カンブリア宮殿~おもちゃ屋3代目 執念の経営~
BS番組でカンブリア宮殿ってのを見た。
取り上げられたのは、タカラトミーの三代目社長、富山幹太郎氏の経営についてだ。
http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/list/list20100301.html
に詳細は書いてあるけど、オモチャメーカーの存続を掛けた決断の話に興味を持った。
元々は、海外向けのオモチャの製造が主で、その製造は国内の都市部で発祥し、その後郊外に移り、郊外で企業集積を計り、『おもちゃのまち』って町名を有するような地域を育て、最盛期では、その地域から300億円に迫る輸出を行っていたという。その地域には、プラレールとかトミカといった商品を作るための工場を設立するなりの投資を行い好業績を上げていたという。
しかし、1986年のプラザ合意以降、円高となってからは不況に見舞われ、そこで着任した現社長は、国内4工場の内、3工場を潰し600人に及ぶリストラを断行したという。
その際の決断は、オモチャは国内で作るべきではないという決断。製品作りには拘るが、それは国内製造に拘らないという現代に生き残る輸出産業の基本理念を早い段階から実践するというもの。
その後、タカラと合併し、タカラトミーとなり、旧タカラの製品をリニューアルしてオモチャメーカーとして魅力在る商品を生みだし続けているという。
この中で、旧タカラ製品のベイブレードとかチョロQのリニューアル、コンセプト等々の事よりも、オモチャ作りを守るために、工場を潰し海外移転を計る。その思想的背景の部分が印象に残っている。オモチャを何処で作って、誰の生活を守るか?というよりも、オモチャを必要とする人の為に、何処で作ろうが、オモチャを提供する事を守るという決断は、なかなか難しいものだろう。特に、雇用を守るとか、組合とか、地域とか、そういう事を考えると顧客のためという論理は後回しになるもの。その姿勢は、言うは易し、行うは難しである。
ユーザーが子供、、、ならば安価に提供しなければ意味がない。安価に提供するために、国内製造では無理。安価でもニーズに応える取り組み、、、、これが大事な訳だ。
以前、液晶テレビで窮地に追い込まれた国内企業が百万円テレビってのが在ったけど、、、、これはニーズに応えているとは言えない。誰が、どういう価格帯で望んでいるか?そこに何を期待するか?
タカラトミーが行ったのは、作るのは海外でも、創るのは国内という知工の分業だったようだ。知の部分がどんなに高コストになっても、ニーズを捉えれば数が掃ける。つまり、単量あたりの負担は大きくない訳だ。それを実践するためのリストラと企業体質の進化が、旧タカラ製品の復活にも見て取れる。
知工分業が出来るか?知の集積を計れるか?真似のされない知が提案出来るか?これが、国内の製造業の生き残るキーワードになりそうだ。
逆に、真似して、模倣して、、、、という企業は如何にコストを下げるか?という消耗戦に頼らざるを得ない。それは将来的には破綻、破局、破滅に向かうしか無さそうだ。
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コメント
そうですね、要は生き残る方法を見付ければ良い訳で、生き残れば正解、、、、誰かがやったから、同じようにやって成功するとも限りません。
投稿: 壱源 | 2010年3月11日 (木) 23時14分
難しい事ですね。落とし所を何処に持ってくるか。
100万円の例は他にも有りますね。
私はアマチュア無線も趣味にしているので、雑誌に100万円のトランシーバーが載って、びっくりしたと同時にマーケティングを間違えているのではないかと思った出巣。製品の性質上、受注生産なのでそれも有りかと思いました。
投稿: クマ | 2010年3月11日 (木) 15時43分