経営感覚
先日、管理職会議で笑った事がある。
企業のトップの話だ。その進め方にビックリした。
我が社の主力製品の中の2つについての言及だった。この重量をトップが部門長に尋ねる。解答が曖昧、、、そこで、まず一喝『それぐらい、把握しておけ!』、、、まぁ、判らないではない。そこで、周りのフォローで数値が明らかになる。数値としては一つは7.5ton、一つが5.6ton、、、これに対して、『7.5tonは5.5tonにせよ、5.6tonは3.5tonにせよ!』である。
この時点で、この方向性の出し方に対しては、凄いな!或る意味正しいな!とも思った。
しかし、次の瞬間、その数値の根拠と方法論を聞いて笑った。
ライバル企業の競合製品の重量が議題に上った、、、それは、5.5tonと3.8tonとの事だ。
なるほど、掲げた数値の根拠は此処に在った訳だ。でも、それも目標の掲げ方としてアリだな!と思った。
で、次の話は、競合製品の材質が○○、組立工法が○○という事が話題に上る、、、、で、次の瞬間の判断は、、、、、『我が社の製品も材質を○○に、工法も○○を採用しなさい!』それで、取り敢えず図面を作って、受注済みの製品も材質、工法を変更したものをアプライしなさいとの事。それで、期限が一ヶ月以内!?
判断としてはアリだけど、具体的な方法論の核としては他社のコピー、、、、どうなんだろう。こういうやり方は、正直、付いていけない。
数値目標としてライバル企業のそれを目指すのはアリだけど、手法自体をライバル企業をトレースする、、、、なんだかなぁ、、、、と思うのが正直な意見だ。ましてや、その模倣元が隣国の製品だったりすると、どうなんだろう?って思う。勿論、これは隣国の製品をバカにするのでなく、企業として、隣国の企業が模倣的な活動をする事を卑下する話を聞くからであり、自分としては、真似して真似され、、、というのは、一方を卑下する資格なんて無いだろう?って思うからだ。他人の真似を卑下し、自分の事は棚に上げる、、、、面白すぎだ。
まぁ、都合の良い解釈+即決性、、、、これが経営者として必要な経営感覚なんだろうけど、自分のように生粋で自分でモノを考えて進めるという方法を信仰するモノにとっては受け入れがたい考え方だ。物作りに対する執念というか、アドバンテージを得るために必要な要素の組み上げとか、準備や体制の維持というか構築が全く無い状態を改めるのが先決なように感じるけど、方法論的、こういうやり方を通す限りは実現不可能な感じである。
真の意味で世代交代が遅れる程に、競争力が失われるような、そんな危機感を感じるような会議での一幕だった。
しかし、こういう進め方をする。他社の性能を見て、最初に公称ありきで進める。そう、実態の無いままに物事を進める。しかし、どうにかこうにか突貫的に生みだしたモノが公称と大きく隔たる、、、しかし、公称は公にした以上、引っ込める事が出来ない。そこで、公称と実態が懸け離れたままに進める。それが、公称が公称で、実態と懸け離れた状態を放置する事に繋がる。それが、性能数値の信憑性を下げる事になる。それを取り繕う仕組み作りに周到する、、、、これが、未来の進め方を更に狭めているように見える。
自分で自分の首を絞める、、、そんな状況に見える。それが前に後悔した『疑心暗鬼』という記事に繋がる訳だ。
一般論として、そういう実態を知った人のジレンマがニュースを賑わす事になる事もある訳だ。
先日、池上~ニュース系の番組で、韓国のサムスンが急成長した背景、企業戦略の解説(残業に対する価値観、自己啓発への理解の仕方、部下への教育の仕方)があったけど、その企業と日本企業の違いが韓国発展の礎という纏めだったけど、正しく、そんな印象を身を以て体験中なのだ。
因みに、この番組では、日本が高度経済成長が欧米のトレースに依る部分が多く、そこで発展してきたけど、中韓は日本を手本に急成長している。日本は目標とする部分を失った今、自らで方針を定める時期に来ており、それが出来れば安泰(出来なければヤバイ)という総括だったけど、番組の構成自体は、次代を担う今の三十代以下世代の工学離れ、理科離れ、上昇志向への敬遠といった教育のモチベーション低下が未来を憂う内容だっただけに、池上さん的には、日本、終わっているな!って警鐘のようにみえた。
ここだけの話、韓国企業の考え方とか、池上先生の危機感の根拠となっている見方というのは、自分の目線と極めて近い部分があるように感じた。
| 固定リンク
« 車間距離 | トップページ | ニュー海パン調達! »
コメント