このところ、問い合わせを頂いている企業ドメインから摺動試験システムという検索ワードでお越し下さる方がいらっしゃるようだ、、、、。でも、データ収集システムっていうのは、言葉で一括り出来るようなモノではないのである。目的の捉え方で、その価値というか立ち位置というのは全然違うモノになる。
自分が現在活用しているモノ。これは、自分の捉える意味からすれば正攻法的なシステムだ。
モノを作る作業で大事なのは何?っていうと、見落としがちだけど、作ったモノが目的通りに機能しているか?或いは、機能していないのは何処?を見極める事。
それを直感的かつダイレクトに見て評価できるという事が一番大切なのだ。
そうするために必要なのは何?っていうと、作るモノがどんな癖を出すか?或いは、良否判定に何を見るか?というモノの動きの本質をモデルとして理解する事。そして、その挙動を判定できる数値を取り出すのにどうすればよいか?をイメージする事である。
つまり、物作りを本質で理解していれば、それを評価するモノもテレコで理解できるのである。基本、一方が判れば、他方も自然と判るというモノなのだ。
そんな物作りに関する作業で評価するために、昔の人は計測機を用いて計測して、その数値を整理、処理して判定を下す、、、、こういう作業を延々と繰り返していたのだ。
しかし、、、
こういうやり方は面倒臭い。
ということで、自分の場合、物作り自体を単独で行ってきたので、計測から評価をリアルタイムで即座で行えるシステムの開発も物作りと並行して行ってきた。
それが、現在ならば、無注水起動摺動システムの評価システムだったりする。
これは、摺動システムに与える条件、周速、荷重(偏芯荷重、定方向偏荷重、周波数制御、変位量制御)、衝撃、温度、雰囲気状態を自在に変化させて、変化させた結果、目的のモノが如何に挙動を表すか?例えば、偏芯変移、温度、トルク、荷重、元側振動(加速度、速度、変位)、受け側振動(々)等を全てデータ収集し、瞬間的な挙動値、連続的な計測値をリアルタイムで保存しながら、結果としての摩擦係数、比摩耗量を同じくリアルタイムで表示、出力出来るシステムである。
この開発用システムの良いところ、、、、それは、得た出力は精度を追求して誤差を排除し、同じ試験を行えば確実に同じ結果が得られるような試験再現性を維持できる条件、つまり、ゼロ点を維持する事にも活用できるもので、兎に角、真の値を追求できるように作れるということ。
評価数値はパソコンモニターに映し出すけど、その数値自体には改竄も偽装も無いというのが自分的にも納得のモノだったりする。
しかし、同じようなデータ収集システムでも、そうでないモノも結構ある。そうでないというのは、真実を突き止めてモノの性能を突き詰めるという目的外のシステムというモノだが、、、
例えば、製品の出荷時性能成績表を自動作成する試験装置がある。この試験装置も同じく作成してきたが、これはチョット意味合いが違う。
こっちの方は、性能追求でなくルーチンワークでの作業効率の円滑化というのが第一目的であり、プログラムの方向性としては、作業の自動化率を極力高めるというのが一番であり、精度面で言えば、悪いところを探すシステムとは違い、悪い部分を隠すシステムと言っても差し支えない。
作業の自動化率を高めるという部分では、複数部門で発生するデータを極力利用するという方向で組んでいる部分があり、社内全体に分散するデータベースをアクション時にアクセスして必要なデータのみを自動収集して計測関連以外のデータを自動的に組み合わせて生み出す部分なんかが該当する。これは、一つのデータベースなら使い古された言葉でリレーショナルデーターベースの使い方だけど、全く形の違う別個の独立して分散したデータベースをリレーショナルに外部から利用するというモノだけど、こういう使い方というのは、精度追求型の自動計測システムには不要とも言える。
性能計測という部分では開発用システムと同じようだけど、実は全く違う。それは再々申し上げるけど、開発用システムのワークの欠陥を探し出すという方向性と正反対で、製品の欠陥を見せないというのが方向性なのだ。勿論、物理的にみると被っている部分は少なくない。高性能なセンサーを用いるのは同じ。センサーからの出力を正確にAD変換で取り込むのも同じ。
