特殊処理1を施したC/C材の摺動試験
先週の予告通り、月曜日の今日は新しい材料の摺動試験を行っている。
今回の試験は軸材の処理が摺動特性にどう影響するか?を調べる事。
基本、運転条件は110[kgf]の荷重(0.2[MPa])×6[m/sec]で二時間の無水運転である。運転は、寸法計測を行った後に無水運転を2時間行う。この状態では装置の温度等も変化するので、2時間の運転後は収集データのみ保管して終了。そして、翌日、試験装置が試験前の温度状態に復帰したのを確認して再起動し短時間の運転データを収集する。
この二時間ドライ運転実施直後のデータ、温度条件を復帰させた後のデータを収集した後に開放検査を行うパターン。
二時間のドライ運転による発熱で温度変化による装置の特性の変化分を見極めるための処置である。ドライ運転では、温度変化による寸法変化と摩耗による寸法変化があるために、二時間のドライ運転直後の数値が何に起因しているか?が判りにくいので、少しでも情報を確保するための処置だ。
さて、今日はC/C材の物性を硬度面で強化した処理材で試験を行っている。果たして、結果はどうなるだろうか?補正結果は明日でないと判らない。
取り敢えず、速報値としては、
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1.供試材料
・滑り軸受:完全ドライ対応のカットレスジャケットベアリングのベース材
内径100mm、摺動長55mm
・スリーブ:C/Cコンポジットマトリックスの改質材料、開発コードは、LPCDL
2.摺動条件
・摺動環境:完全ドライ×2[hours]
・ラジアル負荷:0.20[MPa]×6[m/sec]
0.85kgのウエイトを偏芯半径130mmで1200rpm
3.結果
・摺動トルク:1.6[N・m]→1.2[N・m](2[hours])
・軸変位(隙間+振動):760[μm]→850[μm](2[hours])
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である。コレで出来れば結構安価に出来る。明日は補正運転して最終結果がでる。明日の午後は残念ながら下らない会議があるので次のスリーブ材(開発コードLPCBL)の試験は行えない。今日の試験後の温度復帰状態での確認迄だ。
ところで、先日の打ち合わせでは、この全く新しい形態のプレゼンを行ったのだけど、この新しいシステムは、セラミックスのような特殊材料も不要。その割れやすいセラミックスを守る為に行われている緩衝材ゴムによるバックアップ構造も不要となる。そうなると、これに関連する関係企業としては仕事が無くなるのだけど、それを承知で新しいススメに乗ってくれるのは有り難い話である。
ホントなら仕事が減るから駄目になるんだろうけど、それを承知の上で新しいシンプルなモノへの移行に協力的だ。こういうのが大事だ。
最終的に、モノはシンプルに進化する。自分で思うのは、機能的に優れるモノというのは、無駄が無く、合理性に富んでいて、見た目も極めてスッキリしたものという事。そういった経験に当て嵌めても、今回のシステムは実にシンプル。
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