特殊処理2を施したC/C材の摺動試験
引き続き、試験実施中である。基本は前回のコードLPCDLと同じだけど、摩擦係数を下げて、表面硬度を高めたグレードでコードとしてはLPCBLとしている。
取り敢えず、速報値としては、
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1.供試材料
・滑り軸受:完全ドライ対応のカットレスジャケットベアリングのベース材
内径100mm、摺動長55mm
・スリーブ:C/Cコンポジットマトリックスの改質材料、開発コードは、LPCBL
2.摺動条件
・摺動環境:完全ドライ×2[hours]
・ラジアル負荷:0.20[MPa]×6[m/sec]
0.85kgのウエイトを偏芯半径130mmで1200rpm
3.結果
・摺動トルク:1.6[N・m]→1.2[N・m](2[hours])
・軸変位(隙間+振動):670[μm]→740[μm](2[hours])
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結果は、前回の開発コードLPCDL品と殆ど同じ。違いは誤差の範囲。少なくとも処理の違いは無水摺動試験の結果に影響していない。物理物性上はLPCBLの方が遙かに高硬度なんだけど、硬度の違いが影響する試験と違うから影響しないのだろう。次はLPCFLというタイプ。
ところで、LPCBLの組み付けにあたっては、LPCDLの取り外し作業を行ったけど、見た目、殆ど無損傷である。2時間以上の無水摺動運転を行った後には見えない。
従来のエンジニアの思考の段階から言えば、今回の無水潤滑摺動試験とによる結果比較よりも、スラリーを用いた耐摩耗試験による評価を見るべきという人も居るだろうけど、実は耐摩耗性維持のメカニズムが過去のエンジニアのように、スラリー媒粒子より高硬度の摺動面によって摩耗を防ぐという考え方を採用していないので、自分的には、それほど重視していない。
それよりも、カットレスジャケットベアリングの摺動面も材質の違いによるスリーブとの凝着反応の発生と、凝着摩耗の進行耐性を見る事を重視している。
今回の試験が終了したら、カットレスジャケットベアリングベースモデルから実用想定処理を施したカットレスジャケットベアリング製品プロトと各種C/C材スリーブとの摺動試験を行う。
その次が耐摩耗性確保のための新しい理論を具現化したデバイスを用いた耐摩耗性評価試験を行い、最終的に、そのデバイスを取り除いた状態で、素材の強制摩耗試験を行うという流れである。
試験の流れは、新しいシステムの発想の根拠を証明する流れに従う。単純に動けば良いとか、壊れなければ良いといった、行き当たりばったりの試験をやっていたら試験結果を得るには莫大の手間と時間が掛かる。試験とは、目的の実証であり、それ従った手順を決めなければ行う意味は皆無なのである。
今回のベース材と各種スリーブの試験で注目するのは、摺動トルク絶対値、変化傾向が最重要。回転軸歳差変位の増分は凝着によるトルク変化が生じたとすれば連動して生じる変化なので、その変化を運転中に把握するための計測だ。
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