使えるギア比に拘る
何度も記事やコンテンツにした事がある内容。
高ケイデンスっていうと、軽いギアで高回転というのが前提である。そこで一番大事なのは、回転を阻害する要素。この負荷の変動が大きい程、厳しくなる。
つまり、高ケイデンスっていうと、負荷の変化に応じて駆動トルクを一定に保つ事が可能なようなギア比の刻みを細かく調整出来るというのが必要条件となる。
という訳で、昔に較べると圧倒的に多段化したギアは、このギア比の微調整という観点からすると凄く重要な進化とも取れる。
先週の検索ワードではクロスバイクのギア比というモノが目を惹いた。それで、その思い付きの回答として、こんな文章を掲載した。
ギア比というかロールアウトで表現するとすれば、スポーツ的に軽快に速度を出して(25~35km/h)乗るなら5~6m、通勤のような移動目的の実用速度域(15~25km/h)で使うなら4~5m、買い物のような徘徊目的の実用速度域(5~15km/h)で使うなら3~4m、団地住まいの登坂を考慮するなら2~3mというところ。
一台の自転車の利用形態を考えて、買い物~通勤ならばギアレンジとしてロールアウトで2~5mくらいで変速出来る自転車が使いやすい。団地に住まず平地中心で運動を兼ねて使うなら3~6mくらいだろう。
正直、6m以上のギア比っていうと相当な高速でのスポーツサイクリングとか、下り坂暴走とかしない限り不要。スポーツサイクルでも上限は7mもあれば普通は十分。それ以上は本格的な競技者向けだろう。
である。これは自分にとってという注釈が付くけど、実用市販車を見ても、こういう傾向であり、強ち間違いでは無い。スポーツサイクルであってもオッサンが乗るので、極論すれば乗り手次第の乗り物である自転車では、アスリート用ロールアウトである7.5m以上なんて基本は不要だと言える。
で、普通に売られている自転車の駆動系構成を見ると、ロードバイクとなると、クランクのアウターは50~53T、カセットのトップは12Tが殆どである。700Cなら周長を2096mmとすれば、50×12×2096=8.7m、53×12×2096=9.26mにも及ぶ。逆に上限を7mと定めれば、アウター50Tならトップは15T、アウター53Tならトップは16Tである。逆に言えば、それより小さいカセットは不要なのである。つまり、アウター時は不要なスプロケが4~5枚は発生する。更に、常用で5.5m程に留めるとすれば、アウター50Tで19T以上、アウター53Tで20T以上という状態になる。となると、アウター時は不要なスプロケ枚数は全段の8割以上にも及ぶ事もある。更に、一般に売られているカセットは19T~20T近辺の歯数刻みは殆どが2T刻み以上である。そういう状況っていうのは、普通の人が乗る時には、ロールアウトの調整で微調整が効かないという事であり、アウター時の無意味段数が7~8段に及ぶというのは、フロント2枚、リア10枚の構成で20通りの選択肢の内、7通りが無意味っていうのは、限られたリソースの激しい無駄遣いのようにも見える。
基本、フロントチェーンリングというのは、走行域の大雑把な部分で選択し、カセット位置というのは、走行域における微調整を行うというスタイルだと考えるけど、そうならば、アウター位置が平地基調、インナー位置が登坂基調と考えるべきであり、平地基調なら常用域がカセット中央域と重なるように選択して、常用域における負荷変動に駆動トルクを揃える微調整出来る選択肢を確保するというのがスタイルでは無いだろうか?
つまり、常用が5.5mならば、そのロールアウトとなるカセット位置をカセット中央近辺に合わせ、その前後に微調整可能な歯数を並べる。これが基本的にリソースの無駄遣いを最小限に留める選択だと思う。
5.5m程のロールアウトをカセットセンターに配置するには、どうするか?
チェーンリングが50Tならスプロケ歯数は19T、19Tが十段ギアの真ん中で前後を1T刻みで揃える。カセットのトップは16Tだろう。最小でも15Tトップ迄だ。
逆に、10段カセットで5段目あたりが1T刻みのセットというと12-23Tだから常用歯数は16T、つまりチェーンリングは42~43Tくらいだろう。最大でも46Tアウター迄だ。
そして、どっちの構成を選ぶか?っていうのは、同じ1T刻みでも隣接比が変わってくるので、比率が小さい人、つまり、高ケイデンスで回す人程、大きな歯数域で隣接比が小さい組み合わせを使うという傾向になるのが道理では無いだろうか?また、隣接比が近い程、ハイギヤードが足らない傾向になるので、コンフォートライドになる。
このようなギア比構成を作ると、ホント前段が使用可能になって言う事無しである。
実際、BSトライバイクでは50-39-30T×16-27Tである。常用が50-19T、前後に3Tずつ配置。隣接比は5%で快適。
ステンレスロードでは現行が43-34T×12-25T、常用が43-16T、前後に3Tずつ配置+オーバートップで7.5m。隣接比は7%で快適。
他の自転車もアウター×カセットセンターで5.5m近辺、前後に2~3Tずつ配置という構成だけど、選択肢は全段が使用範囲となっている。
基本は、アウタートップで6~7mが殆ど、大きくても7.5mという構成。実際、こういう組み合わせの方が使いやすいような、そんな感じである。我が家でいう例外構成は、内装変速機を有するDAHONの改造車くらい。
| 固定リンク
コメント