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2011年2月23日 (水)

上昇温度の変化

 無注水起動を行う。すると、摺動部は発熱するのだが、その発熱によってもたらされる系の温度上昇っていうのは、興味深い傾向を示す。

 試験装置では、無注水摺動の行われる固定軸受側の各部(三カ所)で測温可能な構造を採用しているのだけど、各部の温度変化をみると、最初の段階で急激な温度上昇が認められ、その後、ある温度に達してからは、温度上昇は上昇率が小さな数値となって、温度上昇率が低い数値で保たれる。

 無注水摺動可能な系では、このような傾向がどんな系でも認められる。無注水摺動が少しでも可能な系、、、、それは、温度上昇に変化が訪れるか?訪れないか?で判断しても良いかな?というのが、色んな系で摺動試験を行った自分の感想だ。

 最初、或る温度迄一気に上昇し、そこから、初期よりも小さな温度上昇率で温度上昇する。これが無注水摺動可能な系で、無注水摺動不可能な系は、最初の温度上昇のまま破壊に到るというパターン。

 系の温度上昇によって、試験装置の測定値の挙動はどうか?っていうと、軸歳差変位が失われる系の場合は、初期温度上昇区間では急激に軸歳差変位が縮小し、その後に軸歳差変位の減少が穏やかになると言うパターン。

 この無注水摺動時における温度上昇が二段階になっている理由、ドライ摺動時における摺動トルクは大きな値となっており、所謂、馴染んで無い状態。ドライ摺動なりに馴染めば摺動トルクは減る。トルクが減る=摩擦係数の低下、即ち、発熱量の減少となる訳だ。
 摺動トルクが減るというのは、少なくとも、接触状態が続いても摩擦係数が増大するような摺動部の変化が発生しないということ。

 摺動部の変化が発生し、それが不可逆で一方的な場合、接触部には99%間違いなく凝着現象が現れている。凝着が生じると、系として馴染むという事は100%無いのだ。馴染んで、温度上昇が緩和するというのは実に大事なのである。馴染む系を探す事が、無注水軸受を実現する系を生み出す第一歩である。

 しかし、この挙動っていうのは、フーンって思いがちだけど、温度上昇しているのだけど、摺動トルクが減少して静定方向に向かう、そして温度上昇が緩やかになるといことで、これが無潤滑摺動下で実現できるっていうのは結構凄い事だと自分では思う。この傾向は9時間以上に及ぶ摺動試験を続けて確実にトルクが減少方向に変化していくもので、温度上昇は続けるものの、確実に発熱量は減っているのである。実際、温度上昇のカーブは緩やかに変化しているのである。

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