しかし、センサーからの数値は、一般に温度とか圧力で、生の値だから、その数値を見ても確認者にとって大きな意味がない。此処が違う。開発用システムでは圧力、荷重とか温度という生の数値自体も意味があるので、その数値も指示計にもPC上にも表示するけど、製品性能表作成装置では、出力値自体に大きな意味が無い。成績表に圧力とか荷重については不要であり、計測時点における温度、比重等を考慮して判りやすい単位系に改めたモノが大事なのだ。つまり、計測された数値をプログラムで処理したものが大事であり、そういうモノをPC画面に表示したり、7セグの表示計に計測数値かの如く映し出すのである。
つまり、表示させる数値は、計測したままの数値ではないのだ。
言い換えれば、プログラムによる換算(実は修正もしている、、、)が行われているのだ。この修正は、温度補正、混合物質をハンドリングする場合は混合密度、蒸気圧をリアルタイムで推算しながら推算値を用いて換算した上で表示したり、出てきた数値、例えば、流量数値が目標値に達していなければ、それを任意のボリュームで適当に変化させたりする事も可能だったりするのである。修正が道理に合ったモノばかりであればOKだけど、現実には道理に合わない改変も運用者が行えるというのが実態だったりする。
例えば、蒸気の状態を監視する部分が在ったとする。ここでは、蒸気条件がスペックで飽和としていされていれば、蒸気の状態を計測すると温度的には圧力と温度が状態図で飽和条件を満たす数値が示されなければならないが、スペックである飽和という条件を隠し、加熱という条件で試験を行いながら、それを隠す必要がある場合、計測した数値が加熱状態を示したりすれば、どうにも都合が悪い。そこで、温度、圧力を測定した時、圧力を計測する。そして、圧力から蒸気状態図の推算プログラムを用い、リアルタイムに測定圧力に応じた飽和温度を逆算し、計測装置の温度計には逆算温度を表示させたりする。こうすれば、見た目的には、使用蒸気が飽和状態であるかのように見せる事も可能である。
或いは、、、、、測定装置の一般には市販されない気液二相混相流体の流量を測定する場合、その流量の測定は混相状態を液相一相に凝縮させて凝縮液体の水位変化から流量測定を行うようにシステムを作る。その際に、変化水位の変化率算出根拠である時間を任意にボリュームを掛けてやれば、計測装置の出力自体が修正を含んだモノにする事も出来る。このような機構を監視システムの外部の計測装置のロム側に持たせれば、少々の知識で、その部分が何処?と言う事を見つけ出す事は不可能に近い。
他にも一般的な流量なんて数値もそうだ。流量っていうのは通常は圧力とか水位からの変換数値だが、そんな数値を外部の人間が見ても理解出来ない。外部の人間は流量数値が知りたい訳であり、流量値の出力は必然だったりする。そうすれば、出力表示上の流量の補正なんて楽勝である。補正も色んな所で行える。計測PC側に隠しボリュームをソフト的に組み込む事も可能だし、センサーからのAD入力の途中に抵抗を噛ませる事も可能。別に抵抗値でボリューム電圧を入力して、それと計測値を乗じる等すれば、段階を踏んでいる分、見つかりにくく出来たりもする。
とすれば、、、、計測数値は正しくても性能として用いる換算値自体は、見せる側の都合によって都合の良い数値を生み出す事が出来るのである。都合の悪い挙動は隠す、、、こんな事は朝飯前なのだ。
やろうと思えば何でも出来るのである。システムが高度で自動化率を高める程に、パッと見て、その数値が正しいか?という検算自体が不可能なのだ。そういうモノなのである。
自分の立場的に外部の企業、機関で試験に立ち会う事は少なくない。
しかし、、、そんなシステムで表示計に7セグのようなDO表示器が用いられていると、、、、そこの会社は信用しない事にしている。理由、、、それは、前述のように7セグなんてモノ、、、、使う必要無いはずだけど、使っているのは何かがあるからだ。その何かっていうのは、逆説的に考えれば、7セグでなくても良いのに7セグを使うなんて行為が怪しいからである。
それでも、世の中、アホが多いというか、パソコンの画面とかプリンターの印字出力を見ただけで信じる人が多い。それ故に、こういう事がまかり通っているのだろう。
ということで、データ収集システムっていうのは、聞こえは良いけど、、、こういうのは信用しない方が良い。こういうシステムが正しいかどうか?というのは、システムの開発者=システムの運用者という時だけであろう。開発者、運用者、閲覧者がバラバラの場合、そのシステムはウソ八百である。
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