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2011年2月 7日 (月)

旧世代無注水軸受の摩擦振動の対策方法

 T社さん向けに開発した新型無注水軸受だが、その開発根拠は旧世代の特殊セラミックスを緩衝材上に分割配置した軸受と特殊スリーブを組み合わせたシステムの問題点の解決である。

 そんな解決方法としては、旧世代の軸受が起こしていた問題点を旧世代を基本に解決する方法も存在する。
 旧世代の軸受システムが無注水で使えるのは、発熱運転下において軸受隙間の消失時間がE社のPEEK軸受よりも長く稼げるのが理由だが、この手の軸受利用の最大の勘所は、消失時間に見合った初期隙間を確保しながら、機械としての機能を維持させる工夫。一般に流体潤滑域での適正隙間と、無注水摺動でのそれは、考え方が全く異なるので、横軸に隙間、縦軸に安全性(リスクファクターを除外したもの)を取りチャートで表すと、両者の設計に従った解の域はオーバーラップしないのだが、E社が開発したPEEK軸受/超硬スリーブ、自分の作ったセラミックス分割配置型セラミックス/C-C特殊スリーブの組み合わせでは、この解の域がオーバーラップできるのだ。それ故に、一定範囲内の時間なら無注水摺動が可能となる。まぁ、この考え方自体が最新のシステムのそれに較べると致命的に劣っており、生き残る価値の無い思想ではあるのだが、、、、

 この旧世代システムにおいて隙間消失に到らせないように確保した初期隙間と旧世代軸受システムの材料物性と機械構造の組み合わせが、摩擦振動を発生させる元凶となっていたのである。
 摩擦振動が発散して収束しない見方は様々だが、最大静止摩擦と動摩擦の落差、落差の間に蓄えられるエネルギー(変位と弾性率の積)の大きさ、そのエネルギーの解放時の速度といった要素がからんでいる。とくに、エネルギーが大きく蓄えられて一気に発散させるモノ程、ビビりの原因となるものである。まぁ、ワイパーブレードのビビリ現象とか、そういうのも同じ現象だが、、、

 こんな現象を簡単に解決する方法、、、、エネルギーの開放速度を緩やかにすること。一言でいえばエネルギーが開放される側に開放速度が緩和されるようなダンパーを入れれば終わりである。ダンパーを摺動部に入れるには基本的にフリクション方式。フリクションの入れ方は摺動面圧の作用する方向とは異なる方向に軽く擦らせるようなリップシール、或いはアブレーダブル性を持たせたシールを噛ませれば解決出来るだろう。

 先日、T社のエンジニアにも話したけど、まぁ、備忘録的に記事にしておく。打ち合わせ企業が試験を行う上でのヒントにもなるだろう。この話は卸先のM社にも話をしたけど、誰から聞いた話でもない。そして、旧世代軸受システムの試験では、この摩擦振動現象に何れの企業も遭遇している。しかし、D社等では実用化している訳で、この摩擦振動を対策しているのも事実だろう。摩擦振動を一般的に解消するには、その部位の対策としては、やはり、摺動部近傍にエネルギー開放速度を緩和する物を入れているのは、見ないでも、聞かないでも、想像できるものである。
 まぁ、こういうのは、T社のようにこれから解決しようとする人には情報として提供するのが自分の考えだし、自分の考えを記事にしているだけだから全く問題無い。

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