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2011年2月19日 (土)

スラリー摺動について

 スラリー摺動、、、、それは、潤滑を司る流体中に固形粒子が存在した状態での摺動。或る意味、粒子の存在しない流体潤滑条件の方が稀な訳で、少なくとも、潤滑流体が管理されていない流体を用いる場合はその傾向が強い。

 そんな流体とは何?っていうと、海水、河川水、下水といった自然界の水が該当するけど、そういう流体を扱うポンプの殆どがスラリー摺動下で運用されている。

 と言う事で、多くのポンプメーカーさんは摺動部におけるスラリー中の耐摩耗性には神経過敏な傾向がある。
 しかし、その割りにはスラリー条件の実態を把握したり、その条件の根拠を明確に説明出来る人は非常に少ない、、、っていうか、殆ど居ない。

 スラリーというと、固形粒子。固形粒子の密度は結構大きい。それ故に、水とはしっかり混ざらない。混ざるモノは泥のようなもの。砂は混ざらない。実際にスラリー内の摩耗因子が摺動部に対してどのように進入しているか?なんて見ている人も居ない。結構重要なんだけど、スラリー摩耗に対して知見があるか?というと、、、実に厳しい。そして、多くの人の対策としては、スラリー粒子より高硬度の材料で作ればOK的に考える人が殆どだったりする。

 まぁ、或る意味正解かもしれないが、それでは問題の解決を遅らせるだけである。

 大事なのは、スラリーは如何に存在し、如何に通過し、どの要素が摩耗に強い相関を持っているか?を定める事。それが大事。単にスラリー濃度での比摩耗量云々を言っても、実験自体が実機にそぐわないと無意味だし、思い込んだスラリー濃度が再現性を以て定量的な試験条件として適しているか?というと、これまたいい加減なのだ。

 条件を整える事の出来る試験装置で定義した条件でこそ、条件的なスラリー濃度が意味を持つ。その為には、スラリーをどう扱うか?を考えて試験装置をデザインしないと全く無意味なのである。

 スラリーの場合、供給の仕方、与える流速等によって摺動部位に進入させるスラリー状態が大きく変化する。言ってみれば、総量的な濃度は殆ど無意味なのだ。濃度的に分散されて均一化が図れるスラリーなら良いけど、技術者が問題とするのは、流れが無ければ簡単に沈殿するような砂混じり状態の事が多く、そういう状態の実験条件に定量性を与えるのは結構難しい。

 その為に、私の場合は、スラリー試験で供給スラリー状態が摩耗度合にダイレクトに反映される構造としている。結果的に、摺動部におけるスラリー環境は一般の縦型長軸ポンプよりハード。理由、、、、それは、スラリーが強制的に軸受内を圧送されるから。実機では、軸受部は配管中央部に位置し、液体の殆どが軸受外を通過する。この点が大きく違う。

 試験装置をこのように工夫すると、スラリー摩耗が何に影響を受けるか?というのが明確にデータとして計測できたりするのだが、要は、試験で何を知りたいか?逆に言えば、試験結果は何に影響を受けるか?を考えながら装置を作るのが大事ということなのだ。

 今は、装置の機能が摩耗挙動が何に相関されているか?をシャープに与えてくれているので、或る意味満足ではある。

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