複合材料の難しさ
現在、無注水起動軸受の研究を行っている。今回の無注水軸受システムは、材料の工夫、材料選定の工夫、構造の工夫、、、、まぁ、どんな技術でも行われている事だけど、これを自分流に考えている。
その中で、このシステムには二つの核から構成されているけど、その一つの核が複合材料の利用に纏わるものである。
しかし、この複合材料っていうのは単体材料と較べて優れた面もあるけど、難しい面も少なくない。
何処が?っていうと、、、、それは、材料が複合しているという事からもたらされる。例えば、単体であれば考慮の度合は少ないであろう物性値の利用に際して、その利用が評価の対象として適切か?ということも考えないといけない。
マクロ的な公称物性値を盲目的に受け入れる事は難しく、材料固有名詞で物性値をそのまま選び出すという利用方法ではリスクが存在する。
他にも、複合という形態故に、信頼性評価は従来手法が使えない。材料の破壊や劣化に影響する現象が様々であり、その現象をミクロに細分して考える必要がある。
更に、複合という事は、材料に方向性があり、バラツキが存在する。複合材を実機に適用する場合、複合物性が実機で欲しい方向に欲しい性質として確実に実現出来るか?というと、これも結構難しい問題である。
複合材料っていうのは、それを作るのが目的でなく、実は実機において必要な機能を条件付きで高度な次元で提供する手段として複合材料という選択肢に行き着くべきモノである。その辺の関係性を理解しなければ、このような先端技術の普及は進まないだろう。
先日、複合材料の利用促進関連の学会に出席したけど、やはり一番の問題は、用途開発であるようだ。材料を作る側っていうのが、材料を要求する側と一致していない事が、このような問題の根底にあるのだが、必要なのは、材料を要求する機械設計者自体が、材料を作る材料技術者と一致するということ。言ってみれば、双方の知識が無いと物事が進展しないのだろう。
材料は作るだけでもダメ。機械設計出来るだけでもダメ。大事なのは、機械設計をしながら、その要素の存在理由を細分して見つめだし、それに必要なモノはなにか?何が、機能の実現に近道か?を見抜ける眼が大事なのである。
何か大きなマクロ的な目的を掲げ、それを高いレベルに引き上げる時、何がネックか?を見抜き、そのネックが何に起因するか?それを覆すには機能に何が必要か?その機能を提供してくれるモノは存在するか?それがあれば、それをどうすれば機構を活かして適応できるか?、、、、こういうストーリーが無いと、材料技術者の成果はエンジニアの自己満足で終わるし、機械設計者の対策も源流対策が出来ないものとなる。
昨今、複合材料ばやりだけど、それを使うから先端的、、、そんな風潮も少なからずあるけれど、使うのが目的でなく、その何が求める機能に大きく貢献するか?が見えないと、意味がなかったり、別の問題で苦労したり、そうなりかねない。
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