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2011年1月25日 (火)

特殊処理4を施したC/C材の摺動試験

 引き続き、試験実施中である。基本は前回のコードLPCDL/LPCBLと同じもの。摩擦係数を下げるためにフッ素系コーティング等を施したLPCFLとも異なる。物性としては、LPCDL材と同等だけど、処理面硬度はHv=3000以上で、処理温度が低温で処理による材料変形が少ないのが特徴。従来処理では摺動層硬度、強度は表層からの距離に比例的な関係を示すが、本処理では、深部硬度、深部強度、深部弾性率が高い特徴を持つ。コストを下げて如何にLPCDLに近付けるか?という試みである。

 取り敢えず、速報値としては、

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1.供試材料
・滑り軸受:完全ドライ対応のカットレスジャケットベアリングのベース材
      内径100mm、摺動長55mm
・スリーブ:C/Cコンポジットマトリックスの改質材料、開発コードは、LPCSP

2.摺動条件
・摺動環境:完全ドライ×2[hours]
・ラジアル負荷:0.20[MPa]×6[m/sec]
        0.85kgのウエイトを偏芯半径130mmで1200rpm

3.結果
・摺動トルク:1.7[N・m]→1.3[N・m](2[hours])
・軸変位(隙間+振動):720[μm]→820[μm](2[hours])
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 結果は、前回のLPCDL/LPCBLに準じた結果であるが、処理層の緻密度を考慮すれば、トルク、摩擦係数、軸変位増分等全ての数値で、LPCDL/LPCBLに対してやや劣る結果となっている。初動トルクは1.6[N・m]に対して1.7[N・m]、終了時が1.2[N・m]に対して1.3[N・m]、温度変化による数値変化を含んだ状態で軸変位増分は100[μm]となっている。

 因みに変位増分(温度変化分+摩耗分)を纏めると、
1.LPCDLが摺動端面硬度がHv=3000~5000で、+90[μm]
2.LPCBLが摺動端面硬度がHv=7000で、+70[μm]
3.LPCFLが摺動端面硬度がHv=1500~2500で、+180[μm]

4.LPCSPが摺動端面硬度がHv=3000~で、+100[μm]
 となっている。前回までの1.2.の結果よりやや劣り、3.の結果をやや上回るという結果。気持ち悪いくらいに処理後の理論物性に連動している。

 次が評価プロトの最後だ。LPCGLってコード名のスリーブ。評価プロトが負われた現行で最も実績を有するLPCTCスリーブで試験を行って、第一回の候補選定を行う。

 さて、来週中にはT社のエンジニアが来広して下さりそうである。モノを見せるので、是非、評価試験の一要素に加えて頂きたいものである。

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