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2011年2月 8日 (火)

連続無注水摺動試験を行いました。

 先週の記事で予告したとおり、連続無注水摺動試験を始めました。

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1.供試材料
・滑り軸受:完全ドライ対応のカットレスジャケットベアリングの製品プロト
      内径100mm、摺動長55mm
・スリーブ:C/Cコンポジットマトリックスの改質材料、開発コードは、LPCDL

2.摺動条件
・摺動環境:完全ドライ×2[hours]
・ラジアル負荷:0.20[MPa]×6[m/sec]
        0.85kgのウエイトを偏芯半径130mmで1200rpm
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今朝はAM8:15~8:45が経営者トップの纏める会議に出席のため、AM9:00からの試験となります。まぁ、気長に様子を見ましょう。トルクが測定レンジを越えてトリップするか?振動でトリップするか?或いは、温度が静定して辞めるか?測定時間が夜間に及び停止するか?は、判りません。

AM9:00(運転開始直後)
・軸歳差変位:420[μm]
・駆動トルク:1.6[N・m]
・軸受温度:7.8[℃](三箇所測定の内の一箇所)

スタート時は気温も低め、装置系も低めです。

AM10:00(1時間経過)
・軸歳差変位:540[μm]
・駆動トルク:1.2[N・m]
・軸受温度:32.5[℃]

摺動部の温度上昇率は低下傾向です。トルクは静定値に近い状態です。

AM11:00(2時間経過)
・軸歳差変位:590[μm]
・駆動トルク:1.2[N・m]
・軸受温度:41.8[℃]

個々までの一時間では、温度上昇が10[℃]で軸歳差変位が+50[μm]ですが、トルクは不変です。温度は、この時間では一次的に上昇しています。

AM11:45(3時間弱経過)
・軸歳差変位:630[μm]
・駆動トルク:1.15[N・m]
・軸受温度:49.5[℃]

昼休み前です。温度上昇が9[℃]で軸歳差変位が+40[μm]です。摩耗というよりも、温度上昇による隙間拡大は構成材質の線膨張係数の違いに起因するモノのようですね。

PM13:10(4時間強経過)
・軸歳差変位:700[μm]
・駆動トルク:1.25[N・m]
・軸受温度:62.8[℃]

昼休み開けです。温度上昇は14[℃]弱で軸歳差変位が+70[μm]です。10[℃]で+50[μm]ずつ隙間が拡大しているようです。
この調子で行くと、温度上昇が静定するかどうかは、試験装置構造による冷却能力と外気次第という事になりそうです。
実機における対応となりますと、使用上限は隙間拡大に伴う振動増加、他の接近部位における接触迄ということになります。

逆に、軸側のスリーブ肉厚の調節によって軸受隙間の温度変動を完全に無くす事も可能です。その場合、部材の温度限界が限界と言う事になりそうです。

大体結論が出たのですが、取り敢えず、温度上昇に伴って摺動トルクに変化が見られるか?を確認してみましょう。温度上限は特に決めていませんが、どうなるでしょう?

PM14:00(5時間経過)
・軸歳差変位:715[μm]
・駆動トルク:1.28[N・m]
・軸受温度:67.9[℃]

この間の温度上昇は5[℃]程度です。軸歳差変位は+15[μm]です。挙動に変化は見られません。僅かに温度上昇に伴う隙間拡大傾向が緩和しているようにも見えますが、もう暫くの経過観察が必要でしょう。全体的に駆動トルクは上昇傾向ですが、連続計測しているトルク測定値は大きな目で見れば安定して低い値をキープしています。

PM15:00(6時間経過)
・軸歳差変位:723[μm]
・駆動トルク:1.27[N・m]
・軸受温度:74.2[℃]

温度は6[℃]上昇したが、軸歳差変位は8[μm]増加。駆動トルクも不変。駆動トルクは軸の振れ回りの度合で決まるのかも知れない。

PM16:00(7時間経過)
・軸歳差変位:728[μm]
・駆動トルク:1.29[N・m]
・軸受温度:77.5[℃]

温度は3[℃]上昇、軸歳差変位は5[μm]増加。計測トルクに異常挙動は認められない。温度上昇も非常に緩やかになっている。未だ構成材料の耐熱温度域には到達せず。

PM17:00(8時間経過)
・軸歳差変位:733[μm]
・駆動トルク:1.31[N・m]
・軸受温度:80.8[℃]

温度上昇は3[℃]弱、軸歳差変位は5[μm]増加。温度上昇も静定傾向。九時間で試験は終わりにしよう。

PM18:00(9時間経過)
・軸歳差変位:735[μm]
・駆動トルク:1.28[N・m]
・軸受温度:83.2[℃]

温度上昇は3[℃]弱、軸歳差変位は5[μm]増加。

以上で終了。取り敢えず、言えるのは0.2[MPa]程度の面圧ではダメージを負わないということ。PEEKで1時間53分、前世代システムで2時間35分だから、圧倒的に長時間の無注水運転が可能となるということ。少なくとも、同条件では9時間以上の運転が可能ということ。

明日、温度復帰後に軸歳差変位量を測定した後に、開放し摺動面の状況を確認する予定だ。
この試験装置では、流体潤滑状態で摺動試験を行うと、駆動トルクは0.8~0.9[N・m]となるのだが、それに近い状態で無注水摺動が可能であり、このトルク値は、特殊セラミックスを分割配置したタイプとは大きく異なっている。

旧世代と新世代の思想を比較すれば、旧世代は摩耗速度が大きい。摩耗を支配するスリーブの微子構成要素の破壊が大きく抑えられているのが特徴。新世代が新世代たる所以は、摺動に応じて摺動面に周期的(特定の周波数を以て)に繰り返し攻撃を受ける現象と、その繰り返しによる微子構成要素の疲労等が大きく抑えられる。新世代システムは、その一方の核である特殊なC/C材をマトリックスとした複合体の摩耗を如何に抑えるか?が開発の大事なテーマである。

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