パイプの音
先日、フレームを叩いて音を聞いた!って話を書いた。
因みに、パイプの音について考えると、、、、パイプの音というのは長さで振動数が変化する。これが、パイプオルガンとかシロホンとか、そう言うモノにも現れている。一般に振動数の平方根の逆数と長さは比例関係にあり、それを利用して長さを変えて音階を作ったものが楽器だ。
で、フレームを叩くというのは、一体、何?っていうと、両端が接点で固定された弦。つまり固定端での振動、弦の振動ということ。そこでの音の高さとは、結局、叩いた時の振動の周波数の事。
弦の固有振動数fm[Hz]は、定常波の腹の数m[個]に比例し、弦を伝わる速度v[m/sec]に比例し、弦の長さLの二倍数値2L[m]に反比例する。
同じサイズのフレームなら長さL[m]は同じだから、結局はパイプを伝わる波の速度v[m/sec]に比例するのだ。
固定端で同じ構造体の場合、パイプに掛かる張力(弦の張り)は同じ、節の数も同じ、変える事が出来るのは、、、、パイプの密度ということだ。
そこで言えるのは、、、、弦(パイプ)の単位長さ辺りの質量が大きいと、横波の速さv[m/sec]が小さくなる。そうすると振動数fm[Hz]も小さくなる。すると、、、叩いた時の音も低くなる。
まぁ、そんな事はどうでも良く、直感的に薄く軽いパイプほど軽い音がするのは誰でも判る事。
そういう意識で、トップチューブ、シートチューブ、ダウンチューブ、シートステー、チェーンステーを軽くコツイてみた。
すると、、、、やっぱりレイノルズ531スーパーレジェの小林ロードフレームは驚く程に軽い澄んだ音がする。まぁ、指で押さえると凹むのが判る程だが、、、、ピキッ!、キン!って感じの音。そして、それに次ぐのがレイノルズ531のフジOSロードフレーム。これも似たような音。殆ど差は感じない。次がシルクR1/R2の音。音程が極僅か低い感じである。ピキッ!って音には聞こえるけど、そこにキン!は入らずにクン!って音が入る感じ。
これらに較べると、、、、BSのロードフレームはピキッ!って音は無い。コン!って感じの音。明らかに低い音質である。
まぁ、三台四台を並べて測らないと判らない音の違いでもある。でも、確実に違う。面白いのは、小林とフジの音は同じ系統って判る。シルクのR1とR2の音もそうだ。これも同じ系統だと判る。そして、BSもそう。一台だけ違うって判る。
余談だけど、BHバイクってクロモリホリゾンタルの十万円クラスのロードがあるけど、このフレームを叩いてみる。すると、、、、パイプの前から叩いた時と後から叩いた時で音が違う。RITE-WAYのバイクでも音が違う。そう、叩く場所によってパイプの肉厚が違うのだ。つまり、パイプが板を丸めて作った継ぎ目管ということ。継ぎ目の位置が厚いから音が低くなったりする。板丸めで作った鋼管(電縫鋼管、鍛接鋼管、シーム鋼管)は長手方向で肉厚は変える事が出来ない。だから、逆にラグから中央に掛けて位置を変えて叩いても音の変化が少ないのも特徴。
高級な引き抜き管、つまり継ぎ目無し管(シームレスパイプ)は向きを変えて叩いても音は同じ。しかし、長手方向ではラグ近辺が厚肉、中央が薄肉だから長手方向では叩く位置によって音が違うのが特徴。
何となく、音だけでも種類の違いというのは判るんだろうなぁ、、、って気分になる。
実際、職人レベルはそうだろう。自分も赤熱したカーボンの色を見て誤差±15[℃]以内で温度、1650[℃]とか1800[℃]という数値を言い当てる事が出来るから、そういうモンだろう。
これまでの記事では、工作の仕方、ラグの選定でクオリティーが判る話を書いたけど、パイプ自体でもクオリティーが判るのだ。クロモリって一括りで出来ないのが現実。クロモリでも良い素材を拘った工作で作って初めて良いモノになる。適当なパイプを適当に組んで、クロモリは良い!なんて記事があったりすると、、、、そりゃぁ、ねぇだろ。っていうのが本音。
今、フジOSフレームをぶら下げてオブジェにしているけど、ツメ先で叩いては、凄いなぁ!って感動する。同じように、シルクのR1、小林スポルティーフを叩いては、これも凄いなぁ!って思うのだ。
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