよりも、丁稚奉公の叩き上げの方が実戦的なのだ。
差が無いというのは、出来る人がやれば良いという論理だろうけど、出来なければやらなくても良いという論理でもある。やっても、やらんでも同じなら、やらん方が、、、、というのが人間の心理として流れる方向だろう。そういうのが停滞感、閉塞感を生み出すのでは無いだろうか?
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コメント
大学で得られる知識は最先端ではないですが、思考の展開方法を専門科目の中で行うというトレーニングはされていると思います。
しかし、企業によっては、ハンドブックの公式に従い、行き当たりばったりで右往左往するばかりってのも在るようです。
企業の質、レベルによって、教育レベルとの相対性は変わってくると思いますが、多くの中堅企業以下は、もっと実務、経験則に従う部分が多く、学術的なアプローチとは程遠いのが実際だと思います。
何にしろ、組織において必要なのは、組織の身の程なりに、手順に従って独創性を発揮することで、それに必要なのは、知識よりも、思想的な部分かな?と思う事が少なくないですね。
投稿: 壱源 | 2010年3月10日 (水) 23時40分
大学で得られる知識は最先端ではないと言う事に、学生になってから気付いた一人です。そこで勉強の仕方、発表の仕方を中心に覚えた記憶があります。やはり社会に出てから、さまざまな問題に触れ、解決する過程に身をおいたほうが刺激的で、最先端のことにも触れられて楽しいですね。自分としては、丁稚の精神で知識も発揮できるようになりたいと思いました。
そうですね、努力してしかも貢献している人には給料だけでも優遇したいですね。
投稿: クマ | 2010年3月10日 (水) 21時10分
大卒がそうである率が高いって話は、なんとなく判りますが、大卒でも企業で腰パン等も少なくありません。
大卒っていうのは、学生証って免罪符で、好きな事するばかりって例も少なくないですね。まぁ、大卒も企業もピンキリですから、、、
投稿: 壱源 | 2010年3月10日 (水) 07時57分
10年以上前ですが、ある経営者が大卒を雇う理由に「知識教養より常識があり礼儀正しい事」と言ってました。
あくまで大卒がそうである率が高い、と言いたいのだと思います。
投稿: yama | 2010年3月10日 (水) 06時45分