« 納得する考え方 | トップページ | 引き脚ねぇ、、、、 »

2010年11月26日 (金)

クロモリフレームの我流判断

 ここ最近、『コンパクトクランク』と並んで多い検索ワードが、『クロモリフレーム』である。
 クロモリフレームというと、細身でホリゾンタルで、、、クラシカルな印象が強い。

 ところで、クロモリフレームの場合、クロモリ鋼管自体をメーカーが製造する事は稀で、鋼管自体はパイプメーカーから調達する。
 という時点で、素材の品質という面では、カーボンフレームなんかに較べると納得しやすいし、信頼しやすい。

 そんなクロモリフレームだけど、その呼称からフレームを判断する時、何処を見るか?を我流で判りやすい部分を紹介してみる。

1.接合方法や仕上げで判断
 パイプの組み方は、ラグ組、ラグレスのロー付け、ラグレス溶接の3パターン。MTBの場合はフレームワークが定まっていないので、自由度と補強の自由度でガゼット併用のTIG溶接が多いけど、ロード系の場合は、三通りだ。
 ラグ組っていうのは、パイプの併せ部がラグに差し込まれる形で構成されている。ラグレスのロー付けっていうのは接合部にローが流し込んで表面が美しく研磨されている事が多い。溶接の場合は接合部に溶接ビードが見えるから直ぐ判る。
 膨張係数の大きな鋼材を接合させるのなら低音で素早く接合するのが一番理想。それで接着面積が広いモノほど頑丈。そんな観点から言うと、ラグ組のフレームが一番好み。ラグレスのロー付けはフィニッシュの程度だろう。接合界面が見えない程仕上げられていれば、その手間を掛ける程に注意深く作られている証明だから悪くない、実際接合部が滑らかと言う事は、その上のメッキ、塗装でも被膜の乗りは良いし、仕上げる過程で現れる欠陥にも対処されるので品質も高まる。結果的に滑らかな面で仕上がると応力集中も生じにくいとも言える、、、結論からいうと、溶接痕が見える溶接フレームはボロイのが多い。

2.エンド、ラグ、クラウンで判断
 パイプの接合部、、、即ち、応力集中する箇所。ここで重要なのは、しなりよりも硬さ。
 エンドをみて鍛造エンドだったら◎、プレスエンドだった△、パイプを潰してアクスル受けを切り出していたらダメダメ。ラグは非常に薄く鋭利なカット構造だったら、99%、ロストワックス製法による高精度ラグだから最高。チョット厚めで鋭利というよりもエッジが丸いのはプレス成形ラグだ。まぁ、取り敢えずOKというくらいだろうか?
 パイプ端を見て蓋を切り出してロー付けする手間の品は手間の掛け具合からも最高。しかし、パイプ端を潰して蓋をするようなパターンは中級品。
 シートポスト部でもパイプに切り欠きを入れてクランプするのはローエンド、ラグ部のシートピン受けがプレス成形形状は中級ラグ、ピン受け自体が肉の詰まったロストワックス鋳物形状なら最高。
 クラウンもロストワックス鋳物なら最高、プレスラグで中級、フォークブレードを曲げてコラムに溶接しているタイプは低級。ロストのラグは、肩の部分が激薄だ。ボカマのラグとか、フジのラグでも最高グレードのクラウン肩の薄さは感動モノだ。厚みで5~6mm程度である。なお、フォークブレードをクラウンに被せるように接合するパターンが多い。このような工作を見ると、、、、他のクラウンは見れなくなる。因みに、プレスクラウンはコラム真下(タイヤ真上)に丸い穴が見えて、真下に溶接箇所が現れるので直ぐ判る。プレスクラウンの場合、フォークブレードはクラウンの内側に嵌め込むパターンが多い。クラウンのショルダーエッジも丸い。まぁ、クラウンのエッジの鋭利さで判断も出来る。クラウン自体がモナカ構造故に、タイヤ上端とヘッドパイプ迄の距離は詰めるのが難しい。ロストクラウンの場合、その辺りが極めてタイトに作る事が出来る。細かい事を言えば無駄が省ける訳だ。
 ラグやクラウンの作りが鋭利で薄く、高精度で、シャープ、、、、これって、ロー付け時間が短く、ロー材の厚みも薄く、加工時の加熱時間も小さく、残留応力が溜まりにくい事に繋がる。厚みの差が少ないと言う事は、応力集中も起こりにくい。そんなこんなで判断している。

