ジオメトリー
我が家のピスト、シルクのR1はフレームサイズでいうとトップ長が530mm、ステムの突き出しは65mmである。シートパイプ長はCTで525mmだ。BBセンターからサドルトップ迄の距離は他の自転車と同じである。トップ長CCは530mmは他の自転車と大体同じだけど、使うステムは突き出しで65mmだ。つまり、リーチとしては595mmで10mm程度はロード系の自転車より短い。でも、ハンドバートップはサドルトップよりも随分と下がっている。150mmくらい下がっているかもしれない。要するに、ロード系バイクよりも随分と前傾度が大きい。
このようにハンドルの高さを下げると肩の位置が下がる。肩の位置に応じて前傾度が変わるけど、前傾度の深さに応じてリーチを変えている。リーチは不変でなく、前傾度とセットで変える。勿論、前傾度を変える場合は、フレームの選定とサドルのセットバックで生まれる実質的なシート角もセットで調整する。
基本は、ハンドルハイトとサドルトップを揃えた位置をベースに前傾度に応じて実質シート角を変える。前傾度だけならリーチの水平差分は短くなるけど、実質シート角が最大で20mm程度(シート角が1°でセットバックで13mm相当動くから1.5°のシート角の変化で20mm弱)変わる。つまり、前傾度でリーチの水平差分が短くなるけど、シート角の変化で相対的に座点が前に移動する分、リーチを若干伸ばさなければならない。
まぁ、この辺の数値の検討は、自分の基本的なポジションとなる状態をベースにCAD等を使って作図して、前傾度、シート角に合わせて作図すればミリ単位の寸法は出てくる。
自分の場合、基準位置でのリーチを得るステム長が85mmだとすれば、ハンドルハイトをサドルトップから120mm落とした時は、シート角で実質角度で1.5°大きくした時、ステム長は60mmとなる。
一度作図して基本的な肩の位置に合わせた前傾度毎のジオメトリーの一覧表を作っておけば外す事は少ない。DHバー装備なんかすると、パッドの上に肘を乗せた状態の前傾度基準になるから、ドロップバーを併用する場合、DHバー基準でポジションを作るか?ドロップバー基準で作るか?も考えないといけない。こういう場合、前傾度の変化代に合わせて座点の選択肢の広いサドルを選ぶのも大事だったりする。
突き詰めて乗る車体程、ジオメトリーへの拘りが大きくなる。3mm程度の違いは感じ取れる事は稀だけど、5mmから10mmもミスマッチであれば違和感として感じる。
現実、数値で目測を付けたサイズのパーツが入手出来ない事も少なくない。そういう場合は、取り付け位置で対処を行う訳だ。実際、大雑把な位置決めはスパッと決まるけど、負荷を与えて乗る場合、そうとも限らない。距離で10km程度は乗って改めるべきポイントを探すのだ。
まぁ、そういう事をして遊ぶ上で、何よりも大切なのは、自分の基本的なポジションは何処?を探すのが一番。体型から、数値がナンボ?っていうのを一発では決めづらい。同じ背格好でも同じとは限らない。個人にとってのベストを自分で決める。決めるには、何がベスト?という判断基準を自分の中に作るのが何よりも大切。自分の決める判断基準は、自分で信じる事の出来る理屈が必要。そうでないと信じる事が出来ない。自分に嘘を付かず、自分が納得出来る基準を探すのが大事だけど、自分が心から納得できる理屈というか論理を組み立てられなければ難しい気もする。
基準を作って、そこから作図して目安を出す。目安をベースに違和感を取り除く修正を繰り返す。そうやって完成していく。まぁ、このプロセスというか答え探しの試行錯誤自体が楽しいものだったりする。
しかし、何を違和感として感じるか、どうやって基本位置を決めるか?を自分の方法が決まれば、それをベースに用途に応じて作図して、どうするか?を検討するのは、その行為自体が結構楽しい。図面を作る行為で、また、新たな事に気付いたりする事がある。そして、図面で書くと、僅かな違いが他の部分に大きな影響を与える筈だ!と改めて気付く事も少なくない。こういう思考や行動のループが自転車の楽しいところだ。
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