ヒルクライムとコンパクトクランク
俺はコンパクトクランクは基本的に嫌いである。使わない事は無いけど、コンパクトクランクを使うならば、後ろは超クロウスで仕上げたい。そんな感じ。少なくとも、ロードバイクに乗る時、軽いギアが必要ならばコンパクトよりもトリプルだ。チェーンリングで40T前後の歯数は残しておきたいのである。軽いギアが必要なら、トリプルでインナー30TでOKなのだ。踏み巾がどうのこうのは気にしない。なんで、そういうギアが欲しいか?っていうと、踏み応えと速度のノリにチョットした拘りがあるからだ。
ピストのような自転車に乗ってヒルクライムを行うと良く判るけど、自分の場合、5.4~5.5m位のロールアウトで坂を上ると案外楽なのだ。速度で15km/h位で勾配で10~13%位を登る。ケイデンス的には、50rpmくらいだけど、この速度を保てばホイールの慣性で車体が進む感覚がよく判る。勿論、立ち漕ぎ状態だけど、立ち漕ぎ状態で踏んでいる時は、これ以上に回転を上げる事は難しい。この速度域を保てば慣性で進めるし、失速前にペダリングで動力を伝える事が出来る。この5.4~5.5mってギア比は自分にとって重宝なギアである。
これを基本に、疲れたら、その速度の低下を最小限度に留めるように軽いギアで回転数を稼いで回復させるパターンである。この際、立ち漕ぎと座り漕ぎでギア比を換える時は、基本はカセット側の段数を最高で4枚程度変化させるような使い方をしている。その変化の端で一番重たいギアセットが5.4m級のギアである。これが自分のピストでも使うギアだけど、歯数的には、ピストなら44T×17Tであり、42T×16Tあたりなのだ。
このギア比を得るには、ロードならどうか?っていうと、アウター52Tならカセットは20T近辺となる。これから軽い方を使うとなると、前の掛け替えが必要なのだ。インナーで39Tを使うとどうか?というと、カセットで15T近辺となる。
ということで、アウターで賄おうとすると、カセットの20Tから軽い方に25~26T迄欲しいし、インナーで賄うならばカセットで15T~20Tくらいが欲しいのである。
もし、コンパクトの必然であるインナー34Tならどう?っていうと、カセットで13T~18Tとなる。そして、テンションユルユルなインナートップは使いたくないとなると、インナー使用時における必要歯数は、トップから三枚目程度でないと厳しい。つまり、インナー39Tなら必要な15Tを三枚目くらいにすると、トップは13Tのようなカセットが必要で、インナー34Tなら必要13Tが三枚目となるとトップは11T以下が欲しくなる。
つまり、自分の場合はコンパクトクランクで対応しようとすれば、カセットのロー側が26T以上、トップ側が11T以下ということで、前後ろとも歯数比が大きな組み合わせになってしまうのが嫌な感じなのだ。
普通に39Tインナーならカセット側は13-25、14-25のような歯数で十分だったりする。実際、ヒルクライム以外で平地、追い風を考えるとトップが13T以下の場合は、アウター50T以上では回せないから、クランクセットとしては、インナーに39Tを守りながらアウターを50Tを下回る組み合わせの方が都合が良かったりするのである。
こうなるとカセットロー近辺である。これがインナーで39Tを使うとどうか?というと、15Tとなる。これが基本で、軽い方の選択肢が少なくとも数枚は選べる状態となるのである。
しかし、インナーで34Tを選ぶと、このヒルクライムで基本となるギア比は13T近辺になる。つまり、インナートップ状態になる。インナートップでテンションが緩い状態で大きな駆動力は掛けたくない。インナーで34Tならトップは11Tからのクロウスしたカセットを選びたい。
ヒルクライムでは軽いギアというよりも、立ち漕ぎでホイール慣性を利用するために、或る程度の速度が必要で、その速度を得るのは、立ち漕ぎで重めのギアを基準に考えて、それから疲労度に合わせて軽いギアを段階的にカセット側の位置で選択できるのが理想であり、ギア比で軽さを求めるのでなく、マイギアから随時的に選べるギア配置となるような歯数構成をデザインする事が大事だと考えている。
但し、ホイール慣性が感じにくい小径車の場合は、どちらかというと軽いギアを選ぶ事が少なくないので、コンパクトクランク等もアリだと思う。
自分の場合、マイギアは5.4mであり、5.4mから3mクラス迄、カセット側変速だけで対応できる構成を作るというのが基本であり、その状況はフロントインナーで行うもので、インナーで使う小さなカセット歯数がインナートップから離れるというのが前提となる。これがロードバイクを作る時の考え方だったりする。
ギア比狙いで軽いギアが必要というならば、コンパクトクランクよりもトリプルでグッと軽い30Tを予備的に備える方が使いやすい。大事なのはクランク側で38~42Tのチェーンリングを確保する事であり、そういう考え方に基づくと、ヒルクライム用となうってコンパクトクランクが必要と言う事にはならないのである。
まぁ、ホイール慣性を利用して漕ぎ登る感覚を重視しなければ、前インナー×後真ん中というギアは必要無いかも知れないけど、一気に漕ぎ上がる楽な感じというのは、やはり大事にしたいものである。但し、慣性を利用して速度を載せて漕ぎ上がる感覚というのは、やはり、その場面に特異な身体の使い方をしている感じ。思えば、平地を含めて三通りの乗り方を組み合わせて乗っているけど、その内の一つの乗り方が登坂での、こういう乗り方。そういう乗り方では、コンパクトクランクは邪魔という考えだ。
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