3.シートポスト径で判断
 クロモリパイプの場合、シートパイプ外径は28.6mmで決まり。そこでシートポスト外径が何ミリか?でパイプ肉厚が判る。ポスト径が27.2mmなら28.6-27.2=1.4、肉厚は1.4/2=0.7mmの薄肉、、、、27.0なら0.8mm厚、26.8mmなら0.9mm厚、26.6mmなら1mm厚、26.4mmなら1.1mm厚、、、、、高級なロードバイクなら27.2mmピラー、ピスト~実践ロードなら27.0mmピラー、中級ロードなら26.8mmピラー、、、、、、25.4mmピラーなんてのもあるけど、それは、、、、重すぎる。勿論、シートパイプ径が31.8mmの場合はそれに応じて算出して厚みを計算すれば判る筈。
 我が家のレイノルズ531SL仕様は27.2mm、片倉系は27.0mm、BSロードは26.8mmだ。
 まぁ、買うならシートポスト径で26.8mm対応のモノなら間違いない。
 用途にもよるけど、薄いパイプは高強度、高品質ということ。比重が同じだから当然軽量である。薄いパイプが使えると言う事は、所謂、しなりという部分で優しいとも言えるのだ。

 この三点チェックで、70%はマトモなフレームを買う事が出来る、、、、と思う。

 シートポスト径からの判断は、シートポストの開口端の内径だけだけど、ホントはバテッドチューブなら中央部が薄いという構造を持っている。そういうパイプが良いだろう。そういう場合、パイプをツメでコツイて打刻音を効く事で判る場合もあるけど、これは外見からの判断は難しい。昔を振り返ればユーラシア迄はプレーンパイプに肉厚は一定。ダイヤモンドやアトランティス以上がバテッド管で真ん中が薄いパイプ。プレーンパイプでも継目管(電縫鋼管、シーム鋼管)と継目無し管(シームレス鋼管)があるけど、当然シームレスな継目無し管の方が良いのは当然だ。

 この度、富士のフレームを入手したけど、、、、見れば見る程、ほれぼれする工作。それから、もう一つ、、、、それはフレームパイプを爪先で弾いた時の音、、、、これ、薄く硬いチューブは独特の音がする。これが判るのは、同時に何台かのフレームが叩いて比較出来る環境に無いと判らないけど、今回のフレームは素晴らしい音だ。我が家の鋼材系パイプフレームのクオリティを比較すると、、、

小林ロードフレーム>フジOSロードフレーム>シルクR1/R2>>>>>>BSフレーム

である。フレームの造作は細かい所に明確な差として現れるモノである。

 大抵は、5m離れて見て、ジオメトリー、スケルトン的に判断出来る。1m迄近づいたら、グレードが想像出来る。マクロでしっかり見ると、、、、乗り味、用途といった部分も判る。トータルを見て、構成要素を見るというパターン。まぁ、、、、、溶接組でポストのバンドクランプタイプのスチールパイプ車は99%買わないだろうなぁ、、、、

 それから、どんなに著名なブランドネームが付いていても、工作に拘りが在ったとしても、一目見て絶対に買わないであろうモノ、、、、それは、アルミフレームとかカーボンフレームのようなスローピングデザインでアンダーパイプが極太のメガチューブとか言われているタイプのスチールパイプの自転車。ピストとかMTBとかならOKだけど、ロードバイクとか、クロスバイクというジャンルでの、あの形は必然性が見えないから要らない。

 極稀に、ショップブランドなんかで見掛ける事があるけど、、、、、未熟なせいかもしれないけど、自分は意味が見えない。好きずきと言ってしまえばそうだけど、、、、必然が理解出来ないモノには心が入れられない。

|

« 納得する考え方 | トップページ | 引き脚ねぇ、、、、 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: クロモリフレームの我流判断:

« 納得する考え方 | トップページ | 引き脚ねぇ、、、、 »