無注水摺動が出来ると言う事は?
表題の仕様、、、これってどういう事?
無注水摺動って言葉は、読んで時の如く、摺動面に水が介在しない状態で摺動状態が安定して維持出来ると言う事。
で、今やっているのは、取り敢えず、面圧で0.2[MPa]、周速で6[m/sec]という条件だけど、それで2時間運転を行って評価しているのだが、、、、
この面圧の根拠、周速の根拠、、、、案外、いい加減である。
この無注水軸受が要求されているのは、長軸の縦型斜流ポンプである。この駆動軸を支える部分に適用しようとするものだが、、、、、ここの摺動環境が水が無くても壊れない!っていうのがユーザーのリクエスト。このユーザーの願いがメーカーの課題である。メーカーは、その部位のパーツをサプライヤーから受ける。ここで、無注水摺動の条件は何処で定められる?その根拠は?っていうと、、、、実は曖昧だったりする。
そもそも、ポンプの軸受で軸受荷重は何故に発生するか?というと、水力的な力。逆に、水が無いと水力的な力は作用しないから、、、そうなると荷重は無い、、、、締め切り運転だろうが何だろうが、荷液が水である限りは羽根車近傍、或いは、締め切り弁迄の部位は水が存在しているだろうし、何らかの原因で落水が生じても、それが長期的な状況にはなり得ない。
そうなんであるけど、何故だか、面圧で0.2[MPa]とか周速で5[m/sec]とかの数値を余所からも聞く事がある。
内径×軸受長を受圧面積として考えれば、面圧から逆算して出てくる荷重は100[kgf]以上、、、そんな荷重が水無しで掛かるか?というと、ホント言えば微妙なんである。
しかし、、、、だれかが、そういう条件を決めた。
その決めた条件が一般的には、0.2[MPa]×5[m/sec]×1[hour]なのだ。
でも、、、、運転して思うのは、条件に拘わらず、摺動組み合わせが無水摺動に耐えられるかどうか?は、案外単純なのである。
一般的には耐えられるとされていても、本質的には耐えられない。条件次第で耐えられるという程度のモノが実はとても多いのである。
世の中に存在する、殆ど全ての組み合わせを試作して実際に試験を行うと、、、、、誰かが決めた条件では、辛うじて完全破壊に到らない、、、、そういうレベルの話である。逆に言えば、その条件であっても壊れる方向に進んでいる物ばかりなのだ。
でも、考えて欲しい。
物が壊れる。それって、何時?
それは、、、、、設計者、利用者の想定外の事が起こった時、、、、
条件指定でOKな物でも、その試験形態で危険が予測されるモデルばかりがのが現状なのだ。
これは、自分の作った前世代の特殊セラミックスを分割配置した軸受システムでも同じなのだ。前世代のモデルでも確実に壊れるのである。
因みに、E社技術によるPEEK軸受の破壊限界時間は、その負荷領域で1時間53分である。自分の作った前世代技術でも2時間35分なのだ。結局、壊れているのである。
では、壊れないのは何?
少なくとも、無注水摺動で壊れない物は、時間に制約があってはならないのだ。その為には、破壊に到る挙動を根本から解決する系を作る必要があるのだが、そのためには、機能を担う構造をゼロから再構築するしか大抵は解決策は無いのである。
今現在、最新のシステムでは9時間半の無注水摺動試験を行ったが、それでも壊れていないし、壊れる方向の挙動を示さない。9時間半で止めたのは、夜間での振動運転が周辺環境に迷惑を与えるからという理由。無注水軸受とはドライ摺動での破壊挙動を完全に押さえ込むようにデザインされた物が、ホントは、無注水軸受を名乗るべきなのである。そして大事なのは、このような発熱が前提のシステムでは、その異常検知が迅速かつ正確に行える構造を持つという事も忘れてはならない。
特定の条件、制約で、、、っていうのは、少なくとも、準無注水とか、そういうレベルなのである。実験過程において終末が予測されるような物、、、、そういうのって、未熟な未完成品に過ぎないのである。
今回のシステムは一連の評価試験が終わったら、完全に破壊させる試験を行う予定である。試験装置がギブアップするか?或いは、供試軸受がギブアップするか?、、、、どちらも自分で作ったモノだけど、どっちが勝つか?凄く興味がある。はたして、どうなるだろうか?
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