自転車選び
最近多いのは、自転車のフレームサイズとトップ長って話を良く聞く。
これをしっかり選ばないと後悔するという話。
まぁ、或る意味正解だろうけど、果たして、そう?って思うと、微妙に賛同出来ない部分がある。
そもそもトップ長というのは、乗ってハンドルを握る迄の距離の中に占める大きな要素の一つに過ぎない。大事なのは、座った場所~握る場所、つまり、リーチである。ここで、リーチは幾ら?っていうと、
リーチ=ステム長+トップ長+サドルセットバック量
である。ステム長なんて普通が90~100mmが付いている事が多い。選べる範囲は60~130mmくらいは選べる。つまり、±方向で30mmは選べる。サドルのセットバック量はどうよ?っていうと、取り付け幅の位置範囲は40mmくらいは選べる。つまり、±方向で20mmは選べるのである。併せると、普通に選んだら±50mmくらいは何とかなるのが実際である。まぁ、理想を言えば、サドルのセットバックを変えるのは宜しくないけど、普通に乗る分には問題無い。
そんな風に考えたら、案外、フレームなんて少々の事は何とかなるのである。度の過ぎたサイズ違いっていうのは、買う段階で少なくとも跨ったりする訳であり、そのサイズの違いを大袈裟すぎる程に拘るのはどうかな?っていうのが正直な感想である。
一番の問題は、そんな調整幅を持った自転車を如何に自分(体型と用途)に合わせる事が出来るか?という部分である。体型も様々、用途も様々であり、用途が違えば使い方も変わってくる。このフィッティングで金を取る場合、この辺りを如何に丁寧かつ親身に聞き取るか?がポイントである。用途を聞けば、どのように身体を使うという提案を与え、その必然には何が浮かぶか?という、連想ゲーム的な解説の元に各部を決定していくのである。これによって、各部の位置決めが決まり、用途と目的に応じた適応が生まれていくのだ。
つまり、、、、なによりも大事なのは、自転車を選ぶ時には、ジオメトリー云々でなく、自分が何に使うか?その際は、どんな気分で乗るか?という、自転車ライフを手に入れた時の実像を正確に思い浮かべる事なのである。これが無ければ、全くだめなのだ。
同じ人間が乗っても、ピストとTTは違う。ロードとも違う。スポルティーフもランドナーも違うのである。全てが違うのだ。人が乗って形が決まるなら用途別に車体は不要だけど、実際は、ジオメトリーから何まで大きく違うのである。理由は、用途、目的に応じた理想的な使い方が違うからである。
ただ言えるのは、どれであっても乗り手は一人であり、乗り手が動力を生む際の支点となる位置の相対性は必ず同じである。この位置の相対性を決めるが一番なのだ。位置の相対性を決めて、用途に応じて、相対性を保ったままに各部の絶対位置を決めていくのが用途別のジオメトリーの決め方なのである。そして、この相対性というのは、基本的な位置の測定による数値採取と図面展開でベースとなる数値の関連性が決まるのである。
こういう風に伝えてくれるアドバイザーというのは、過去を振り返ると一人しか存在しなかったけど、自分が納得しているのは、その方の方法だけである。その方も誰にも方法を教えた訳でもないようで、偶然、話の流れで教えてくれたのが発端。それを自分流にカスタマイズしたのが今の考えなのだ。まぁ、基本は同じモノだ。
この相対性を守ったままに、用途別の絶対値を決めていくというのが、用途に併せた自転車選びだったり、自転車作りのコツだと考えている。
今、訳合って、二人の自転車好きに講釈を垂れながら一緒に自転車遊びをして、知っている事を伝えている。伝えながら、自分の中で曖昧になりかけていたところが明確に浮かび上がり、考えが整理できる。こういうのは実に有意義である。
何かを教える気になるのは一つ。例えば、或る長さを知りたい人が居たとする。Aさんは、長さは何ミリにする?って聞いて、Bさんは、何ミリにするのを決める方法としてコレは正しい?って聞いてきたとする。周りの奴は殆どAさんのような人。昔、身近に居た自転車ストーカーもそうだった。しかし、Bさんのように答えでなく、答えを出す方法を持って、それを聞いてくる人っていうのは、極稀である。これは、趣味の世界に限らず、研究や開発でもそうだ。
で、、、、そういうBさんのような奴には、つい、何でも伝えたくなるのである。逆にAさんのような奴には絶対に話したくなくなるのである。
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