計器復帰で徐々に細部が明らかに、、、
チョットずつ判ってきたようだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110323-00000471-yom-sci
このニュースによると、実際に二号機における作業は難しく作業エリアに入る事が難しいようだが、電源復旧によって得た情報から現在の状態が徐々に明らかになっている様子である。
電源復旧によって明らかになった危険な情報として、一号炉の炉内の温度は400℃ということ。仮に炉内全体の水が400℃という温度と仮定すると、、、、、確か、水の臨界点は647K、22.064MPa、、、判りやすく言うと、374℃で218気圧ということ。まぁ、原子炉の測温部分が400℃というだけで、全体を見れば其処までの高温には到達していないだろう。それは中の水が超臨界と言う事も無く、取り敢えず水位という概念があるらしいので、測温部近辺の温度のみが400℃ということだろう。この原子炉は格納容器内の水に外から覆われており一応は熱を奪われている。それで超臨界状態には到達していない、液体の存在する状態。ニュースでは内部圧力迄知らされていないが、最高でも臨界圧以下だろう。
厚さ150mmの鉄製の圧力容器の耐圧性能は幾ら?沸騰水型原子炉の耐圧が90気圧程度、加圧水型の原子炉容器で175気圧。沸騰水型だから90気圧級なんだろう。ニュースから設計温度が300℃ということだから蒸気圧から言えば設計圧力は8,588kPa、つまり90気圧位なのだ。つまり、この耐圧限界の数値は裏付けられた数字である。安全率の見繕いが如何ほどか?は知らないが、測温部検出温度が400℃、水位が存在する、冷却を始めたという情報(18ton/hrの注水を4時間で10℃降下。常温で70トンの水で10℃降下出来た訳だ。)だ。こんな状態だから、系としては300~350℃位で内圧は最高で170気圧くらい掛かっている状態かもしれない。具体的には想定の倍近い圧力が掛かっている状態、、、、
温度が上がるからと言って注水しても熱源の熱量が膨大であり、このままでは耐圧限界を超える事態に陥り兼ねない。となると、内部の水を循環させて排熱しなければ破綻するのは目に見えている訳だ。想像だけど、圧力容器設計の段階で、安全上臨界点辺りまではカバーしているだろうから、今は一杯一杯という状態だろう。この域では温度を1℃下げるだけでも圧力は一気に降下するから冷却が兎に角大事な訳だ。
因みに、超臨界状態というのは液相と気相の区別が無くなるような状態。水の超臨界状態は見た事無いけど、二酸化炭素の超臨界状態(31.1℃、7.4MPa以上)は作り出した事がある。臨界物性の実験で、高圧液面計を模した圧力容器の中に二酸化炭素を閉じこめて、加熱、加圧操作を繰り返して行い超臨界状態の二酸化炭素を作り出した時である。液面計構造故に内部状態が観察出来るのだけど、液面が消えて一気に揺らぎ出す光景は一種異様。その状態から圧力スイングさせると、揺らぎ状態全てが発泡するかのような状態を経て二相に分かれるのである。
ところで、事態が判ってくると事態を深刻に受け止めてしまうモノ。以前から危惧というか心配していたのは、システムの健全性。地震の揺れだけでシステムが物理的に完全に破壊されると言う事は無いのだろうけど、それ以外の衝撃を受けると、やはり破損や汚染の可能性は否定出来ない。
1号機、3号機については原子炉内、或いは、使用済み燃料保管プールの何れかから発生した水素に起因する爆発。4号機については、燃料保管プール内燃料の異常昇温によって発生した水素に起因する爆発。これは、二号機以外の建家の損壊を招いた爆発事象だ。この爆発は、原子炉を守るコンクリートの壁を吹き飛ばす程の衝撃を持っており、その衝撃は少なからず燃料プールにダメージを与えているのではないか?という危惧だ。
物理的なダメージの次は、1号機、2号機については津波の深刻な浸水被害が危惧されている。これも相手が塩分を含んだ海水故に、復旧には多くの機器の交換が必要だろう。
このような事態から作業無しでの復旧は不可能だけど、作業は外部電源の復旧から制御系の復旧を経てシステム用機器の復旧迄を行う必要があり、進展する程に、労働的に厳しさが増していく。その厳しい作業が行えるかどうか?が作業環境の汚染度であり、そういう面で見ると、原子炉格納容器とサプレッションプールの接続部近傍の爆発を起こした2号機周辺での作業の困難さが予想される。
事態を見守るしか手立てはないが、少しでも良いニュースが見られる事を祈るばかりである。
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