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2011年2月 9日 (水)

9時間の無注水摺動試験結果

 昨日の試験後、装置開放を行った。

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1.供試材料
・滑り軸受:完全ドライ対応のカットレスジャケットベアリングの製品プロト
      内径100mm、摺動長55mm
・スリーブ:C/Cコンポジットマトリックスの改質材料、開発コードは、LPCDL

2.摺動条件
・摺動環境:完全ドライ×2[hours]
・ラジアル負荷:0.20[MPa]×6[m/sec]
        0.85kgのウエイトを偏芯半径130mmで1200rpm

3.試験結果
①AM9:00(運転開始直後)
・軸歳差変位:420[μm]
・駆動トルク:1.6[N・m]
・軸受温度:7.8[℃](三箇所測定の内の一箇所)

②PM18:00(9時間経過)
・軸歳差変位:735[μm]
・駆動トルク:1.28[N・m]
・軸受温度:83.2[℃]

③翌日、温度復帰後
・軸歳差変位:426[μm]
・駆動トルク:1.61[N・m]
・軸受温度:8.4[℃]
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 となった。9時間の無注水摺動によって温度上昇は約75[℃]、それに伴う回転軸の歳差変位の増加は315[μm]である。軸歳差変位の拡大は軸受隙間の拡大に相当し、軸受隙間の拡大変化は、軸受系の温度変化に伴う要素と、軸、軸受の摺動摩耗に伴う要素の合計となる。

 一般に軸受評価の場合、軸受の内径計測、軸の外径計測を行う事が多いが、実機、試験装置による摺動試験を行うと、万遍なく全周が摩耗する事は皆無であり、周方向、軸方向の極一部の摺動しか認められない場合が多い。特に、気中運転では、その傾向が強い。そのため、一番正確なのは、試験前後の温度状態が同じ状態で、軸回転の歳差変位量を測定し、その変化量から摩耗を評価する方が実態に即している。特に、低摩耗の系では、測定温度環境を含めて等価にして測定しなければ、測定数値の精度は確保出来ない。
 勿論、実機においては軸歳差変位の監視は行わないので、内径計測、外径計測で良否判定を行うが、試験装置では、それよりも軸歳差変位の変動量計測の方が有意である。

 今回の試験では、温度復帰によって軸歳差変位は殆ど不変であり、数[μm]のオーダーで変化が認められるが、実質的に摩耗は認められない。開放検査による面粗度の計測、簡易的な外径検査でも変化は認められない。

 無注水摺動という比較的クリーンな摺動条件では、トルク変動も実際には少なく、軸受材質と軸スリーブ材質の凝着が想定した通りに、生じない事が確認出来た。従来のセラミックスと超硬合金の気中運転では凝着痕跡が摺動面に生じていたが、すくなくとも、この系では凝着現象は生じないという事が確認できた。

 この系では、温度上昇によって軸受隙間が拡大し、その拡大率は、10[℃]の温度上昇で50[μm]の隙間拡大となっている。これは、構成する軸受系の材料の線膨張係数の複合率に見事にまで一致しており、使用材料の選定、寸法比、嵌め合いの選定によって、温度変化によらず軸受隙間を一定に保つ設計が可能と言う事を表している。また、初期隙間以上の隙間が確保されていれば、隙間の多少によって発熱量に大きな差異は認められない事が確認できた。

 本来は、サイクル試験、スラリー試験を行う予定であったが、次は軸受隙間を一定に保つ事が可能となる系を模した構成にて試験を行う。既に、それに必要なアタッチメントの類は準備済み(実は大昔に作っていた)である。明日の試験は、軸受隙間の変化率が制御出来る複合則の正当性を実証する試験を行う。結構楽しみ。

 ところで、今月末には、先月お越し頂いた企業さんがもう一度来られるそうだが、その時には、もう少し進んだ解説が出来るように実験を進めておこうと思う。遠路はるばる来られる訳で、来て良かったと思われるようにしておきたいモノだ。次の試験が、このネタ元になるだろう。

 あと、戯れ言だけど、今回の技術は、実際に御覧になった方からすれば、物凄くベーシックなモノ。ベーシックだけど単純ではないのが勘所。素材選定、素材処理、素材、素材の処理等々の単体は基本的だけど、何処かで簡単に出来る処理でもない。処理自体は、その道のスペシャリストの力を借りている。それが数社ある。この原料調達から素材作成、後処理は全て独立した企業で、企業毎に製造工程の一工程を委託するという形を取っている。何を何処でどの様に行っているか?が一番重要なポイントであるのだ。

 実験を進める毎に、状態から何かを進める際には、それに応じて、いろんな方々の力が必要なのである。兎に角、実験を進め知見を深める作業が大事。そういう意味で、来社されるという緊張感は自分にとって、とても重要である。

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