新しい技術の進化
先日、勤務先の別プロジェクトのメンバーが話しにきた。プロジェクトっていうのは、船舶バラスト水処理装置の開発グループだが、思い起こせば2004年頃から取り組みが始まり、色んな話に影響を受けながら、あっち行ったり、こっち行ったりで進んできたもの。
2004年当時、検討指示を受けて当時なりの報告書を出したのが最後で縁が切れているけど、そのグループの方針も結構フラフラしていた。こんな大きな話を中小企業一社で何とかなる話ではないので、余所の企業の事業に協力参加させて貰うというスタンスだが、2005年当時に参加させて貰っていたグループの進みに痺れを切らして一方的に脱会し、2008年頃からは別の話に乗っかって別のグループに参加して進めている感じ。
まぁ、新しい世界に必要なのは、新しい技術とか考え方。新しいが故に、最初は色んな問題がある。新しいが故に、それに知っている人が少ないという問題もある。しかし、新しいから当然なのであり、新しいモノに対する評価を既存のモノと同列に考えて判定していると、新しいモノを進める事は全く出来なくなる。新しさ故の要因で生まれる欠点が将来どうなるか?を見極めて、新しさ故の欠点の中で時間の流れが解決してくれる本当の意味を見抜けるかどうか?が新しいモノを生み出し、使う気力に繋がるモノでもある。
自信で新しさを生み出したり、評価したりする知見を持たず、従来製品に対して時間が掛かるから!とか、コストが掛かるから!という理由で、協力グループの枠組みを勝手に出たり入ったりしていたら良い結果なんて出る筈が無いのだ。新しいという意味を考え、その新しさ故の欠点を手順に従って解決する地道さが大事であり、それには、新しいモノが進化する道筋を予知出来ていなければだめなのだ。
大事なのは新しいという意味を本当に理解する事。そして新しいモノの価値の拡げ方の最適な方法が何か?を考える事である。
この辺の考え方は、利益誘導主義と論理追求主義の考え方で大きく違う。前者は企業経営者、或いは、文系的な話。後者はエンジニア、学者的な話しだろう。
新しい発想や機械、、、、こうなると、パッと思い付くのが知的所有権とか特許といった話。最近はこういう話をメディアでも聞く事が多い。しかし、殆どが、そのアイデアを儲けに繋げるために使うとか、権利を守るために使うという、利益優先主義的な考え方から見た議論ばかりである。
しかし、新しいモノの利益を独占する事を考えすぎると、良いとは限らない。特許で利益の独占、市場を占有するとか、利用権を制限して他者の先行を許さずコストを下げるとか、、、そういうのは、自分的には心が狭いと思う。
新しいアイデアや技術をどうするか?大事なのは、評価と知見の収集なのだ。評価とは、実際に使われて感想を得たり、実績を積み上げる事。知見の収集とは、色んな立場、色んな目的、色んな人間が、それをベースに進化させる事。
そう考えると、特許とは開発者が独占したり一社に独占させたりするのは間違いで、特許とは、発想の利用を誰かが制限するのを防止するためのもの。つまり、多くの人に使わせるための担保のようなモノと考えるべきなのだ。
新しい技術にとって大事なのは、如何に諦めずに早く市場に出すか?そして技術を普及させるか?なのだ。これで勝負が決まると言って良い。
実際、冒頭のバラスト水処理システムでエネルギーコストで不利と言われていたアルファ・ラバル社の殺菌システムは、最近は第2世代に突入してエネルギー消費を40%低減させる事に成功したらしい。技術の欠点が時間の流れで解決出来ると言う事を知っていたから、彼らの今があるのだろう。そういう、モノの見極める力こそが、これから生き残る上で必要な要件だろう。
技術を拡げるには何がベストか、色んな事が考えられるけど、大事なのは、自分で考える。しかし、自分だけで考えない。そう言う事。自分の意見は自分の考えで出すというのは、人の意見を自分の意見として表現せず、それぞれが自分の考えで説を纏めていくと言う事。その辺だろう。
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